おはようございます。不動産鑑定士のreatipsです。
平成28年地価調査の報道記者発表が9月20日にありました。
地価公示と同様に平成28年地価調査ではどこが一番高いのか、どこが一番安かったのか、どこが一番地価が上がって、どこが下落したのかを調べてみました。
参考 H28年地価公示発表!どこが一番高い?反対に安いのは?上がったのはどこ?を調べてみました。
平成28年地価調査
まずは地価調査という制度についての簡単な説明です。
都道府県地価調査とは?
都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都市計画区域内だけではなく都市計画区域外の土地も調査対象として都道府県知事が毎年7月1日時点における調査地点の正常価格を判定するもので、地価公示と調査時点及び対象区域において、相互に補完関係にあります。
地価公示との違いは大きく2つ。この2つを理解していないと色々を間違えてしまうので、きちんと覚えておく必要があります。
- 価格の判定基準日が7月1日(地価公示は1月1日)
- 都市計画区域外にも地点が設定されているので、地価公示に比べて山間集落など田舎の地点が多い
何でもベスト1
色んな1番を調べてみました。
高価格
平成28年地価調査でもっとも高かった地点は?
東京都中央区銀座2丁目6−7(中央5-13)が地価調査では最高価格地でした。
価格は一㎡当たり33,000,000円、上昇率は年率で25.0%です。坪あたり約1.1億円。畳2帖分で1億円越えですね。もう高いのか安いのかよく分からない数字です。
東京圏の商業地上昇率のトップ5はいずれも銀座地区です。15.1~27.1%の上昇を示しています。
上昇の理由としては「外国人観光客の増加を受け、消費動向は旺盛であり、物販店等における収益性の向上から新規出店需要が強く、さらに周辺部においてはホテル用地としての需要も旺盛であることから、地価は上昇している。」と国交省では発表されています。
ちなみに、地価公示も含めた最高地点は中央通りをもう少し南西に行った地点になります。
低価格
地価調査における最低価格地は北海道の幌加内町(ほろかないちょう)にありました。近くで有名な都市としては名寄市でしょうか。
幌加内町の町北部には日本最大の人造湖「朱鞠内湖(しゅまりないこ)」があるようですね。それぐらいしか特色がないような?感じです。
肝心の金額は620円。国道沿いの土地ですが非常に安いですね。
ちなみに地価公示における最低価格地は同じ北海道の厚真町の570円でした(厚真-7)。
上昇率
平成28年地価公示での上昇率ベストは大阪府の斎橋筋2丁目8-5でした。では今回はどこでしょう?
全国での上昇率ベスト1は名古屋市中村区の名古屋駅東口にありました。
愛知県名古屋市中村区椿町1−16(中村5-4)は4,300,000円で、年間の上昇率は+32.3%です。
2027年に開業が予定されているリニア中央新幹線の影響かと思いましたが、名古屋駅周辺での大規模再開発事業等の進展が主たる要因のようです。
国交省の発表では「名古屋駅東口では大規模再開発ビルの竣工が相次ぎ、オフィス就業人口の増加を見込んだ店舗需要が旺盛で、西口へも拡がりをみせている。更に、観光・ビジネス客の増加に伴うホテル需要も顕在化していることから、地価は上昇している。」と分析されており、リニアだけではなく、インバウンドを背景としたホテル需要なども大きな要因となっているようです。
下落率
下落率がもっとも大きかったのは熊本県の益城町でした(益城-6)。
益城町(ましきまち)は4月14日の一連の熊本地震で最も揺れが激しかった地域と言われています。
下の県別の住宅地変動率を見てみると、熊本県だけが突出して地価が下落しているということはないようですので、ピンポイントで被害が大きかった地域ということでしょうか。
下落率ワースト10を見てみると、ワースト1だけが熊本県で、その他は北海道や兵庫県が目立ちます。
一般的に震災などの被害があると、代替となる土地を求める需要も増えることからそこまで地価が下落しないケースがほとんどです。アパートなどの家賃についてはむしろ上昇する傾向が強くみえます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最高価格地が銀座というのは誰もが認めるところでしょうが、こと価格となるともう少し高く評価してもよいのかな?という気がしています。
もちろん全部の取引を把握しているわけでなく、価格の高かったものだけ話題になってしまうので、どこが標準的な水準かは判断によると思いますが、坪1億円を超える取引は背後の商業地でも散見されます。