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[書籍紹介] いちえふ 福島第一原子力発電所労働記

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福島第一原子力発電所、略称は福島第一原発(ふくしまだいいちげんぱつ)、1F(いちエフ)と略されます。いちは第一原発のいち、Fは福島のえふだそうです。

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響により炉心溶融(メルトダウン)など一連の放射性物質の放出をともなった原子力事故が発生した原子力発電所ということで有名ですね。

地震発生の日のことは、5年も前のことですが昨日のように思い出すことができます。しかし、その後の原子力発電所のことは関心も薄れてしまっていました。先週末にふと書店で手に取った「いちえふ」というマンガですが、一日で全3巻を食い入るように読んでしました。

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竜田一人が描かれたコミックですが、竜田さんは実際に福島第一原発の作業員として原発の処理作業に携われています。

2012年から福島原子力発電所で作業員として働いた体験をもとにして書かれているので、日ごろ目にするテレビなどの報道とは違う原発労働者のリアルな生活を知ることができます。

原発の体験談というと、すごく過酷で日々ドラマチックなことが起こっているのかと想像してしましますが、現実はもっと淡々としています。その淡々とした日常がありのままに描かれています。ですので、物語としてのストーリー性を期待してよむと期待外れとなってしまうでしょう。あくまでも現実の実情を知るための体験談です。

色々な作業に携わる中で、最終巻(3巻)では原子力建屋内でも作業をするようになります。ロボットを使って建屋内での調査業務に従事し、被ばく量を気にしながら作業をする様子が生々しく描かれています。

離れて暮らしていると、どこかよその地域の話として聞いてしまいがちになりますが、淡々とした描写がかえって生々しく、これは現実なんだとリアルに感じられます。

普段はマンガなんて読まないよという方でも是非手に取ってもらいたい内容でした。マンガはちょっと...なんて方でも著者の竜田一人さんのインタビューを読まれると良いと思います。

参考:「原発の中も外の会社とそれほど変わらない」~漫画「いちえふ」作者・竜田一人氏インタビュー~

淡々と事実のみを描く漫画ですので、反原発やその逆で過度に安心を叫ぶなど政治的なイデオロギーが嫌いな方(私もそうです。)も読みやすい内容だと思います。




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