建物の鑑定評価必携(建物実例データ集)が発売されました。
建物実例データ集「建物の鑑定評価必携」名前のとおり、建物の調査をする者、不動産鑑定士には必携の書です。
「体育館の鑑定依頼が自治体からきたけど、再調達原価はいくらにしよう?」「自走式の駐車場はいくらで建築できるんだ」などと言った悩みをすべて解決してくれるのが本書です。
私も初版、改訂版も活用してきて、第3版が出たと聞いてすぐに購入しました。
定価:28,620円(税込)
7年ぶりの大幅改訂。あらゆる建物に対応できる「建物鑑定評価」資料集。改訂版既存306モデルに新たに100事例を追加し、合計406モデルの豊富な建物データを収録
建物の建設事例が豊富
メインコンテンツは当然406にも及ぶ建物データ(建築費用・工事価格)です。
前の改訂版と比べて100データも増えています。現時点でこの冊子を超える再調達原価資料のデータ集はないでしょう。
下に目次からどのような建物データが収録されているのかを引用してみましたが、圧巻ですね。
- 01a.ハウジング(共同住宅)
- 01b.ハウジング(複合住宅)
- 01c.ハウジング(個人住宅)
- 01d.ハウジング(プレハブ住宅)
- 02.事務所・業務施設(事務所、複合施設等)
- 03.商業施設(店舗、飲食店等)
- 04.文化社会施設(コミュニティセンター、宗教施設等)
- 05.教育施設(保育園、幼稚園、学校等)
- 06.医療施設(病院、医院・診療所等)
- 07.福祉・厚生施設(特養老人ホーム、老人ホーム等)
- 08.宿泊施設(ホテル、保養所等)
- 09.スポーツ・レジャー施設(体育館、クラブハウス、プール等)
- 10.流通関連施設(流通センター、倉庫等)
- 11.生産施設(工場、研究施設等)
- 12.その他
統計資料の紹介が豊富
建物の再調達原価を求める場合、時点修正や地域要因格差修正、品等格差修正など様々な要因比較をしなければなりません。
より説得力のある評価書とするためにはどのような統計資料を用いて、どのような分析すればよいか。格差率を求めるための具体的な手法が記載されています。
解体工事費の施工単価も豊富
建物の取壊しが合理的だと判断した場合、その建物の解体工事費を見積もらなければなりません。
何となく「木造住宅だから坪5万円ぐらいで」と判断していませんか?
解体工事費用に関する統計資料も豊富で、説得力の高い解体工事費用の積算が可能になります。
木造住宅の解体工事費用
項目 | 解体方法 | 施工単価 |
上屋 | 100㎡・住宅 手壊し | 〇〇〇円 |
100㎡・住宅 手壊し併用機械 | 〇〇〇円 | |
300㎡・共同住宅 手壊し | 〇〇〇円 | |
300㎡・共同住宅 手壊し併用機械 | 〇〇〇円 | |
基礎 | 有筋・手壊し | 〇〇〇円 |
無筋・手壊し併用機械 | 〇〇〇円 | |
有筋・手壊し | 〇〇〇円 | |
無筋・手壊し併用機械 | 〇〇〇円 |
上の表のように「木造」「RC造」「SRC造」「内部造作」「発生がラ」などの解体工事費の施工単価が紹介されています。
エクセルに入れておけば、平米を入力するだけで解体工事費用を積算することができるようになりますね。
その他、アスベスト対策費用やPCB廃棄物の処理料金の表もあります。
JAREA HASについての説明もあります
日本不動産鑑定士協会連合会が開発した中古住宅の評価システムが、既存戸建て住宅建物積算価格査定システム、通称JAREA HAS(ジャレアハス)です。
建物の鑑定評価必携では、JAREA HASの仕組みやシステムの利用方法についての説明があります。
というのもJAREA HASの用いている積算単価は、建設物価調査会が収集した工事データに基づいています(JBCI単価)。
新築時の再調達原価を把握するのみではなく、修繕費や改修費などの積算、更には最終的な建物価格を査定するまでの流れを学ぶことができます。
その他、建物価格査定に役に立つ書籍
建物の鑑定評価必携(建物実例データ集)以外にも建物価格査定に役に立つ書籍があります。
私が持っている書籍の中で、これは建物鑑定に使えた。勉強になったという書籍を最後に紹介します。
木造住宅の鑑定ではこれが一番。
類書にリフォーム版もあります。
建物の仕組みが分かります。
RC造・鉄骨造版
古い書籍になりますが、建築費の何たるかが分かります。