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[競売過誤事例]土地の地積が問題となったケース

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競売における過誤事例は知っておくと一般の鑑定評価にも参考になります。競売過誤事例を紹介していきたいと思います。

ケース

土地の地積が問題となったケース

事例要旨

登記の地積が現況地積よりも小さかったにも関わらず、登記面積を採用して、結果低廉な価格で評価をしてしまった事案。

評価人に過失がありと認定された事例(東京地判平14年7月15日・訟月49巻8号2185頁)

内容

現況地積が275㎡であったにも関わらず、評価人が登記簿上の地積である165㎡を評価地積として採用してしまった。その結果、正しい価額が3,071万円となるべきところを、1,800万円と評価したものです。

(正)現況地積:275㎡、価額:3,071万円
(誤)登記地積:165㎡、価額:1,800万円

土地の地積は評価人の記載事項とされていることから、土地の地積は評価人が把握しなければなりません(民事執行規則30条1項5号イ)。

巻尺測定等を行うなどをして、その能力の範囲内で適正な地積の把握に努めるとともに、更に正確な測量を要すると考えられる場合には、執行裁判所に測量の必要性を上申すべきと解されています。

本事件では、評価人の過失が認定されました。

執行官の責任については、現況調査命令を受けた執行官が調査すべき土地の形状(民事執行規則29条1項4号イ)には土地の広さも含まれると解されるものの、地積の調査は評価人が正確な把握を行い評価書に記載すべきとされています。したがって、執行官の行う現況調査においては、正確な距離や面積の測定までは要求されていないと判断されました。

執行裁判所の責任についても、評価人が適切な手段を用いて概測した結果、本件土地の地積が登記面積に一致したものと信頼することは無理からぬこと。として過失は認められませんでした。

つまり、執行官及び執行裁判所の過失はないものと判断されました。

民事執行規則30条1項5号イ

参考までに上記条文を記載しておきます。

評価の目的物が土地であるときは、次に掲げる事項

イ 地積
ロ 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
その他の法令に基づく制限の有無及び内容
ハ 規準とした公示価格その他の評価の参考とした事項

土地の形状は現況調査報告書の記載事項なのに対して、土地の地積は評価書の記載事項とされていることは意外と盲点なんじゃないでしょうか。

土地の形状:現況調査報告書
土地の地積:評価書

民事執行規則29条・30条

まとめ

競売過誤事例をひもといていると、普段の業務では当たり前にやっていることが思わず危険なことだったと分かることがあります。何気なく調べている調査でも、どのような調査をしていると後々責任が問われる可能性があるのか、どこまでやれば責任を果たしたといえるのか。これらを意識するためには競売過誤事例の分析が一番だと思います。

時間を見つけてまた競売過誤事例を紹介していきたいと思います。評価人の国家賠償責任法の適用なんかも勉強してみると面白かったりします。

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