国土交通省から平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査が発表されました。
この調査は、民間住宅ローンの供給状況の実態等について把握し、住宅政策の
立案のための基礎資料を作成することを目的として、民間金融機関のご協力のもと、平成15年度から実施しています。
今般、平成27年度調査の結果をとりまとめましたので、報告いたします。引用 国土交通省|平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査
URL 国土交通省|平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(PDF形式)
現在、国や不動産業者、鑑定業界もあげて中古住宅の流通の活性化に取り組んでいます。インスペクションの普及啓発もその一環ですね。
参考 インスペクションとは何?中古住宅市場の活性化のためにインスペクションが必須に?
当レポートの中で、新築の住宅と中古住宅についても書かれていたので、まとめてみたいと思います。
スポンサーリンク
平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査
新規貸出額の使途別実績
新規貸出額の目的別の割合(新築。中古。借り換え)は次のとおりです。
新築の割合はほぼ変わらず。中古住宅向けの融資は伸びていますね。借り換えの割合が3年前より減っているのは意外です。借り換えの話しって結構増えてきているので、借り換え目的の融資も増えているもんだと思っていました。新築が減少していないのも意外ですね。
新築住宅の建設・購入に係る実績
次は新築住宅向けの新規貸出額についての統計です。
新築住宅向けの貸出額は減少傾向にありますね。回答数が583から587に増えているにも関わらず総額が減ってます。土地建物の総額が小さくなっているのか、自己資金が増えたので融資利用が減っているのかどちらかでしょうか。親からの援助が得られやすい制度になっているので、自己資金が増えている面はあるんでしょうね。
中古住宅の購入等に係る実績
新築の次は、中古住宅の購入についての新規貸出額についての統計です。
回答数も増大しているので、中古住宅に対する融資をしている金融機関も増えてきているということが分かります。貸出額も3年前に比べて1.5倍になっていますね。
スポンサーリンク
審査項目
気になるものとして、融資を行う際に考慮されている審査項目についてのアンケートもありました。ローン審査に当たって、どのような面をチェックされているのかは気になりますね。
上から10番目までを取り上げましたが、一番気にされているのは完済時の年齢のようです。最近は住宅の第一次取得世代が高齢化しているような気がします。完済時に何歳なのか。もう定年を迎えているのか。というのは金融機関としても気になりますね。
基本的にはローン完済時までにきちんと働き続けて返済が続けられるかという項目が重要視されているようです。
まとめ
金融機関の人と話していても、住宅ローンは金利競争の激化もあってなかなかうま味の少ない事業となってきているようです。しかしながら、デフォルト率の低さから安定した収益源であることは変わりないようです。
中古住宅の融資の際に問題となるのが、建物の評価です。審査項目には担保価値とありますが、中古住宅の担保価値を判定する際はリフォーム費用があまり考慮されていないので銀行が査定したのでは担保価値が低めに査定されがちです。
我々不動産鑑定士もこの問題に対応すべく、中古住宅流通活性化のための建物評価システムを開発して多方面に売り込んでいます。うまいこと普及していくと良いですね。
参考 国土交通省|JAREA HAS 2015 既存戸建住宅建物積算価格査定システムの好評について