不動産鑑定士なら誰もが知っている雑誌があります。その名も「不動産鑑定」。月刊誌で毎月20日に発売されています。
月刊「不動産鑑定」は、昭和39年、わが国における不動産鑑定評価制度の発足と同時に創刊してして以来、すでに半世紀を超え、今では鑑定評価を中心に、不動産に関する最も権威ある専門誌という評価を確立しています。
「不動産鑑定」は鑑定業務従事者はもちろん、不動産鑑定士2次、3次試験受験者、および仲介・売買・管理等の不動産業関係者への有益な情報を提供しています。
私も鑑定士試験受験受験時代から購読していました。鑑定事務所に就職してからは定期購読していましたが、内容が薄くなってきたと感じた数年前からは定期購読をやめ、気になった論文やコンテンツがあったときのみ購入しています。
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先日都会に出かけた際に久し振りに読んでみようと思い、電車の中で読んでいました。インバウンドの記事があったので、2016年の3・4月号です。
雑誌「不動産鑑定」の最近
長いですが、2016年4月号の目次を転載してみます。
◆鑑定セミナー◆
インバウンド観光需要で活気づく主要都市の状況と地下の動向(下)
宇久 信正 あおい不動産研究所
小西 均 小西不動産鑑定所
竹内 一雅 ニッセイ基礎研究所
真里谷 和美 谷澤総合鑑定所
山﨑 健二 日本不動産研究所◆論文◆
不動産の鑑定評価基準と鑑定評価実務の変遷 第3回
昭和39年基準(3) 昭和40年宅地見込地基準 昭和41年賃料基準
新藤 延昭CRE戦略と将来展望 第4回
CSRとCREマネジメント
百嶋 徹アジア各国の不動産鑑定業界の最新動向 第4回
-モンゴル-鑑定実務の深化を目指して 第14回
地下埋設物および埋蔵文化財包蔵地の調査
黒沢 泰◆資料・その他◆
ニュースファイル不動産の基本知識と不動産評価の基礎知識
第30回 不動産の瑕疵
傍目八目 マイナス金利下の不動産投資市場NEW YORK通信
木田 敦彦●Low Line―ダウンタウンに世界初の地下公園構想不動産を科学する 風水メソッド 第14回
工藤 沙美主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~
第33回 平成27年第4四半期の動向
正直なところ、読むべきところが少なくなったなー。という感じです。感想を箇条書きにしてみます。
- 海外の話
- 古い話
- 風水という興味のない話題
- 国交省のレポートの単なる転載
海外の話題が多い
不動産鑑定士はその9割が一人事務所で業務を行っています。雑誌「不動産鑑定士」のメーンターゲットもそのような鑑定士であると思うんですが、その層の鑑定士に海外不動産の話題は必要でしょうか?
雑誌「不動産鑑定」は日本不動産鑑定士協会連合会の広報誌のようなイメージがあります。アジアの最新動向は連合会の国際委員会が書いていますね。もう一つのニューヨーク通信は数年前からの連載のようですが、書かれている人はどんな人か分かりません。
正直誰が読んでるの?と思います。
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古い話しが多い
「不動産の鑑定評価基準と鑑定評価実務の変遷」という連載をされていますが、読んだところ、改正される前の不動産鑑定評価基準をなぞっているだけ。昭和39年の基準の情報を誰が知りたいのでしょうか。
風水
専門誌にこの情報必要です?この連載も長いようですが、「不動産鑑定」に嫌気がさした理由の一つでもあります。
転載
地価LOOKレポートを資料として転載されていますが、ライターさんがまとめたものを記事にするだけで十分では?約90頁の17頁をこの転載に使用していますが、お金を払ってまで読みたいのでしょうか。
まとめ
昔に比べると広告は激減していますね。大手の不動産鑑定業者は広告に名を連ねていましたが、買ってみた号では一社のみの広告掲載でした。しかも3月号は広告をだしていましたが、4月号には名前がなかったことから毎月広告を掲載しているようでは無さそうです。
不動産鑑定業界は先細りの業界で公告にかけるお金なんてない。っていうことなんでしょうけれど寂しいものですね。
売れないし広告もないから、お金がない。そして内容も薄っぺらなものになっていく。そんな印象を受けてしまいました。
面白そうな論文は、プログレス社の「Evaluation」の方が多そうな気がします。
借地権割合はどのようにして求めるか…田原 拓治
加算式の取引事例比較法の提案――戸建住宅への取引事例比較法の適用に関する考察…國島 章民
このあたりの記事は購入してでも読んでみたいなと思います。