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古都京都の象徴、「清水寺」の登記(全部事項証明書)をとってみた

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歴史的建造物や有名な建築物の登記がどうなっているのかって気になりますよね。あれ、気にならない?

もしかしたら私だけなんでしょうか。

気が向いたらシリーズ化するかもしれませんが、今回は清水寺の登記を取ってみましたので登記情報のご紹介です。

みなさんご存知のとおり、京都府京都市東山区にある有名な寺院ですね。”清水の舞台から飛び降りる”の清水寺(きよみずでら)です。

登記をそのままアップしようかなと考えたんですが、それが良いものか悪いものかも判断しかねるので、概要をベタ打ちしてアップすることにします。登記情報のネット公開の法的見解ついて詳しい方がいらっしゃったら是非お話を伺いたいです。

清水寺の登記

清水寺の登記は本堂である主である建物のほか、27の附属建物から登記が構成されています。建物図面が存在しなかったので、附属建物が具体的に何に該当するかは分かりませんでしたが、仁王門や三重塔、阿弥陀堂、釈迦堂などの重要文化財が数多く存在する清水寺なので、いずれも歴史的な価値の高いものです。

では調べてみた登記を一つずつ記載してみたいと思います。

主である建物|本堂

  • 所在:京都市東山区清水一丁目294番地
  • 家屋番号:294番
  • 種類:本堂
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:993.33㎡
  • 原因及びその日付:年月日不詳新築

清水の舞台で知られる本堂ですね。徳川家光の寄進により再建された国宝です。建築年月日は登記上不詳となっていましたが、寛永10年(1633年)に再建されたとされています。

屋根は寄棟造(よせむねづくり)、切妻造についで多い形ですね。歴史的には東日本に多く見られるようです。奈良県の正倉院や東大寺大仏殿、唐招提寺も寄棟造の代表的な建築物です。

附属建物1|堂兼庫裡

  • 種類:堂兼庫裡
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:84.45㎡
  • 原因及びその日付:空白

庫裡(くり)は庫裏とも書かれますが、禅宗寺院内の厨房(ちゅうぼう)のことを指します。今は、厨房や僧房などを含めて庫裡というようですね。別名は庫院(くいん)です。

一般的には本堂と庫裡とで寺院が構成されています。

清水寺には、清水寺奥の院というお堂がありますが、本堂と同様に千手観音、毘沙門天、地蔵菩薩、二十八部衆、風神・雷神の諸仏が安置されています。厨房も兼ねているのでこの建物ではないと推察できますが、奥の院はどれなんでしょう。

附属建物2|馬駐

  • 種類:馬駐
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:51.85㎡
  • 原因及びその日付:空白

馬駐はうまとどめと読みます。諸堂を参拝するときに貴族や武士が馬を繋いでおくところですね。現在の建物は応仁の乱(1467~1477年)の後に再築されたものです。正面10.5m、側面5mで5頭の馬を繋ぐことがっできる馬駐は全国でも稀有なほど大きなものです。

室町時代の建築です。

附属建物3|門

  • 種類:門
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:47.65㎡
  • 原因及びその日付:空白

門は合計3つ登記がされています。有名なものとしては重要文化財の仁王門と西門です。檜皮葺なので、仁王門か西門のどちらかと思いますが特定はできません。

附属建物4|鐘楼

  • 種類:鐘楼
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:22.37㎡
  • 原因及びその日付:空白

鐘楼(しょうろう・しゅうろ)は鐘つき堂ですね。慶長12年(1607年)に建築された重要文化財です。

附属建物5|門

  • 種類:門
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:65.88㎡
  • 原因及びその日付:空白

再度”門”の登場です。符号3の門よりひとまわり大きな門ですね。仁王門と西門はどちらが大きいか分かりませんが、どちらかなのかな?

附属建物6|塔

  • 種類:塔
  • 構造:木造瓦葺三重造平家建
  • 床面積:222.37㎡
  • 原因及びその日付:空白

重要文化財の三重塔のことだと推測できます。建築は寛永9年(1632年)です。3階建てで登記されるのかと思っていたんですが、平家建なんですね。意外です。そのかわり三重造となっています。屋根材の次に○○造りと記載がある登記も初めて見ました。

附属建物7|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:222.37㎡
  • 原因及びその日付:空白

清水寺の登記には合計11の堂が存在します(本堂はのぞく)。釈迦堂、阿弥陀堂、奥の院、田村堂、朝倉堂、鎮守堂といった重要文化財を含みたくさんのお堂が存在するのでどれがどのお堂の登記かは分かりませんが、附属7の建物はお堂の中でも最も大きいものです。

附属建物8|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:94.79㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物9|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:174.14㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物10|門

  • 種類:門
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:32.53㎡
  • 原因及びその日付:空白

先の2つの門と違い瓦葺の門。

附属建物11|社

  • 種類:社
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:10.14㎡
  • 原因及びその日付:空白

檜皮葺はひわだぶきと読みます。檜の樹皮を用いた葺き方で、日本独自の屋根工法ですね。歴史的建築物に多い葺き方です。

勘違いしやすいものに茅葺き(かやぶき)がありますが、全く別物です。かや葺きはススキやチガヤなどを材料にして葺かれた屋根の構造です。茅葺きは登記上は「草葺」とされます。

附属建物12|倉庫

  • 種類:倉庫
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:12.10㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物13|門番所

  • 種類:門番所
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:44.32㎡
  • 原因及びその日付:空白

門番所(もんばんしょ)は門番の詰め所ですね。

附属建物14|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:6.45㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物15|倉庫

  • 種類:倉庫
  • 構造:土蔵造り瓦葺2階建
  • 床面積:1階30.00㎡、2階30.00㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物16|倉庫

  • 種類:倉庫
  • 構造:鉄筋コンクリート造2階建
  • 床面積:1階54.02㎡、2階54.02㎡
  • 原因及びその日付:空白

清水寺唯一の鉄筋コンクリート(RC)造り。

附属建物17|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:15.48㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物18|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:87.28㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物19|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:35.11㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物20|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:146.99㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物21|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:220.66㎡
  • 原因及びその日付:空白

檜皮葺のお堂はこの建物を含めて3つです。

附属建物22|堂

  • 種類:堂
  • 構造:木造檜皮葺平家建
  • 床面積:2.45㎡
  • 原因及びその日付:空白

最も小さいお堂です。

附属建物23|堂

  • 種類:堂
  • 構造:石造陸屋根平家建
  • 床面積:6.24㎡
  • 原因及びその日付:空白

珍しい石造りなので、どんな建物か特定できるかな?と思って調べてみたんですが分かりませんでした。

附属建物24|拝堂

  • 種類:拝堂
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:20.94㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物25|塔

  • 種類:塔
  • 構造:木造瓦葺三重造平家建
  • 床面積:28.19㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物26|便所

  • 種類:便所
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:21.51㎡
  • 原因及びその日付:空白

附属建物28|便所

  • 種類:便所
  • 構造:木造瓦葺平家建
  • 床面積:17.46㎡
  • 原因及びその日付:空白

まとめ

警察官派出所が附属建物27で登記されていたんですが、平成26年1月25日に取壊しの登記がなされていました。

清水寺のほかにもいくつか登記を取得したものがあるので、数日のうちには記事にしたいと思います。尚、誤字等の可能性もありますので、どこかに引用される方は自分で登記を取得していただければと思います。




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