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農地とは?農地法が適用される農地および採草放牧地を解説します

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農地法は農地及び採草放牧地に適用されます(農地法第2条)。

農地法

(定義)
第二条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

農地の定義

農地とは耕作の目的に供される土地をいいます。

耕作とは、土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいいます(平成12年6月1日、12構改B404号次官通知「農地法関係事務に係る処理基準について」)

したがって、農家が現に肥料を与え米や野菜などの農作物を育てている土地や耕運機などの農機具で管理している土地は当然に農地に該当します。

現況主義について

農地かどうかの判断は現況主義によるとされています。したがって法務局の登記地目が農地以外(例えば宅地)とされていても現況が農地であれば農地法が及びます。

農地かどうかを判断するには、当該土地の客観的事実状態のほか、その所有者の主観的意図をも無視することはできないが、この意図は近い将来において実現されることが客観的に明白なものでなければならない。
(昭和29年6月23日、神戸地方裁判所27(行)8)

耕作について

「耕作」については、現在まで色々な判例が出ており耕作についての解釈が定められています。判例を紹介し、説明をしていきます。

農地とは「耕作の目的に供される土地」であり、工作とは土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいい、その作物は穀類蔬菜類にとどまらず、花卉、桑、茶、たばこ、梨、桃、りんご等の植物を広く含み、それが林業の対象となるようなものでない限り、永年性の植物でも妨げない。
(昭和40年8月2日、最高二小、38(オ)10659)

つまり、農地には果樹園も含みます。蔬菜(そさい)とは、栽培作物を指す言葉であり、野菜と同義です。

農地とは、耕作の目的に供される土地をいい、その土地が現に耕作の目的に供されている以上、都市計画法12条1項による土地区画整理施行地区内にあるからといって、また仮換地の指定処分があったからといって、そのことから直ちに当該農地が農地法所定の農地たる性質を失うものではない。
(昭和38年12月27日、最高二小、36(あ)939)

農地の認定は現況主義です。土地区画整理により宅地化が期待されたとしても農地としての性質は失いません。

土地が農地であるか否かの認定は、該土地の地目の如何に拘らず、その外観のみならず、工作の内容を考慮しなければならない。宅地予定地で建物を建築するまでの一時の間、しかも所有者に無断で菜園にされていた場合には、耕作の目的に供されたからといってその土地が農地であるとはいえない。
(昭和23年5月4日、奈良地方、22(ワ)63)

 

宅地として他に分譲するときはいつでも変換するという特約付きで耕作を許した土地も、現に耕作されて農地となっている限り自創法の適用を受ける農地である。
(昭和23年6月30日、東京高等、23(ネ)58)

自創法は、自作農創設特別措置法のことであり、「耕作者の地位を安定し、その労働の成果を公正に享受させるため自作農を急速且つ広汎に創設し、又、土地の農業上の利用を増進し、以て農業生産力の発展と農村における民主的傾向の促進を図ることを目的」として制定された法律です。

一定の土地につき労費を加え肥培管理を行って作物を栽培する事実が存在する場合には、その土地は耕作の目的に供される土地であって、農地調整法にいわゆる「農地」と称するのを相当とする。したがって農地であるか否かは客観的状態に従って判断されるべく、土地所有者の主観的使用目的に関係なく、土地台帳等に記載されている地目いかんによっても左右されない。
(昭和27年10月2日、福岡高等、27(ウ)117)

農地調整法は、地主と耕作者間の農地関係の調整を図るために昭和13年(1938)に制定された法律です。第二次大戦後改正され、自作農創設特別措置法とともに農地改革の基本法となっりました。昭和27年農地法に統合されています。

農地を農地以外のものにしたというためには、行為がこれを宅地化する目的をもっている場合でも、必ずしも家屋建築工事に着手する必要のないことはもちろん、完全に宅地としての外観を整えることも必要ではなく、農地をもはや農地として使用できないようにすること、すなわち肥培管理を不能もしくは著しく困難ならしめ、耕作の目的に供される土地とはいいがたい状態にすることをもって足りるものといわなければならない。
(昭和41年5月31日、最高三小、39(あ)1111)

