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コンテナハウスは登記ができる?借地権は発生する?

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借りている土地を買いたいという相談を受けていました。

借りている土地を買い取る場合は、借地権が発生するかどうかが一番の問題点となりますが、コンテナハウスでも建物所有の借地として認められるのでしょうか?今日はこの問題について調べてみました。

今日の論点

  • コンテナハウスは建物として登記ができるか?
  • コンテナハウスに借地権は成立するか?

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コンテナハウスとは?

まずは、コンテナハウスについて復習しましょう。

「コンテナハウス」とは輸送用コンテナを様々な用途に合わせて改造したユニットのことを指します。コンテナとは貨物輸送に使われる立方体の鉄の容器ですね。トラックに積まれて運んでいるのをよく見かけると思いますし、刑事ドラマなどでは港での銃撃戦の場としてよくコンテナのある場所が使われていたりすると思います。

コンテナを改造して、簡易な建物として利用されることがありますが、これをコンテナハウスといいます。工期が短く、コストも安く作ることができるので簡易な店舗や事務所など、多様な用途で使われています。

最近はあまり見かけなくなりましたが、昔はカラオケボックスなどにもよく利用されていました。

コンテナハウスの建物としての登記は可能か?

コンテナハウスを建物として登記することは可能でしょうか?建物を登記するための3つの要件を確認してみましょう。

建物登記の要件

  1. 定着性
  2. 外気分断性
  3. 用途性

「定着性」「外気分断性」「用途性」の3つが必要となります。

参考 建物が登記できる要件は何?3要件「定着性」「外気分断性」「用途性」を説明します。

この要件のうち、外気分断性と用途性については認められるほぼ問題なく認められます。しかし、一番の問題は定着性です。

コンテナハウスに定着性はあるのか?

定着性を言い換えれば永続性と言います。

定着性を判断するには、一般的に「土地に固定的に付着して容易に移動し得ないものであって、取引の観念上、継続的にその土地に付着した状態で使用されることが認められるもの」といわれています。

コンテナハウスにも色々な形態のものがありますが、地面に置かれただけのものについては、簡易な物置と同様建物として登記することはできないと考えられています。

定着性の有無を判断するにあたっては、永続的に使用されるものかどうかという点と、物理的な面、つまり基礎工事の有無、規模、構造及び周囲の状況などの要素を加味した上で総合的に考慮することとなります。

コンテナが土地に堅固に固着していたとしても、その大きさや固着の程度によって、簡単に外して移動できるような程度のものであれば、建物というよりは仮設物として判断されることになります。

建物として登記されるには相当程度の永続性、定着性が必要と考えるべきです。

相当程度、土地に定着しているコンテナハウスは登記できる可能性あり

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Facebookで、給排水設備やガス設備などのライフラインがコンテナハウスに備わっている場合(設備が備わっており、実際使用料金も支払っている)は、永続性・定着性があると判断されやすいという補足説明をいただきました。

コンテナハウスに借地権は成立するか?

次の問題です。

コンテナハウスの所有を目的に土地を賃借している場合、借地権の発生は認められるのでしょうか?

借地権とは?

借地権の定義を復習します。

借地借家法第1条

建物の所有を目的とする地上権および土地の賃借権をいう

定義にわかるとおり、借地権には地上権の場合と土地の賃借権の場合があります。地上権設定をしているケースは少なく、ほとんどは土地の賃借権です。

また、建物の所有を目的としていることが一番の要件となります。つまり駐車場のための賃借では借地権は認められません。

コンテナハウスは建物所有目的といえるのか?

コンテナハウスの所有を目的とする場合、建物所有目的といえるのでしょうか?

建物所有を目的とするかどうかの判断にあたっては、建物所有が当該借地の「主たる目的」であることが必要になります。この点、判例「最判昭28・12・24、判例タイムズ37・47」では次のように述べています。

最判昭28・12・24、判例タイムズ37・47

借地借家法にいう「建物」とは、民法86条1項にいう土地の定着物のうち、住居、営業、物貯蔵等の用に供される独立性、永続性のある建造物を広く含み、法265条にいう工作物よりは狭く、橋、広告塔、記念碑、ガソリンスタンド等は含まれないと解すべきであって、その範囲は結局、一般社会通念、立法の趣旨に照らして決すべきであるとするのが判例・通説である

ガソリンスタンドには借地権が発生しないという判例がありますが、ガソリンスタンドは建物(店舗部分)の所有が目的なのではなく、ガソリンの給油施設が主たる目的で、営業用の建物については副次的なものだという判断ということです。

建物所有が主たる目的かどうかの判断については、個別具体的な判断がなされていることが多く、自動車教習所(自動車学校)でも借地権の成立が肯定されたものもあれば、否定されたものもあります。

また簡易な組み立て式の事務所や仮設建築物、小規模建築物について借地権が否定された判例もあることから、コンテナハウスも簡易なものでは借地権を認定することは難しいでしょう。

建物登記のときと同じですが、相当程度の永続性が必要なものと考えられます。

まとめ

建物登記、借地権発生の2つの問題はいずれも「永続性」「定着性」といった点が争点になります。

借地権が認められる建物に、登記の有無は直接的な要件とはなっていませんが、結果として登記が出来うる程度の建物で無ければ借地権を認めることも難しいものと考えます。

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