賃料の鑑定評価に関係する書籍を斜め読み。参考になる本のまとめ

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おはようございます。不動産鑑定士のreatipsです。

賃料の評価というものは田舎の鑑定士にとっては、さほど頻度がありません。都会では高額となってきた家賃・地代の減額請求というものがたくさんあり、それに伴う鑑定評価も多いようですね。

慣れていないと知識を整理しなおすことが必要です。賃料関係のお話しをいただいていたので、そのため先週末は会社の賃料関係の書籍をひっくり返して斜め読みしておりました。

せっかくですので賃料の鑑定評価に役にたつ書籍を紹介してみたいと思います。

借地借家の基礎知識

まずは基礎知識として借地・借家の基礎知識に関する本です。

借地・借家の法律常識

賃貸借契約を結ぶ前、契約中、更新時、明け渡し時の各時期においてどのようなトラブルが発生しやすく、どのように対応すべきなのかを網羅的に説明してくれている書籍です。一冊を読み込むということはしていませんが、辞書のような感覚で、分からないことがでたときにたまに開くことが多いです。

最近の本ではこのあたりが分かりやすそうです。

どのようなときに問題となるか

実際の賃料評価の書籍を紹介する前に、賃貸借契約の中のどのような場面で紛争となるのかが解説された書籍があります。

判例にみる地代・家賃増減請求

著者は弁護士の澤野順彦氏です。調べてみて知ったんですが、さわのゆきひこさんとお読みするんですね。弁護士と不動産鑑定士のダブルライセンスの先生で有名な方です。私も修業時代にはよく澤野さんの書籍を読みました。

公租公課の増徴率にスライドして土地賃料を増額する旨の特約はどのように解釈すべきか

などの92の事例が実際の判例とともに紹介されています。この書籍も手元に一冊置いておくと、色んな相談業務の際に参考になります。

賃料の評価に関する書籍

賃料評価にかんする書籍といっても、実務的な側面が強い書籍と理論的な側面が強い書籍に分けられます。まずは評価の基礎となる理論についての記述が多い書籍から紹介していきましょう。

継続賃料鑑定評価を再考する

著者は大野喜久之輔さんという神戸大学の名誉教授の先生です。前後編に分けられており、前編に「継続賃料評価についての基本的考察」、後編に「継続賃料を巡る鑑定と司法の判断」となります。冒頭には不動産の価格と賃料の相関関係の分析があり、それをうけて継続賃料が不動産の価格とどのような関係があるのか、そして継続賃料評価の問題と新しい評価手法の再検討がなされています。後編は事例研究として10の判例の解説がなされています。

同時期に同じ住宅新報社から出された書籍があります。著者は賃料評価実務研究会ですが、その中には前述の書籍の代表として大野喜久之輔さんも入っています。冒頭の第1章を担当されていますね。

賃料評価の理論と実務

全11章を担当の不動産鑑定士が執筆しています。それぞれ興味深いテーマで書かれているので章のタイトルだけ紹介しておきたいと思います。

  1. 不動産の価格と賃料の相関関係と継続賃料評価の手法
  2. 住宅地における地代と地価の関係
  3. 差額配分法
  4. 利回り法
  5. スライド法
  6. 賃貸事例比較法
  7. 収益分析法による収益賃料
  8. 「地代残余法」についての検討
  9. 継続賃料の鑑定評価における「収益配分法」の適用
  10. サブリースの契約の適正賃料
  11. 判例における相当賃料の算定方法の成立過程と現在の役割

賃料評価の4手法を簡潔にかつ具体的に説明されているので、賃料評価についてさらっとおさらいしたいときによく読んでいます。しかし単に教科書的な解説ではなく、判例などが豊富に紹介されており、訴訟などの場面で使える評価手法を学ぶことができます。

賃料評価の実務

賃料関係の書籍を一冊だけ勧めるとしたら文句なしにこの一冊を勧めます。

執筆は日本最大の鑑定機関、日本不動産研究所の有志が集まってできた組織「賃料評価研究会」のメンバーです。

冒頭で、賃料増減請求権とはどのような権利なのか、3要件とは何かの紹介があります。

賃料増額請求権の3要件

  1. 現行の賃料が客観的にみて不相当となったこと
  2. 前回の改定から相当の期間が経過していること
  3. 不増額の特約がないこと

その次に賃料の鑑定評価の各手法の解説がありますが、バリバリの実務者によって書かれているので鑑定評価を実際にするときに悩む箇所にうまく触れられています。試算賃料の調整は不動産鑑定評価基準を書いて終わり、なんて書籍が多いですが、詳しく触れられています。

この書籍を一番すすめる理由は2章の賃料評価各論にあります。2章では、オフィス、商業施設などの各アセットごとの評価手法の解説と留意点が説明されています。

  1. オフィス
  2. 商業施設
  3. レジデンス
  4. 物流施設
  5. ホテル

5つのアセットごとに各評価手法の適用と留意点が解説されていますが、例えばレジデンスであれば、細分化して一般的な賃貸共同住宅、高級賃貸住宅、サービスアパートメント、寮といったようにさらに詳しく解説があります。

ホテルであれば、ホテル事業の収益分析法の適用に触れられていますが、ホテルの事業収支構造の解説からなされているのでホテルの評価に慣れていない者でもとても分かりやすいです。

最後の3章は地代の評価の解説ですが、主な鑑定評価手法のほか、実務ではよく使われれる「公租公課倍率法」にも触れられています。公租公課倍率法が訴訟の場でどのように扱われているのかも4つの判例が紹介されています。

商業施設賃料の理論と実務

特殊なアセットに特化した賃料評価の解説本としては大野喜久之輔さんの「商業施設賃料の理論と実務」も有名です。この本の見どころは事業収益からの賃料負担額を求める手法を理論的に解説しているところでしょうか。商業施設には歩合家賃という賃料算定方式も一般的ですが、歩合家賃についての説明もあります。また、商業施設の出店で一般的に活用されている定期借地権、派生して定期借家権についての解説もあります。

賃料(家賃)評価の実際

次に裁判鑑定で有名な田原拓治氏の書籍を2冊紹介したいと思います。田原さんの書籍は簡潔で、具体的な数字も多いのでとても分かりやすいです。

また、実際の鑑定人としての裁判経験に基づいて書かれているのできわめて実践的です。理論については賛否両論がある部分もありますが、問題点を提起してくれているという意味ではとても大きな意味があります。

賃料(地代・家賃)評価の実際

前記の「賃料(家賃)評価の実際」と比べて賃料に特化した書籍です。前の本では基礎価格となる土地価格、建物価格についての記述が書籍の半分を占めていましたが、価格の部分を省き、地代を加えたのが本書籍です。

氏がホームページで公開している鑑定コラムもコーヒーブレイク的に章の間に盛り込まれていてコラムだけを読んでいても面白いです。

参考:田原都市鑑定|鑑定コラム

まとめ

賃料評価は書籍が多いのでたくさんになってしまいました。

最後に日本不動産鑑定協会の法務鑑定委員会がまとめた書籍を紹介したいと思います。

不動産鑑定をめぐる諸問題

訴訟における不動産の鑑定評価の問題点を検討・研究のテーマとした連合会の法務鑑定委員会がまとめています。したがって賃料に限らず、一般民事事件や相続の場面、税務における鑑定評価にも記述があります。

私も昔一回は通読したんですが、もうすっかり抜けていますね。お盆休みなどのまとまった休みにまた読んでみたいと思います。

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