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住宅建築をするにあたって、地盤改良費用は誰の負担?

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まず最初にタイトルの回答を先にしてしまいますと、地盤改良は多くの場合買い主の負担で行われます。

もちろんこれは買い主がしなければならないという訳ではないのですが、逆にいうと、売り主にも不動産業者が負担しなければならないというものでもありません。不動産業界の一般的な流れとして買い主が負担しているだけです。

地盤改良の話をする前に、改良をする前の調査「地盤調査」について先に説明したいと思います。

地盤調査は誰が、いつ行うのか?

住宅を買うには、建売住宅を買う場合もありますが、土地を買って自分で家を建てる場合も多くあります。

家を建てるには地盤調査を行う必要がありますが、地盤調査は通常土地を購入してから買い主が行うのが一般的となっています。最近は地盤調査済みの土地として売り出すことも多くなってはきましたが、今までの不動産業界では「地盤調査は家を建てる人(土地の買主)が自分の負担でやるべき」という考え方が定説でした。

買主としては、リスクがとても高くなります。地盤調査により地盤改良が必要と判断された場合、少なくとも数十万円、必要な工法によって数百万円の地盤改良費用が必要とされます。地盤改良費用によっては家のグレードを下げなければいけませんし、最悪の場合家を建てることができないなんて事態も生じます。

売主としては、この風潮は非常にありがたいものです。自分の土地が軟弱でもそうでなくても同じ値段で土地を売却できるのです。地盤調査によって軟弱地盤だと分かったとしても、それれは土地売買契約の後、我関せずです。

地盤改良費用は誰が負担するのか?

地盤調査が売買契約後、買い主の負担によって行われるので、地盤改良も建物を建てる買い主の負担によって行われます。

でも何だか納得いきませんよね。土地を買うときは通常、高額の地盤改良費用を請求されるなんて思ってもいません。土地を買って、どんな家を建てようか?なんて考えていると、「家を建てるには地盤改良が必要で、かれこれ100万円の追加費用が...」なんて言われてしまうのです。

2010年の名古屋地裁の判例では、地盤改良に要した費用を売り主が払うべきとの判例もでています。

もちろんいろんな事情があっての売り主負担という判決なので、これがすぐ一般的な売買に当てはまるかというと当てはまりません。

しかしながら、買い主ばかりが軟弱地盤のリスクを負わなければいけないというのはどうもおかしいといった風潮も不動産業界にも出始めています。

最近では、地盤調査を売り主の側で行った状態で売りに出されている物件も増えてきましたし、売買契約書に「土地の地盤改良が必要となった場合は、売主が費用を負担する」と織り込まれたものもでています。

アパート建築などで、「アパートの建築会社が負担する」といった契約書もあるようですね。アパートの営業の現場では、地主さんや資産家さんに「長期的に安定的な利益を!」などとうまい謳い文句でアパート建築を営業しておいて、費用が発生したら「実はこんな追加費用が...」などと当然のように営業マンが話を切り出します。

契約書で一文、地盤改良は誰が負担するのかを明記しておくだけで安心して建築に入れますね。

地盤調査はどのように行われるのか

住宅の地盤調査ではスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が一般的に用いられています。

この調査のメリットは、安く・早い。ことです。調査も10万円しないですし、数日のうちに調査結果を得ることができます。中層のアパートや高層ビルなどの現場では、地中深い範囲を調査する必要があるため、ボーリング試験が行われますが、一般住宅ではSWS試験がほとんどです。

また、ネットでその地域の地盤の力(地耐力)を調べることもできます。

参考:自然災害に強い土地は?ネットで調べられる簡単な土地の調査方法

まとめ

地盤改良は思わぬ高額の出費に発展する可能性があります。買い主側でも後々発生するかもしれないリスクを回避すべく、土地の売買契約に何らかの特約を設けておくことが得策です。

 




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