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さて、年末に買った書籍の紹介です。
最近は不動産に関する基本書のようなものはほとんど読まなくなってきたんですが、本屋で偶然見かけた書籍が、不動産の法律全般を網羅しておりとても役に立ちそうだったので購入してみました。
商事法務|企業不動産法
書籍のタイトルは「企業不動産法」。書籍の冒頭にも書かれているように”企業が不動産を取得し、その使用収益を行うにあたって、また、売却するにあたって、さらには、土地を開発し建物を建築するにあたって、特に論点となりうる不動産法を解説することを目的にした”書籍となります。
企業不動産法の目次
第1部 不動産の売買
第1章 売買契約の構造
第2章 土地
第3章 建物
第4章 取引関係者
第5章 売主の責任
第6章 宅建業者の責任第2部 収益不動産
第1章 共同ビルの権利関係
第2章 賃 貸 借
第3章 不動産の運営管理第3部 不動産開発
第1章 土地所有権とは
第2章 土地利用規制
第3章 開発許可
第4章 土地区画整理
第5章 市街地再開発第4部 設計・工事
第1章 設計契約
第2章 工事契約第5部 事故と法的責任
第1章 地震
第2章 土地工作物責任
第3章 不動産の危機管理
目次や冒頭のはしがきにも書かれているように、大きな企業の総務などの不動産を管理するセクションの担当者向けの内容となっています。企業法務を担当する弁護士でも不動産に関する法律を網羅的に覚えている方は少ないです。不動産法をおさらいするために使うのにも良さそうですね。
大きな企業であれば、自社ビルを持っているでしょうし、賃貸に供されている物件も多いでしょう。第2部の収益不動産は、所有関係が複雑な共有、分有の不動産、賃貸に供する場合に気をつけなければいけない法律(借地借家法を含む)、そして、物件の管理運営についての法律が説明されています。
不動産を持っていれば、意図していなくても他人に害を与えてしまう可能性があります。
地震などで壁が剥離して落下した場合には、通行人に当たってしまう可能性もありますし、エレベーターの故障でお客さんに怪我をさせてしまう可能性もあります。
このような事故についての法的責任については、第5部の「事故と法的責任」に説明があります。借りているテナントがいる場合などは、所有者と占有者とどちらが責任を負わなければいけないのか?という問題がありますが、判例をもとに説明がなされています。
第1部の不動産売買、取引関係者には不動産鑑定士に関する説明もあります。少し耳が痛い内容も書かれていますが、おおむね事実なので仕方ありませんね。
感想など
年末年始の休みに読み切ってしまおうと思っていたんですが、家庭の用事やら遊んでしまったりでまだ全部は読み切っていません。面白いと思った章だけ読んだところです。
田舎で不動産を扱う者にとっては、あまり関係ない分野の記述も多く、都会向けの本かな。というのが第一の感想です。
住宅の不動産実務などのことにはあまり触れられていません。農地法に関する記述もほとんどありませんね。
しかし田舎にいても事務所ビルの評価案件はたまにはあるもので、そのような物件のときには参考になりそうな書籍です。一通り目をとおしておけば、困ったときに辞書的にも使えそうなので、良い買い物だったと言えるんじゃないでしょうか。
最後に商事法務ホームページでの本書紹介欄を転記しておきます。
参考:商事法務|企業不動産法
30年を超える大手法律事務所における弁護士経験を踏まえた、まったく新しい不動産法の解説書。企業が不動産を取得し、その使用収益を行う、あるいは売却する、さらには土地を開発して建物を建築するにあたって、論点となる不動産法を実務解説。実務上課題となる多くの問題を解決するためのノウハウを惜しみなく披露。「不動産法」を扱う企業担当者、弁護士等実務家、待望の必携書。