農地を宅地にする場合には農地転用許可が必要となります。この場合、農地を造成して整地した段階で宅地になったと考えるのか、それとも建物が完成した時点で宅地になった考えるのかどちらでしょう。この判断はとても難しいとされていますが、一般的に基礎工事が完了した時点で住宅の建築が明確になったと判断され、農地ではなくなった(宅地となった)とされることが多いようです。

肥培管理について

通常の田畑以外のものについては、肥培管理を施しているか否かを標準として農地か否かを決めるのが妥当である。この標準に従えば、桑畑、果樹園、苗木を作れる苗圃等は当然農地に該当する。本件植栽桑畑は、既に相当の労力を加えて自然林を起し、これに他の果樹園態に栗苗を植栽し、肥料を施し、且つ消毒等の管理を行っている事実に鑑みるときは、これを他の果樹園や桑畑と同様農地と見るのが相当である。
(昭和23年7月23日、山形地方、22(ワ)72)

苗圃(びょうほ)とは」草木の苗を育てるための畑のことです。

花木を幼木から栽培している土地(樹木の植栽地)については次のような判例があります。

その土地が農地であるかどうかは該土地にいわゆる肥培管理が施されているかどうかによって決定すべきものであるところ、上告人は、本件土地で庭園等に使用する各種花木を幼木から栽培して右土地に肥培管理を施していると主張しているばかりでなく、庭園用の花木を幼木から栽培するには、施肥、薬剤散布、除草等の作業を行うものであることは容易に窺われるのであるから、かりにそのとおりであるとすれば、本件土地は農地にあたると認められる余地があるといわなければならない。
(最判昭和56年9月18日)

花木の幼木を栽培している土地については農地に認められる余地があるとし、他方、成熟した樹木の管理を主としている土地は農地ではないとした事例もあります。

 

(略)土地全体としては、販売目的の成熟樹木の管理が主であり、苗木栽培はごく一部にすぎないのみならず、苗木に対する肥培管理の実態も明らかでないから、これをもって被控訴人が本件3の土地を肥培管理しているといえないことは明らかである。
(東京高判平成3年1月29日)

このことから農地性判断の決め手として肥培管理の事実の有無が大事だということが分かります。そして肥培管理の作業としては、施肥、薬剤散布、除草等の作業が必要とされています。

関連する判例に次があります。

庭園等に使用する各種花木を幼木から栽培している土地は農地法2条1項にいう農地にあたらないとはいえない。
(昭和56年9月18日、最高二小、55(オ)1069)

農地法の言葉ではありませんが、いわゆる家庭菜園という言葉があります。住宅地の片隅の土地を使って野菜などが栽培されている場合ですね。もちろん肥培管理の事実もあって、一見すると農地のような外観を呈しています。しかしこの場合は、非農家による趣味程度のもので、この土地の主たる目的は建物を建てて住居として利用することにあります。仮に一部が菜園として利用されていても、独立した農地としての価値は認めがたいことから、非農地として農地法の適用を受けないのが一般的です。

家庭菜園にすぎず農地調整法の農地に該当しない。
(昭和24年5月21日、最高小二、23(オ)17)

もう少し新しい判例もあります。

いけがきによって付近の農地と隔離され、野菜が家庭菜園程度に栽培され、かなりの面積が荒地のまま放任され、栽培者らが農業を営む者でなく、かつ地目が宅地に改められている等の事実のある土地は宅地と認めるのが相当である。
(昭和33年8月18日、大阪地方裁判所、32(ワ)1285)

このように栽培者が農家か非農家かも重要な判断要素となります。

作物の範囲について

栽培される作物についてはどのような作物が農地と判断されるのでしょうか。

肥培管理を施し、桐樹を栽培している土地は耕作の目的に供されている農地である。
(昭和23年9月21日、新潟地方裁判所、23(行)8)

 

農地法2条にいう工作とは土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいうものであって、その栽培される作物が食料に供されるものかどうかにかかわらないと解せられるから、肥培管理を行って芝を栽培している土地は農地に当る。
(昭和32年12月11日、東京地方裁判所、32(ワ)4453)

 

土地に種を播き、これを栽培管理している牧草畑は農地である。
(昭和39年6月22日、札幌地方裁判所、34(行)6)

 

竹を植林し、毎年竹又は筍を採取している土地は農地である。
(昭和23年8月31日、福井地方裁判所、22(ワ)105)

 

