農道とはどんな道路でしょうか?
以前「農道・林道とは?曖昧な定義の曖昧な使われ方をする単語を調べてみた」では、農道の一般的な説明をしましたが、もう少し突っ込んで、「農免道路」「広域道路」とは何かを説明したいと思います。
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農道とは?
簡単に一般的な農道についても触れておきましょう
農道とは名前のとおり、農業のために使われる道路一般をさします。
土地改良法では、第2条で農業用道路についての定めがありますが、この農業用道路を一般的に農道と言います。
土地改良法 第2条(定義)
この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行なう次に掲げる事業をいう。
一 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設(以下「土地改良施設」という。)の新設、管理、廃止又は変更(あわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業及び土地改良施設の新設又は変更(当該二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業を含む。)とこれにあわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する次号の区画事理、第三号の農用地の造成その他農用地の改良又は保全のため必要な事業とを一体とした事業を含む。)
農免道路(のうめんどうろ)とは
農免道路の正式名称は、「農林漁業用揮発油税財源身替農道」といいます。略して、農免道路・農免農道といいます。
もう少し、正式に(ややこしく)説明すると、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業によって整備された、基幹農道及び付帯農道のことを、農免道路といいます。
身替農道は、「みがわりのうどう」と読みます。
「農林漁業用揮発油税財源身替農道」という何とも分かりづらい名前ですが、この名前は農免道路の性格を正確にあらわしています。
つまり農林漁業の従事者には「農業や漁業用機械に消費される揮発油税については免税して欲しい」という要望がありました。しかし、税金を免除することはとても困難です。そのため、農林漁業の従事者のために揮発油税を財源とした道路が身替りとして作られたのです。
農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業は昭和40年から行われましたが、民主党政権で有名になった事業仕分けによって廃止となりました。
したがって、廃止された平成20年を最後に農免道路は作られていません。
平成20年度には115億円の予算がついていたことからも、大規模な事業だったことが分かります。
広域農道とは
広域農道は、広域営農団地農道整備事業によって整備された農道をいいます。
都道府県が事業主体となって、国の補助を受けて行う事業です(補助率50%)。
広域営農団地農道整備事業の目的
農村地域の農道網を有機的かつ合理的に整備し、農業の生産性の向上及び農産物流通の合理化を図るとともに農村地域の生活環境の改善に資する。
事業の概要
広域営農団地整備計画に位置づけられた基幹的な農道の新設または改良を行う事業であり、以下の採択要件を満足するもの。
採択要件
以下の要件を満たすもの
・受益面積 1,000ha以上
・延 長 10km以上
・車道幅員 5.0m以上
広域的な観点で作られる農道という名前のとおり、広域農道は、個々の離れた農地地域を結ぶ幹線道路です。
農林水産省のホームページに分かりやすいイメージ図がありましたので、引用したいと思います。
ここの農地内には一般農道が整備され、その農地をつなぐ役割として広域農道が整備されていることが分かります。
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広域農道・農免道路・一般農道のまとめ、違い
3つの道路とも事業目的は、農業生産性の向上、農産物流通の合理化、農業生産の近代化を目的として作られるものです。
事業概要は3つともやや異なります。
広域農道 | 広域営農団地整備計画に位置付けられた基幹的な農道の整備 |
農免道路 | 農業世に使用する揮発油に対する減税の身替り措置として、揮発油の税額に相当する財源をもって整備する基幹的な農道の整備 |
一般農道 | ほ場整備で整備された農道を結ぶ幹線農道、畑地等の農道網等の整備 |
次に事業主体の違いです。
道路 | 事業主体 |
広域農道 | 都道府県 |
農免道路 | 都道府県、市町村、土地改良区 |
一般農道 | 都道府県 |
農道と道路交通法との関係
農道だからシートベルトはいらない。道路交通法は関係ない!
そんな考えのおじいさんもいたりしますが、ほとんどの農道では道路交通法が適用されます。
道路交通法の適用については、「私道での運転練習は無免許運転?道路交通法は私道にも及ぶのか。」で、道路交通法がどのような道路で適用されるのかを解説しています。
大学の構内道路でも道路交通法が適用された事例も紹介しています。