毎年3月末になると発売される雑誌があります。執行官の団体日本執行官連盟が編集して、民事法研究会が発行している新民事執行実務という執行官向けの雑誌なんですが、現況調査や特殊物件の扱い、心理的瑕疵についての記述もあり、不動産鑑定士にとってもとても役に立つ内容です。
競売評価に携わっている鑑定士ならもちろんのこと、競売に限らず有益な情報が多いので不動産鑑定士全体に有用な書籍となっています。
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新民事執行実務の概要
本書の特色と狙い
民事執行実務を適正・迅速に運用するために、執行現場における最新の動向や実務上の諸問題・留意点などを適時・的確に発信し、執行官制度の周知・理解と関係者の利便に資する!
民事執行にかかわる法令・判例や先例などの最新情報を適時に提供し、実務の円滑な運用に資する!
民事執行に関する理論と実務の架け橋となる論説・解説記事を斯界第1人者から執筆をいただき、民事執行に関与される方々の資質の向上と発展に資する!
本誌を媒介として学界・法曹界・金融機関等の企業の担当者と執行官連盟の緊密な連係関係を構築しつつ、研究活動等を通じて質の高い有意な情報を発信する!
司法制度改革が進展する今日の状況にあって、司法が国民の信頼を得るために、権利の実現のための最終的場面である民事執行制度および執行官制度の充実・発展に資する!
新民事執行実務の目次
巻頭言
執行官のあるべき姿──執行官の職性の変化──
日本執行官連盟会長兼編集部会担当理事 菊永充彦
【座談会】不動産競売手続の現況調査における実務上の諸問題
論説・解説
・改正担保・執行法施行10年の評価と課題
早稲田大学法科大学院教授内田義厚
・建築請負代金債権を被担保債権とする建物敷地に対する商事留置権の成否──裁判例の分析を中心に──
日本大学法学部准教授杉本純子
・定期建物賃貸借が問題となる不動産競売事件の現況調査
東京地方裁判所民事第11部判事(元東京地方裁判所民事第21部判事) 鷹野旭
・建物または土地が共有である不動産が民事執行で競売される場合における建物の敷地利用権の考え方
大阪地方裁判所第14民事部判事 細川二朗
・貸金庫内容物(動産)に対する強制執行再考
横浜地方裁判所相模原支部判事 早山眞一郎
・わが国における自殺の動向と対策の実情
弁護士 生越照幸
・円滑な解放実施の実現に向けて──債権者および返還実施者に望まれる事前準備の視点から──
最高裁判所事務総局民事局付 向井宣人
・人身保護請求手続の実務──子の引渡しを求める事例を中心として──
東京地方裁判所民事第9部主任書記官 永末秀伸・境博英
・BITデータによる売却価額の分析──「競売では安く売られてしまいます」というのは本当か?──
東京地方裁判所評価人候補者 石川茂夫
・競走馬・牧草・農業用機械に対する動産執行の一事例
札幌地方裁判所執行官 城﨑正和・狩原元
・特殊物件の動産執行における留意事項
福岡地方裁判所小倉支部執行官 稲満芳弘ほか
・土地引渡しまたは明渡執行における墳墓等の取扱い
広島地方裁判所執行官 平山福勇
・東京地方裁判所(本庁)における平成26年の民事執行事件の概要
東京地方裁判所民事第21部判事 酒井良介
・大阪地方裁判所(本庁)における平成26年の民事執行事件の概要
大阪地方裁判所第14民事部判事 細川二朗
〔重要判例解説〕民事執行関係重要判例の回顧(平成26年)
大阪大学大学院高等司法研究科教授 下村眞美
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【活動報告ほか】
執行官室だより〔第3回〕
新任執行官になっての感想
現況調査部会
執行部会
最高裁判所民事局情報
通達・通知等一覧
BITのリニューアルについて
参考資料 平成26年度 執行官取扱区域一覧
まとめ
私は新民事執行実務を知った年に数冊まとめ買いをしました。2017年9月現在でも古いものは絶版か中古のみの扱いとなっています。納戸も増刷がかかるような書籍でもないため、ピンときたら是非早めの購入を。