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万葉倶楽部は撤退の方針。豊洲市場「千客万来施設」の賃料、中央卸売市場の市場使用料を調べました。

更新日:

[追記] 2017.7.12

「万葉倶楽部」が豊洲撤退の報道がなされていますので、冒頭に撤退についての記事を加筆しました。

万葉倶楽部が撤退?

まずはニュースの引用です。

豊洲市場(東京・江東区)に開業予定だった温泉や飲食店などの観光拠点「千客万来施設」を運営する万葉倶楽部(神奈川県小田原市)は11日、「都の方針が変わり、事業の継続性が見通せない」として事業から撤退する意向があることを明らかにした。東京都の小池百合子知事(64)が先月、築地市場の再開発を表明したため採算が取れなくなる可能性を示唆した。都は「事業を推進できるよう誠意を持って対応する」とのコメントを出した。

引用:YAHOO!JAPANニュース|「万葉倶楽部」が豊洲撤退も

小池知事の方針変更により、豊洲市場は物流拠点として活用する計画が発表されました(6月20日会見)。今ある築地市場も観光施設として活用していく方針を発表したことで、困ったのが万葉倶楽部です。千客万来施設を運営し、温泉や飲食店などの観光拠点として発展していこうと考えていたのに、築地にも観光拠点を置くと知事が言い始め、更には、豊洲市場はITを活用した総合物流センターにすると宣言しはじめたのです。

万葉倶楽部は、豊洲に訪れる観光客をあてにして千客万来施設を運営しようとしているのに、豊洲を物流センターにするという方針が出されてしまったら困ってしまいますね。万葉倶楽部が怒ってしまうのも無理はありません。

昨年8月の移転延期に加えての、今になっての方針変更です。万葉倶楽部が撤退を考えるのは当然といえるでしょう。下の記事にも書いたとおり、万葉倶楽部が都に支払う予定だった借地料は年間8,652万円。契約期間の50年では約43億円にもなります。

万葉倶楽部に決まるまでにも紆余曲折があったので、新しい事業者が簡単に決まるとは思えません。今後どうなってしまうんでしょうか。

豊洲市場「千客万来施設」の賃料、中央卸売市場の市場使用料を調べました。

以下は2016年10月に書いた市場使用料、地代の調査の記事となります。

最近はニュースを見ると毎日豊洲市場の関係のものが流れていますね。内容はもちろん土壌汚染対策、地下水の関係です。豊洲市場の地下空間がなぜ作られたのか、安全は大丈夫なのか?と毎日テレビをにぎわせています。

東京都中央卸売市場

提供:東京都中央卸売市場

今回はそんな話題のニュースから離れて、不動産鑑定士らしく豊洲市場関係の家賃、賃料について調べてみました。

豊洲市場の場所

東京都民にとっては豊洲一番といえばどこにあるのかピンとくるかも知れませんが、地方に住んでいるといまいちわかりませんね。北が右にある地図ですが、築地から千葉方面(東方面)の江東区に豊洲市場はあります。

提供:東京都中央卸売市場

提供:東京都中央卸売市場

豊洲市場の商業・観光拠点「千客万来施設」の賃料

豊洲市場は東京都の施設ですが、東京都中央卸売市場だけではなく、商業・観光拠点も計画されています。

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提供:東京都中央卸売市場(千客万来施設用地配置図)

既に事業予定者は東京都の公募により、神奈川県小田原市の温泉施設運営会社「万葉倶楽部」に決定されています(2016年3月決定)。

事業内容(予定)

水産仲卸売り場棟に隣接する1.1ヘクタールに江戸の街並みを再現した飲食店などのモールと、24時間営業の温泉・ホテルの建設が予定されています。開業は飲食店部分が2018年8月、ホテル部分が2017年8月です。

賃料

敷地の賃借料は月721万円で、事業期間は50年です。事業期間が50年と公表されていることから、契約期限が定められている定期借地権(契約更新ができない契約)?なんでしょうか。契約期間50年なので、一般定期借地権(借地借家法第22条)か事業用定期借地権(借地借家法第23条)での契約だと思います。

事業面積は1.1ヘクタールなので、11,000㎡(3,330坪)ですね。地代を計算してみましょう。地代は年額で考えられることが多いので、まず年額を計算して、単価を計算してみます。

年額地代
月721万円×12か月=8,652万円

単価

8,652万円÷11,000㎡=1㎡当たり7,865円(坪当たり26,000円)

