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定期借地権の種類と違い。それぞれのメリットとデメリットのまとめ

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定期借地権の制度は平成3年10月に新借地借家法が成立し、平成4年8月1日に施行されることにより制度化されました。

従来からの更新が認められる借地契約を普通借地権と呼ぶのに対し、新設された更新されない借地契約を定期借地権と呼びます。

  • 普通借地権|更新される借地権
  • 定期借地権|更新されない借地権

定期借地権と普通借地権の違いについては、別の記事でフォローするとして、借地借家法で規定されている3つの定期借地権の種類と違いについて説明していきたいと思います。

定期借地権の種類

定期借地権には次の3種類があります。以下法とは借地借家法を差します。

定期借地権の種類

  1. 一般定期借地権(法22条)
  2. 事業用定期借地権(法23条)
  3. 建物譲渡特約付借地権(法24条)

次にこの3種類の定期借地権の違いについて説明していきたいと思います。

存続期間の違い

種類存続期間
一般定期借地権50年以上
事業用定期借地権10年以上50年未満
建物譲渡特約付借地権30年以上
普通借地権30年以上

定期借地権の存続期間

建物の利用目的

事業用定期借地権は居住用のアパート、マンションなどの利用目的には使えません。ロードサイド店舗としての活用が中心的で、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ファミリーレストラン、ガソリンスタンド、パチンコ店、ゲームセンター、レンタルビデオショップ、大型書店、紳士服チェーン店舗などの利用が想定されています。

種類建物の利用目的
一般定期借地権用途制限なし
事業用定期借地権事業用建物所有に限定
建物譲渡特約付借地権用途制限なし
普通借地権用途制限なし

契約方法

契約方法は、3種類のうち建物譲渡特約付借地権のみが異なります。

一般定期借地権と事業用定期借地権の契約は、公正証書等の書面で行うことが要求されます。また、下の3つの特約を定めることが必要とされます。

  • 契約の更新をしない
  • 存続期間の延長をしない
  • 建物の買取請求をしない

建物譲渡特約付借地権の契約方法は、口頭でも可能です。しかし次の特約をすることが必要です。

  • 30年以上経過した時点で建物を相当の対価で地主に譲渡すること

借地関係の終了

借地関係の終了も、3種類のうち建物譲渡特約付借地権のみが異なります。

一般定期借地権と事業用定期借地権の契約は、期間の満了により借地関係が終了します。建物譲渡特約付借地権の借地関係は、建物譲渡により終了します。

契約終了時の建物

契約終了時の建物の扱いについても、3種類のうち建物譲渡特約付借地権のみが異なります。

一般定期借地権と事業用定期借地権では、原則として地人は建物を取り壊して土地を返還することとされます。

建物譲渡特約付借地権では、次の3つのケースが想定されます。

  • 建物は地主が買取る
  • 建物は収去せず土地を返還する
  • 借地人または借家人は継続して借家として住まう

定期借地権の3種類のメリット・デメリット

3種類の定期借地権について、それぞれのメリット・デメリット特徴を説明していきましょう。

一般定期借地権(法22条)

一般定期借地権は建物の利用目的が限定されていないことから、マンションなどの建築にも利用できます。借地権の戸建て住宅などもあり、所有権では高額となる場合でも借地権であれば一戸建てを購入することができることもあります。

地主としては相続税の節税効果があります。また、契約期間が50年以上と定められていることから、長期間に渡って安定的に地代収入を得ることができます。普通借地権とは違い、契約更新がなく、建物買取請求も認められていないことから、決まった期間で更地で戻ってきます。アパート・マンションなどの居住用建物を建築した場合は、固定資産税の軽減措置を受けることもできます。

契約が長期間に渡るため、短・中期的に別の利用を考えている場合には利用できません。

事業用定期借地権(法23条)

事業用定期借地権と一般定期借地権との違いは、建物の利用目的が限定されていること、そして契約期間が一般定期借地権に比べて短いことです。

建物の利用目的は事業用途に限定されることから、地代利回りが良い、つまり高い地代を得られる場合があります。用途が制限されることにより需要者は限定されますが、ロードサイドなどの出店可能性のある地域では利用価値の高い定期借地権です。逆に住宅地域にある土地にあっては、利用が難しい契約方式となります。

借地期間が短いことから、短・中期的な土地活用計画が立てやすいことがメリットです。契約期間が短いにも関わらず、土地は更地で返ってきますし、契約の更新もありません。

建物譲渡特約付借地権(法24条)

利用が難しいことから活用されている事例は一番少ないのが、建物譲渡特約付借地権です。利用方法としては、「つくば方式」が有名で、良質な住宅を安価に供給しつつ、将来の建物建替時の合意形成が用意になることがメリットです。

借地期間は30年以上。期間満了後に地主が借地人から建物を買い取ることによって契約が満了します。建物買取後は地主が建物所有者として、家賃収入を得られる可能性があります。ただ、建物を買い取らなければいけないというのはデメリットにもなります。

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