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鑑定業界の依頼者プレッシャー問題に国交省が対策?

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今朝の朝日新聞の一面で不動産鑑定業界の依頼者プレッシャー問題がとりあげられました

政治家や企業が不動産鑑定に不当な圧力を掛け、評価をつり上げたり引き下げたりする――。「依頼者プレッシャー」と呼ばれる問題が深刻化しているとして、国土交通省が対策に動き出した。不当な要求をされた不動産鑑定士は仕事を拒むよう、明文で規定する方針だ。

引用:朝日新聞|不動産鑑定、政治家や企業の圧力排除へ 国交省が対策

最近では森友学園の問題で不動産鑑定評価が話題となりましたが、関与した不動産鑑定士さんも誠実に対応されていたと思うんですが、なぜこのタイミングで?という印象です。

森友学園の国有地払下げ、鑑定評価は適正だった?不動産鑑定士の関りは?

追記(2017年4月5日) 国会で色々と追及されていた森友問題ですが、ついに司法の場へ戦いの場所が移ったようです。 大阪地検特捜部は5日、小学校建設を目指した森友学園への国有地売却を担当した財務省近畿 ...

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朝日新聞の報道について

書かれたのは朝日新聞の赤井陽介さん(@akai_y)という新聞記者の方です。twitterでも盛んにこの問題について呟かれていました。

血税、完全犯罪などとかなりきつい言葉を使って煽っている印象がぬぐえないですね。朝日新聞デジタル編集部のtwitterアカウントでも当問題が呟かれています。

”議員らの有力者に頼まれると不動産鑑定士は、断りにくい”という旨の記述がありますね。少なくとも私は議員さんから何らかの圧力を受けたという経験はありませんが、そんなことは実際あるのでしょうか?依頼者でもない議員が口出しをしてくるという状況が考えづらいですし、依頼者でもない議員が、依頼者からの受注をどうして知っているの?という疑問がでてきますね。

不動産鑑定評価業務を受注するにあたり、議員さんと接触することは一度もなかったですし、周りでもそんな話は聞いたことはありません。私の住む地方が特殊で、他の地域は議員さんとの接触が頻繁にあるのでしょうか。

依頼者プレッシャーに対する連合会の対応は?

依頼者プレッシャー問題に対しては(公社)不動産鑑定士協会連合会(以後、連合会)も既に取り組んでおり、「鑑定評価監視委員会規程に基づく依頼者プレッシャー通報制度」が始まっています。

参考 連合会|鑑定評価監視委員会規程に基づく依頼者プレッシャー通報制度(PDF)

ここで依頼者プレッシャーとは「依頼者が行う、一定の鑑定評価額等の強要・誘導や妥当性を欠く評価条件の設定の強要等」をいいます。

また、ここでいう誘導とは、依頼書兼承諾書を手交しない段階や鑑定評価等に着手しない段階で、単なる希望価格の伝達や目線合わせ等と称した鑑定評価等の結果を高速しない価格観のやり取りではなく、依頼後において鑑定評価等の依頼の取り消し、報酬の増減額、今後の取引停止等をほのめかす言動当により依頼者が意図する最終結果(価格の明示・非明示を問わない)に近づかせるための行為をいい、一定の強要性が必要となるものです。

依頼者プレッシャーがあったときは?

依頼者プレッシャーを不動産鑑定士が感じたときは、連合会に通報することができます。連合会は関与鑑定士、関与鑑定業者、通報者からの事情聴取をし、緊急性を要する場合には依頼者への通知を行います。

通知の内容

  • 依頼者プレッシャーの存在についての会員からの調査請求があった旨
  • 「事実確認のお尋ね」の文書送達(民間)又は情報公開制度に基づく開示請求(公共)を実施する旨

不動産鑑定士が依頼者プレッシャーを感じたら、毅然とした態度で断れば良いだけだと思うんですが、何とも情けない感じがしますね。しかし、依頼者プレッシャーの通報は不動産鑑定士の義務として書かれています。先ほどPDFのURLを記載した「鑑定評価監視委員会規程に基づく依頼者プレッシャー通報制度」にも次のように書かれています。

鑑定評価監視委員会規程に基づく依頼者プレッシャー通報制度(6頁)

鑑定業者又は鑑定士は、依頼者から不当な働きかけを受けた場合には迅速に資料を添えて鑑定協会に通報・調査請求しなければならない

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まとめ

記事には公認会計士や税理士さんへのアンケート結果で次のようにも書かれています。

国交省が公認会計士や税理士らに行ったアンケートでは、65%が「依頼者に都合の良い鑑定評価額となっている可能性も否定できない」と回答した。

これは、当然だと思うんですよね。税理士さんや公認会計士さんから依頼があった場合、当然鑑定評価額がいくらぐらいにならないと依頼しても意味がないという皮算用があります。依頼者に不都合な価格しか出せない不動産であれば、鑑定評価の依頼は無いです。依頼者が頼む価値があるから鑑定評価依頼があるのであって、依頼者の都合の良い書類でなければ依頼者も発注する意味がないのです。

ここでいう都合の良いとは、鑑定士が不当に高い(安い)価格をつけて、依頼者の意向に迎合したという意味ではありません。不動産鑑定士の判断した鑑定評価額が、結果として依頼者の役に立つ価格だった、鑑定評価書だったということです。

先の依頼者プレッシャーの定義にも書かれていますが、依頼者による希望価格の伝達や価格の目線合わせは依頼者プレッシャーではありません。

国は不当な要求をされた不動産鑑定士は仕事を拒むように明文化するようです。

国交省が率先して依頼者プレッシャー問題に取り組みだしたということは、鑑定士や連合会の自助努力では無理だということなのかも知れません。しかしながら、不動産鑑定評価制度が変に使いづらくなり、業界全体が委縮してしまうような規制だけはやめてほしいなと感じます。

連合会は「明文化により、不当圧力を断りやすくなると歓迎している」とも書かれていますが、明文化により鑑定士の責任が増えるだけじゃないでしょうか。単に圧力(依頼者プレッシャー)に屈したら懲戒処分のバンバンするよ?という前触れにしか思えません。なんで歓迎しているんでしょうか。

この問題、大手不動産鑑定業者の社長さんも次のようにtwitterで呟かれていました。

問題はどこなの?と答えを教えていただきたいものです。

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