森林・林業施策の推進の一環として、平成28年春の国会に提出された森林法等の一部を改正する法律案において、森林の所有者や境界の確定等を図る林地台帳の作成等が市町村に対し義務付けられることとなりました。
まだあまり浸透していない林地台帳ですが、以前からあった森林簿との違いも含めてまとめてみました。
林地台帳とは?
市町村がその所掌事務を的確に行うため、一筆の森林の土地ごとに以下の1~4の事項を記載した台帳をいいます(森林法第191条の4第1項 )。
- その森林の土地の所有者の氏名又は名称及び住所
- その森林の土地の所在、地番、地目及び面積
- その森林の土地の境界に関する測量の実施状況
- その他農林水産省令で定める事項
ここで森林とは地域森林計画の対象となっている民有林を指しますので、林地台帳が整備されるのは地域森林計画対象民有林に限ります。
記載事項は法で定める事項以外は、省令や通達で定められ、次の事項が想定されています。
林地台帳制度創設の背景
木材価格の低迷や、森林所有者の高齢化・世代交代により森林所有者の所在が不明な森林や境界の不明な森林が増加し、森林整備に支障がでています。このような状況を踏まえ平成28年5月の森林法(昭和26年法律第249号)の一部改正において、市町村が統一的な基準に基づき森林の土地所有者や林地の境界に関する情報などを整備・公表する林地台帳制度が創設されました。
林地台帳の目的
林地台帳の整備により、次の2つが期待されています。
- 情報の修正・更新を適切に行うことにより所有者情報の精度が向上
- 森林組合や林業事業体が、森林の所有者に関する情報をワンストップで入手できることにより、施業集約化が促進
林地台帳整備の時期
改正森林法は平成29年4月1日施行ですが、林地台帳の整備にあたっては十分な準備期間の確保が必要であることから、平成31年3月末まで経過措置が設定されています。
つまり平成30年度末がタイムリミット、2年間の猶予が設けられています。
林地台帳と森林簿の違い、相違
従来から利用されてきた馴染みのある森林簿とは以下の点が異なります。
作業主体
林地台帳は市町村が整備するのに対し、森林簿は都道府県が作成主体です。
森林の基本単位
林地台帳は地番単位で整備するのに対し、森林簿は小林班を単位として作成されます。森林簿ではやや大きい範囲でしかまとめられていませんでしたが、より細やかに森林に関する情報が整備されることとなりました。
主な記載内容
林地台帳は森林の土地の所有者・林地の境界情報などが記載されるのに対して、森林簿では森林資源情報や施業履歴などが主として記載されていました。
所有者・境界などを明らかにすることにより、森林の集約化をすすめ、間伐等の推進、雇用創出、地域材活用が期待されています。
まとめ
まだ私も目にしたことのない林地台帳ですが、いつ頃から実際調査することができるのでしょうか。
森林法第191条の5には、「市町村は、森林の土地に関する情報の活用に資するよう、林地台帳のほか、森林の土地に関する地図を作成し、これを公表するものとする」と記載されています。
林地台帳地図では地番単位で記載がされることとなると思いますので、山林の調査に当たっても役に立ちそうな地図が整備されそうですね。