建物が不揃いに沈下を起こすことを不同沈下といいます。家全体が均等に沈下することではなく、不揃いに沈下することによって家が亜kた向いてしまいます。
家が傾くことによって、我々の日常生活にも大きな影響を与えます。モルタルや外壁に亀裂が走ったり、建具や柱が傾いてしまうことによりドアや扉の開け閉めがスムーズにできなくなります。最悪の場合、ドアの開閉が出来なくなる場合もあります。気密性が下がりますので、断熱効果なども下がってしまいますし、壁から雨水が浸水することによって建物の躯体が腐食してしまうことも考えられます。
なぜ不同沈下が起きるのか?
不同沈下の原因には様々な要因があります。地盤が軟弱地盤だった場合や、地下に建築廃材などが埋められていることも不同沈下の要因です。そして造成地で盛土をした場合の締固めが不十分だったときも不同沈下がよく生じます。
盛土の締固めでは、宅地が安全となるために十分な強度が必要とされます。
締固めの管理において確保すべき強度
- 宅地全体の安全確保に必要な強度
- 建物が要求する支持力を確保するための強度
具体的には宅地防災マニュアルの解説において、次のように記載されています。
よく締まって密な構造になっている土は、外力に対する抵抗が大きく、より高い安定性を保つことができる。所定の品質の盛土を仕上げるためには、敷均された土を締固め用の機械で十分に締め固める必要がある。土の締固め規定方法には、品質規定方式と工法規定方式があり、その土質に応じた方法によることが大切である。
つまり、締固めをする場合は締固め用の機械で、十分に締め固める必要があります。では、締固め用の機械とはどのようなものでしょうか?
土木工事において土やアスファルト混合物などを締め固め、材料の支持力を高めるために使用される機械。道路、鉄道、堰堤(えんてい)、堤防、空港、運動場、敷地造成などの土工事や舗装工事などに用いられる。締固め方法によって、静的圧力(重量)によるものと動的圧力(振動・衝撃力)によるものとに大別される。代表的なものに、ロードローラー(自重による転圧)、タイヤローラー(自重による転圧)、振動ローラー(振動と自重)、振動コンパクター(振動)、ランマー(衝撃)などがある。これら締固め専用機械のほかに、ブルドーザーなどの重土工機械も利用される。
引用:コトバンク|締固め機械
ロードローラーや振動ローラーなど、大規模な造成工事現場ではよく見かけるものが締固め用機械として記載されています。しかし、ここで一つ気になることが書かれています。
これら締固め専用機械のほかに、ブルドーザーなどの重土工機械も利用される。
締固め用の機械ではありませんが、ブルドーザーなどの重土工機械で盛土の締固めをしてしまうことがよくあるんですね。これは宅地防災マニュアルの解説にも次のように書かれています。
宅地土工で主となる締固めは盛土本体の締固めで、これは面積が広く層厚も大きい場合が多い。この他に宅盤面を細分したひな段に形成する際の締固めなどがある。多くの盛土本体の締固めはブルドーザーにより締固められていることが多いのが現状である。
そうなんです。本来は締固め用の専用機械ではないブルドーザーで締固めに代用してしまうことが現場では多く行われているんです。
ブルドーザーによる締固めは十分か?
ブルドーザーと人間(75kg)が片足立ちした場合の接地圧を表にしてみました。
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何トンもあるブルドーザーを走らせれば、地面は十分に締め固められると思いますが、成人男性が片足立ちするのと地面に対する圧力はたいして変わらないことが分かると思います。
これは、湿地ブルドーザーやパワーショベル、ユンボ(ミニパワーショベル)で締固めを行おうとした場合も同じ、接地圧は人間の片足立ちとたいして変わりません。
では振動ローラーなどの締固め専用の機械の接地圧はいくつぐらいでしょう?振動ローラーの圧力は接地圧ではなく線圧で示されるのが一般的なので比較はやや困難ですが、11 tf で接地幅を10cm程度と家庭すれば、2.6kg/c㎡ぐらいとなります。
締固め専用でない機械の4~5倍もの圧力をかけることができます。ブルドーザーで締固めをした造成地の住宅は安全といえるのでしょうか?
まとめ
昔は盛土をして造成をした場合は、3年くらいは寝かすのが当たり前だったようです。梅雨の時期を3回経験させれば地盤も安定して十分に締め固められてきます。しかしながら、最近は色々な造成や工事の期間が短くなってきています。3年寝かせるのは無理だとしても、せめて専用の締固め機械で造成工事を行ってほしいものです。