賃料の鑑定評価は、実務ではそこまでたくさんあるものではありませんが、賃料は相談が多い分野の一つです。
都会では高額となってきた家賃・地代の減額請求というものがたくさんあり、それに伴う鑑定評価も多いようですが、田舎では尚更評価は少ないものです。
裁判所の賃料鑑定の第一人者として有名な不動産鑑定士の先生の一人に、田原 拓治さんがいます。
書籍も出されており、2005年に出版された「賃料(地代・家賃)評価の実際」は絶版となっています。もちろん私も持っていますが、本書の特徴は平易で分かりやすく書かれているのと、個別具体的、そして数字や計算例がきちんと書かれているということです。
改訂版が出るという噂は聞いていたんですが、とうとう書籍が発行されたようです。
URL 田原都市鑑定|『改訂増補 賃料(地代・家賃)評価の実際』が発行された
改訂増補 賃料(地代・家賃)評価の実際
全作も400ページ近くあり、なかなかの分量でしたが、今回の「改訂増補 賃料(地代・家賃)評価の実際」はなんと720ページ!厚さにして3.7cmです。
目次は前掲の田原都市鑑定HPに記載されていますが、評価の実例や実際の裁判での様子、判例なども豊富に記載されているようです。
目次
- 新規家賃
- 継続家賃
- 収益家賃
- 家賃に関するその他
- 地代
- 地代に関するその他
- 借地権
- 明渡し立退料
賃料だけかと思ったら、借地権や明渡し立退料に関するページもあるようです。太陽光発電やゴルフ場、寺院や定期借地権など、具体例がたくさん盛り込まれており、720頁の大分量も納得な内容ですね。
金額は税込み8100円とさすがの金額がします。しかしこういった専門書は増刷してくれない場合が多く、すぐに絶版となってしまう傾向があります。迷っているとなくなってしまう可能性があるので、買えるときに買っておくのが良いと思います。
私も見つけてすぐにamazonで注文しました。
評価にも役に立ちますが、家賃の相談などは多いのでその際の理論武装になればよいと思っています。
まとめ
賃料関係の書籍でオーソライズされた理論を勉強したい人には迷わず下の書籍をすすめています。
執筆は日本最大の鑑定機関、日本不動産研究所の有志が集まってできた組織「賃料評価研究会」のメンバーです。賃料増額請求権などが詳しく書かれているので、実際の評価にあたってこれほど役に立つ書籍はありませんでした。
その他、賃料関係の書籍については次のような記事も書いていますので参考にどうぞ
参考 賃料の鑑定評価に関係する書籍を斜め読み。参考になる本のまとめ
同じ出版社(プログレス)から出版されている不動産鑑定論文誌「Evaluation」の最新刊も久しぶりに面白い特集が組まれています。
【特集】純収益と収益価格に関する―試論<江間先生への感謝>
賃貸不動産の流通に関する法的課題―民法改正案による対応と残された課題