不動産鑑定士が不動産実務に役に立つ情報(TIPS)を綴ります

不動産実務TIPS

不動産実務

公租公課の額を下回る地代。低廉な賃料でも借地借家法が適用され借地人が保護されるの?

更新日:

おはようございます。不動産鑑定士のreatipsです。

借地借家法という法律があります。土地や建物の賃貸借契約における借主(借地人、借家人、店子)の保護を目的とする法律であり、対象となるのは建物の所有を目的とする地上権・土地賃貸借(借地契約)と、建物の賃貸借(借家契約)です。

借地借家法で保護される土地賃貸借契約が締結されている場合、土地の価値は著しく減少します。それは借地人(建物所有者)が法によって保護されることによって地主(土地所有者)の利用が制限されるからです。

借地借家法の対象となる、建物の所有を目的とする地上権または土地賃借権を借地権と言います(借地借家法2条1号)。なお、借地権の付着した土地の所有権は底地と呼ばれます。

逆にいうと、借地借家法で保護されるためには建物所有を目的とした土地の賃貸借契約を締結する必要があります。では土地を借りるにはどんな権利があるでしょうか?

  • 賃貸借|賃料の授受がある→借地借家法の適用あり
  • 使用貸借|賃料の授受がない→借地借家法の適用なし

土地を借りる権利には賃貸借と使用貸借があります。違いは賃料の授受があるか、地代を支払っているかどうかです。

固定資産税相当額の賃料の授受は賃貸借に該当する?

よく契約の中で、地代の代わりに固定資産税相当額を地主に支払う。又は地代として固定資産税相当額を地主に支払う旨の内容があります。

この場合、地代として授受されていても法的には「通常の必要費」として扱われるケースが多いです。土地の貸し借りを維持するために必要な費用で、賃料を構成しないということですね。

つまりは低廉な賃料の授受では、地代を支払っているとは認められない。従って借地借家法の適用がなく借地人は保護されない。ということになります。この場合の契約は使用貸借です。

鑑定評価上はどうなる?

鑑定評価においては、いくら底地としての評価をしてくれと依頼されても底地としては扱うことができなくなります。

2016-06-09_06h37_10

借地権が付着した土地のイメージは図のとおりです。使用貸借に基づく土地利用権は借地権価格より低いものとなるので、土地(底地)価格は上がります。

まとめ

使用貸借か賃貸借かの判断は、賃料の多寡だけでは決まりません。地主(貸主)と借地人(借主)の人間関係も含めて総合的な観点から判断されます。

ここまでくると鑑定士には判断できない部分も多いのですが、一つの例としてこんな判例があります。

建物所有者の姉夫婦が建物を借りて居住。家賃の授受はあったものの周辺家賃と比べると著しく低廉な額であったが、母親の介護をするという特殊な事情があって賃料を安く抑えていた。

このケースでは「安い賃料」に「母親の介護」という事情を加えて「標準的な家賃の授受あり」として建物の賃貸借が認定されました。

色んなケースがあるので一概には言えませんが、賃料の授受があるからといって借地借家法適用!なんて安易な結論を導かないように多面的に検討が必要ですね。

広告




広告




-不動産実務
-

Copyright© 不動産実務TIPS , 2017 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.