一時的に養鯉場として利用された水田も農地である。
(昭和28年1月12日、盛岡地方裁判所、27(行)20)

耕作の目的に供されている土地について

「耕作の目的に供されている土地」とは、現に耕作されている土地はもちろん、現在耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような、すなわち客観的に見てその現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地(休耕地、不耕作地)をも含む。
(「農地法の施行について」昭和27年12月20日付け、27農地5129号農林事務次官通達)

「耕作の目的に供される土地」とは、当該土地所有者の主観的な土地の入手目的ないし使用目的によって判断すべきではなく、その現況に即し、当該土地が現に耕作に供されているか、または例えば休耕地のごとく現在たまたま耕作に供されていなくとも、少なくとも、耕作に供されうる状態にある土地をいうものと解すべきである。
(昭和27年11月13日、神戸地方裁判所、26(行)5.12.16)

不耕作地は、休耕田・休耕畑などと言われますが、農地法が及ぶと解されています。不耕作地についてはもう一つ判例があります。

本件土地の登記簿上の地目は畑であり、本件土地を含む一帯は当時土地改良法に基づき牛久沼土地改良区による土地改良事業が施行されており、本件土地は従前の土地に代わるべき一時利用地として指定されていたこと、本件土地は一時耕作されていなかったため、一面によもぎなどの雑草が約60センチメートルほど生い茂り荒れ地のようになっていたが、被控訴人は同土地に冬作の小麦を作付するべく妻とともに同所の除草作業をしていた
(昭和49年11月26日、水戸地裁)

という事案に対し、水戸地裁は農地性を肯定しています。

次に耕作放棄地についての農地性です。

右土地の中東側約1畝は菜園として利用されているが、その他の部分は耕作せられることなく放置されて雑草に蔽われて居り、且つ西側に3本、南側に2本いずれも境界に近く樹齢30年くらいの栗が植栽され、自然の生長に委ねられていることが認められる。(略)一部はなお菜園として利用されている事実から見ても、前記のように一部はなお菜園として利用されている事実から見ても、本件土地は農地であるというのを相当とし、現在たまたま耕作が怠られているからといって、その農地であることの本質を失ったものということはできない。
(昭和26年5月22日、甲府地方裁判所)

上の判例は耕作放棄地についての農地性を認めたものですが、農地性を否定したものも数多く存在します。

かつて桐樹栽培のために肥培管理がされたとしても、肥培管理を廃してすでに相当期間を経過し、現状が森林状態を呈している土地は、たとえ、豊沃で、桐樹伐採後ただちに農耕の用に供することができる場合であっても農地ではない。
(昭和25年6月29日、東京高等裁判所、23(ネ)421)

豊沃(ほうよく)とは、土地が肥えて作物がよくできることをいいます。

つまり、かつては農地であったとしても、耕作放棄の状態が長年にわたって継続して農地が荒れ果ててしまい、もはや農地に復旧することが相当困難な段階に至った場合は、当該土地は既に非農地化したと判定される可能性があります。

関連してもう一つ。

もと農地として耕作されていた土地を他の用途に利用すべく、2年間休閑地または不耕作地として放置し、その間一時(2か月)材木置場として使用されたとしても、耕作しようとすればいつでも耕作しうる応対である土地について、非農地となったものとすることはできない
(昭和35年8月1日、大阪高等裁判所、32(ネ)817、1120)

 

採草放牧地の定義

「採草放牧地」とは、農地以外の土地で耕作又は養畜のため採草又は家畜の放牧の目的に主として供される土地をいう。材木育成の目的に供されている土地が併せて採草放牧地の目的に供されており、そのいずれが主であるかの判定が困難な場合には、樹冠の粗密度。3以下の土地は主として採草放牧の目的に供されていると判断する。

つまりは、次の3つを主目的とする土地を採草放牧地といいます

  • 耕作のための採草
  • 養畜のための採草
  • 家畜の放牧

また国の通知により

「屋根葺用、製俵沃のための採草を主目的とするカヤ刈場は含まれない。また河川敷、堤塘、公園、道路等は耕作又は養畜のための採草放牧の事実があっても、それぞれが主目的とは認められないので、本法にいう「採草放牧地」とはならない。
(昭和27年12月20日、27農地5129号次官通知「農地法の施行について」)

とされています。

 

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