熊本地震のこともあり、地震と地価についてまとめようと思っていますが、本業で時間をとられてなかなかきちんと調べることができていません。
そんな中、週末の空いた時間に古い書籍を久し振りにめくってみました。1996年3月に発行された「震災と鑑定評価」は平成7年7月に大阪で開催された第13回不動産鑑定シンポジウムの結果をまとめたものであり、シンポジウムでの研究発表は、同年1月7日に発生した阪神・淡路大震災及び震災復興に伴い生ずる不動産鑑定評価上の諸問題を中心としたものでした。
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目次
震災と鑑定評価 : 第13回不動産鑑定シンポジウム
第一編 罹災都市借地借家臨時処理法適用上の諸問題
1 罹災法適用上の法律上の諸問題
2 罹災法適用上の評価上の諸問題
3 優先権の行使と借地・借家条件
第二編 罹災地の地価・担保評価上の諸問題
1 罹災地の地価の現状について
2 大震災後の関西の地価動向
3 罹災地における担保評価上の諸問題
第三編 復興事業実施上の諸問題
1 土地区画整理事業上の諸問題
2 市街地再開発事業上の概要と課題
3 用地買収と補償上の諸問題
4 罹災法と土地区画整理事業
5 市街地再開発事業上の諸問題
第四編 マンションの復旧、建替え、再建上の諸問題
1 被災分譲マンションの再生と法律問題
2 マンション復旧における諸問題
3 マンション復旧に関する評価上の諸問題
震災復興関係文献目録目次
第一編
第一編は罹災都市借地借家臨時処理法についてです。この法律は2013年9月25日に廃止され、現在は「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法」として生まれ変わっています。東日本大震災が同法の特定大規模災害として指定されていますね。
第二編
第二編は地価の動向と担保評価についてです。震災があると地価は下落するものだという感覚がある方も多いのですが、一概にはそうとは言えません。大規模な自然災害があるともちろんリスクが増大することになるので需要は減少する局面があります。しかしながらそれよりも強いのが供給不足です。この阪神・淡路大震災でも芦屋のような高級住宅街では地価は総じて下落したとのことですが、その他の標準的な住宅地は価格はまだら模様。特に賃貸市場では賃料はほとんどのエリアで上昇傾向にあったようです。
第三編・第四編
第3・4編は復興についてです。あまりきちんと読んでいないために割愛します。
まとめ
著書の最後には「震災復興関係文献目録」の一覧が記載されています。ほとんどが1995年くらいの著作になるのでなかなか手に入りづらいとは思いますが、「被災不動産の法と鑑定」など興味のもてそうなタイトルの文献が多数ありました。
熊本地震の現場では罹災証明書発行のための調査などの場面で不動産鑑定士も多数協力して災害復興の役割を担っているようです。
頭が下がります。