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総会の委任状は誰に委任すれば?白紙委任状はどのような扱いに?

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毎年5~6月は企業や色んな団体の総会が目白押し。この時期は総会シーズンなどと言われますね。

総会前には組合員や会員に出欠届が届きます。出欠届には欠席をする場合のために、議決権行使書や委任状の欄が通常設けられています。議決権行使書はそれぞれの議案に”賛成”か”反対”を丸を付ければ良いのでそれほど悩まないでしょう。

では委任はどうでしょうか?

いきなり委任状を提出しろと言われても誰に委任すれば良いのか戸惑うことが多いんじゃないでしょうか?

委任状って何?

総会(PTA総会や、各種団体の総会)の開催日に、都合で当日その議決権行使に参加できない人が、出席する代わりに提出する文書です。つまり、「参加はできないが、自分の持つ議決権の行使を他の組合構成員(会員・組合員など)に委任することを証した書面」が委任状です。

委任
事柄の実行や事務的な処理を他の人や機関に任せ、自分に代わってしてもらうこと。

会を運営側としては、構成員の一定割合の出席がないと総会自体が成立しないので、出席率を高めるためにも、委任状で出席率を高めたいという思惑もあります。

民法上の委任

少し堅苦しくなりますが、民法643条で委任を確認してみたいと思います。

委任契約
民法における委任(委任契約)は、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方(受任者)がこれを承諾することを内容とする契約

通常、総会の委任状では相手方(受任者)への承諾を得ることなく名前を記載することの方が多いですよね。この場合の委任契約の成立には、???が付きまといますが、一般的には承諾の有無まで確認せずに成立すると処理されているような気がします。

誰に委任するのがベストなの?

誰に委任するのがベストなのかは一概には言えません。教科書的な解答を書くと、考えが近い人に委任するのがベストです。でも、考えが近いとか言われても分からないですよね。知り合いの名前を書いてしまって重い思いをさせてしまっても酷な気がしますし。

総会資料を読んでも特段反対したい議案が無い場合、正直どうだって良いやーって思っているとき。そんな総会も多いと思うんですよね。こんなときは、議長や会長・理事長を書くのが無難です。

委任状自体に「受任者の記入のない委任状は議長への委任とします。」などと尚書きが既に書かれている委任状も多いです。

ただ、議長に議決権があるかどうかは別問題なので後で少し解説します。

議長には議決権があるの?

よく問題になるところですが、議長には議決権があるんでしょうか。議長は議事進行を担当する役職なので、議決権はない!なんてことが巷ではよく言われていますね。

これは一部では正解で一部では間違いです。

例えば地方自治法を見てみましょう。

地方自治法 第116条
この法律に特別の定めがある場合を除く外、普通地方公共団体の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数の時は、議長の決するところによる。
2 前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。

議決に関することは、それぞれの団体の定款や規約にて定められていますが、上のような議決内容になっている団体が多いかと思います。議決が2段階に分かれているんですね。

当初の議決は議長が加わらない他の構成員(組合員)で行われます。可否同数の場合、次の段階になりここで議長が登場します。

大事なことなので文字を大きくしておきました(笑)

当初の議決に議長が加わらないからといって、議長に全く権利がないわけではありません。可否同数のときは議長が議決を行います。これを議長決済といいます。

議長が全くの議決権を持たないとする定款・規約、逆に当初の議決にも参加し可否同数のときも議長が決定するような定款・規約は無効とされています。

一般社団・財団法人においては、特定の理事(評議員)にのみ2個の議決権を与えることとなるような定款の定めは無効と解され、また、仮に、当初の議決に議長が加わらないこととしている場合であっても、当初の議決において、議長たる理事(評議員)を除く出席理事(出席評議員)の過半数の賛成で議決が成立する旨を定めた場合には、一般社団・財団法人法に定められている決議要件を緩和するものとなり、無効であると考えられます
内閣府の一般法人法における取扱い

議長に委任する利点がここにある。

議長宛てに委任する利点がここにあります。欠席が多い団体の総会では議長宛ての委任状が多く、結果として議長がかなりの割合の議決権を有してしまうことがあります。

しかし当初の議決に加われないという定款・規約ならば、議長がどのような人でも暴走を食い止めることができます。ある程度、民主的な大多数の意見で決議をすることが可能でしょう。

ただ、定款・規約で、一人の人間が受けることができる委任状の数を制限している場合もあります。

白紙委任した場合はどうなる?

私も昔よくやってしまっていたんですが、代理人覧を空欄にして委任状を提出してしまうことがあります。これを白紙委任と言います。

このような委任は無効になるんでしょうか?

定款・規約に白紙委任状に関する事項が定められている場合はそれに拠りますが、一般的には白紙委任状でも有効に委任状は成立します。では誰に委任されたことになるんでしょうか?

この場合、通常は会議(総会)の招集権利者である会長・理事長(肩書はそれぞれです)に受任者を選任する権利を委ねたとされます。

つまり、会長(理事長)が誰を受任者にするか決められるということです。

理事・会長に議決権はあるのか?

理事や会長、役員などは議案を提示して承認を受ける側なので、議決権がないなどと言われる場合があります。これは誤りで、会員・組合員であれば会長などの役員であっても当然議決権を有します。

規約などで定めがある場合は、その規約が有効なのかどうかは分かりませんが、その規約に従っておいた方が良いでしょう。

国会本会議においても、大臣や内閣総理大臣も議決権がありますね。内閣入りしたからといって、国会議員としての地位を失う訳ではありません。同じことですね。

まとめ

困ったら議長に委任!

なんて簡単に書いてしまいましたが、もちろん自分の考えで議決権を行使するのが一番です。日ごろあんまり参加していなくても、総会のときぐらいどのような活動をしているのかきちんと考えてみるのも良いかもしれませんね。

 

 

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