区費、町内会費と呼ばれる自治会費は、通常土地を購入する際はあんまり気にしないものです。しかし、いざ引っ越すとなると入区費などという形でまとまった金額の請求をされることがあり、「聞いてなかった!」と問題になることも少なくありません。
そもそも、区・町内会などとは何なんでしょうか。
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住民自治組織(区・自治会・町内会)とは
区や自治会・町内会などと呼ばれ方は地域によって様々ですが、地域住民によって組織された住民自治組織のことを指します。
住民自治組織は、地域の子どもやお年寄りの安全確保、災害時における助け合い、防犯灯やゴミ集積所などの維持管理、行政からの文書の配布・回覧など、地域固有の課題や行政と協働して行う活動に取り組んでいます。
市や町などとの連携役としての役割も大きいですね。そのためほとんどの役場では自治組織に加入することをすすめています。
活動内容としては主に次のようなものがあります。
- 市の広報紙やその他の行政文書の配付・回覧
- 地域に設置されている防犯灯の蛍光灯交換、電気料の負担
- ゴミ集積所の維持管理、市内一斉清掃への参加・協力
- 消防団への協力、自主防災組織による防災訓練
- 小中学校やPTA等と連携した防犯活動
この住民自治組織運営のために徴収されるのが、区費・自治会費・町内会費と呼ばれるものです。
住民自治組織の名称によって、徴収されるお金の名称は様々ですが、地域自治のための運営費用という目的は変わりません。
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区費は地域でさまざま
仕事の関係もあり一つの市の全部の区費やその他費用を調べてみました。自治会に払う費用としては主に3つあるようです。区に加入するための入区費(加入費)、年ごとに支払う区費(町内会費)、そしてその他の費用です。
区費の内容
- 入区費(加入費)
- 区費(町内会費)
- その他の費用
入区費(加入費)
100近くの区(町内会)を調べたんですが、半数以上は加入費は0円でした。しかし数千円から数万円の入区費を求めている区もありさまざまです。
一番高い区は入区費12万円でした。10万円の区も数か所ありました。
調べた地域のことなので一般的にいえるかは分かりませんが、市街地では高く、市街地から離れた集落のような地域では入区費が0円のところが多かったです。
田舎の地域の方が相互扶助の考えが浸透しているからでしょうか。
0円の地域も多いが、数万円~高いところでは10万円の入区費が発生する
貸家(アパート)住まいの世帯には、別の金額となっている区もありました。一時的な住まいなので入区費が安くなるように設定してくれているんでしょう。同じくで持家になったときのケースは書かれていませんが、おそらく持家と貸家の差額を支払えばよいんだと思います。
区費・町内会費・自治会費
場所によっては年額数千円という地域もありましたが、ほとんどは数万円の費用が発生します。
月1,500円~2,000円で年額にすると2万円前後の区が多いようです。さすがに0円という地域は無かったものの、一番安いところでは年額2,000円でした。しかし、自治会に属する人数が5名という地域だったので例外なのかもしれませんね。
区費についても、貸家(アパート)住まいの特例がある地域がありました。しかし、入区費だけは特例を認めるけれど、年額払いの区費には特例なしという地域も多かったです。
その他費用
その他費用としてはその区の考え方によってさまざまなものがあります。
例示をしますと
その他の費用には何がある?具体例
- 寺・神社の負担金
- 消防協力費
- 公民会費
- 不在家屋負担金
- 土木費
- 財務費
- 衛生費
- 水路維持管理費
- 公民館積立
- 地区費
- 有線放送費
- 交通安全協力金
交通安全協力金は、安協と呼ばれているものですね。安協も含め強制される費用ばかりではないですが、色んな形で費用負担が求められます。
中でも大きいものが公民館に対する費用です。公民館に関する費用は毎年の維持費もありますが、古くなった公民館のための積立費用が区費の一部として求められるケースが多いです。
公民館の建替えを検討している区、建て替えをしたばかりの区では数万円のレベルで費用を請求する場合も多いので要注意です。
中でも面白かったのは不在家屋負担金ですね。空き家が社会問題となっているので、こういった形で空き家に負のインセンティブを与えるのは重要なんじゃないでしょうか。現に空き家があって困っているのは近隣住民の方ですしね。
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自治会費の平均
調査してみた一つの市の区費(自治会費)の平均を計算してみました。
この市は、140近くもの自治会が存在しています。
毎年支払う自治会費の平均は年額21,908円、入区費は25,985円でした。
自治会の連合会
調べてみると、自治会の連合会がホームページを運営していることが多いんですね。特に神奈川県の自治会では多くの連合会でホームページを運営していました。
参考 港北区連合町内会
参考 幸町内会連合会会
しかしながら、区費までホームページで公開している連合会は見つけることができませんでした。入区費に0円~10万円の差があればなかなか公開しづらいですよね。
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区費・町内会費は支払い義務があるのか?
区や町内会などの自治会は、任意の団体なので加入しなければならないという義務はありません。
そのため、区に入らなければ区費や町内会費などの支払い義務も発生しません。
これは判例でも示されています。
自治会費等請求事件(最高裁判所第三小法廷)
県営住宅の入居者によって構成され,権利能力のない社団である自治会の会員は,当該自治会が,会員相互の親ぼくを図ること,快適な環境の維持管理及び共同の利害に対処すること,会員相互の福祉・助け合いを行うことを目的として設立されたものであり,いわゆる強制加入団体でもなく,その規約において会員の退会を制限する規定を設けていないという事情の下においては,いつでも当該自治会に対する一方的意思表示により退会することができる。
また、マンションの管理規約で町内会費を徴収すると定めてあっても、その拘束力はないと示された判例もあります。
参考 町内会費を徴収することをマンション管理規約等で定めてもその拘束力はないとされた事例
まとめ
全国では30万近く町内会が存在しているようですが、クローズアップ現代の調べでは加入率は今や2割程度まで落ち込んでいるようです。20年前には7割近くあったというので、問題は深刻ですね。
参考 クローズアップ現代|町内会が消える?~どうする地域のつながり~
上でも記載しましたが、町内会の役割は地域には欠かすことができないものも多いです。どうせ年寄の寄り合い費用でしょう?と考える人も多いようですが、地域を地域として存続させるためにも地域に根付いて生活をしていきたいものです。
運営する町内会(区)側でも、引っ越してくれた人にだまし討ちで入区費の支払いをお願いするのではなく、この区(町内会)に入ると入区料と区費がこれだけかかりますよと不動産の購入希望者にも分かるように情報を開示してもらいたいものです。
不動産業者も入区費については調べていない業者が多いですが、きちんと調べて説明する必要があるかと思います。