では周辺の地価はいくらぐらいでしょう。平成28年の路線価を調べてみました。

豊洲市場の地価

地代の利回り

7,865円(年額地代)÷475,000円(土地価格)=1.66%

利回りとしてはちょっと低めかな?という印象をうけます。定期借地権は利回りが低くなりますが、それでもちょっと低めです。

土地価格を路線価から算出していますが、規模が大きいのでもう少し土地価格が安く計算してもいいかもしれません。土地価格が安くなれば利回りは高く計算されます。また貸主(地主)が東京都という公共機関なので固都税(固定資産税・都市計画税)が土地にかかりません。そのため地代が安くても都としては採算が合うということかもしれませんね。

撤退した喜代村と大和ハウス工業の賃料

この千客万来施設の公募ですが、実は一度ひともんちゃくがありました。2014年2月に一度喜代村と大和ハウス工業が事業予定者として決定したんですが、その後相次いで2事業者とも撤退したんですね。

このときの賃料も出ていたので参考までに計算してみます。

「万葉倶楽部」は千客万来施設の6街区(1.1ヘクタール)だけの使用ですが、前回では5街区(0.6ヘクタール)も含めて計画がなされていました。このときの賃料は年間で1億3672万8000円、月額にすると11,394,000円です。

万葉倶楽部の地代とは面積が異なるので単価を出してみます。

単価

1億3672万8000円÷17,000㎡=1㎡当たり8,042円(坪当たり26,587円)

新しく決まった万葉倶楽部の地代が坪26,000円だったので、2%強だけ地代が安くなってしまったんですね。

中央卸売市場の市場使用料

では次に中央卸売市場の市場使用料を考えてみます。新しくできる豊洲市場の賃料を調べたいのですが、豊洲市場の賃料はまだ分かりません。しかしながら、中央卸売市場の賃料は都のサイトにより公表されていましたので、中央卸売市場の賃料を調べてみたいと思います。

参考 東京都中央卸売市場|市場使用料あり方検討委員会

使用料と賃料の違い

東京都のサイトでは賃料(家賃)とは書かれておらず、市場使用料、つまり使用料と記載がなされています。では使用料と賃料は何が違うんでしょうか?

地方自治法第225条には、”普通公共団体は、公の施設の利用につき使用料を徴収することができる”と規定されています。そして”使用料は、その行政財産又は公の施設の維持管理費又は減価償却費に充てられるべきもので公営企業を除く一般の公共財産は収益を目的とするものではないから、当該財産又は公の施設につき必要とする経費を賄うに足ることをもって限度とすべきである。”と地方自治法逐条解説には書かれています。

つまり一般の民間の賃料(家賃)とは違い、大家の利益は含まれないのでかかった経費分と考えてもよいでしょう。

中央卸売市場の市場使用料

中央卸売市場の使用料は総括原価方式というものを採用し、東京都内全ての市場で同一の使用料が適用されています。これは都の全市場はすべて「東京都」という同一の解説区域において相互に補完しあいながら一体としてその機能を発揮しているという考え方によります。

名称位置
築地市場中央区築地五丁目二番一号
豊島市場豊島区巣鴨五丁目一番五号
淀橋市場新宿区北新宿四丁目二番一号
足立市場足立区千住橋戸町五十番地
食肉市場港区港南二丁目七番十九号
板橋市場板橋区高島平六丁目一番五号
世田谷市場世田谷区大蔵一丁目四番一号
北足立市場足立区入谷六丁目三番一号
多摩ニュータウン市場多摩市永山七丁目四番地
葛西市場江戸川区臨海町三丁目四番一号
大田市場大田区東海三丁目二番一号

また使用料の対象経費には用地取得費は含まれていないことも、地価が高い場所、安い場所に関わらず同一である理由となります。

ある鑑定士さんのコラムではこの点、使用料と賃料を混同されていて、使用料を賃料と同一視して論じられていました。地域ごとに使用料を設定すべきだ、総括原価方式はおかしいという議論はまた別の議論になりますが使用料とは賃料と違うことだけはきちんと理解しておかないといけません。

中央卸売市場の市場使用料は平成28年11月7日に改定されています。

参考 東京都中央卸売市場|資料4 東京都中央卸売市場使用料の改定について(PDF)

代表的なものだけ抜粋してみます。金額はすべて1㎡当たりの単価です。

種別(食肉市場以外)税抜き額
卸売業者売場使用料505
仲卸業者売場使用料1991
関連事業者営業所使用料2210
事務室使用料2048
倉庫使用料953
車両置場使用料629

これに売上高に応じた使用料も加算されたものが市場使用料となります。一部歩合家賃のような考え方を採用しています。

まとめ

東京都中央卸売市場の市場使用料については、総括原価方式という考え方を見直し施設ごとの使用料設定をする方法も模索しているようです。

しかしながら中長期的な視野で検討しているようなので、すぐには変更されるということはないでしょうね。ということは新しい豊洲市場の使用料も同じ計算方式により使用料が決まるんでしょうか。

豊洲市場についてはこれからも情報をおっていきたいと思います。

 

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