実際に競売評価に携わっている評価人、現況調査を行っている執行官の方の中にも書類に何を記載しなくてはいけないのか。その法令根拠を知らない人が結構多いです。
今回はそんな法律が定めている記載事項をまとめてみたいと思います。
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現況調査報告書
執行官が作成する現況調査報告書です。執行官は裁判所の書記官から試験を受けて任官される人のほかに、最近は外部の金融機関経験者や不動産鑑定士からなられる人も増えています
記載事項(民事執行規則 第29条)
現況調査報告書の記載事項は民事執行規則に次のとおり定められています。
一 事件の表示
二 不動産の表示
三 調査の日時、場所及び方法
四 調査の目的物が土地で あるときは、次に掲げる事項イ 土地の形状及び現況地目ロ 占有者の表示及び占有の状況ハ 占有者が債務者以外の者であるときは、その者の占有の開始時 期、権原の有無及び権原の内容の細目についての関係人の陳述又は関係人の提示に係る文書の要旨及び執行官の意見ニ 土地に建物が存するときは、その建物の 種類、構造、床面積の概略及び所有者の表示
五 調査の目的物が建物であるときは、次に掲げる事項イ 建物の種類、構造及び床面積の概略 ロ 前号ロ及びハに掲げる事項ハ 敷地の所有者の表示ニ 敷地の所有者が債務者以外の者であるときは、債務者の敷地に対する占有の権原の有無及び権原の内 容の細目についての関係人の陳述又は関係人の提示に係る文書の要旨及び執行官の意見
六 当該不動産について、債務者の占有を解いて執行官に保管させる仮処分が執行されているときは、その旨及び執行官が保管を開始した年月日
七 その他執行裁判所が定めた事項
評価書
評価書は裁判所の命令を受けた評価人が作成する書類です。評価人になるためには、執行裁判所が作成する評価人候補者の名簿に登載される必要があります。勘違いしやすいんですが、評価命令があって、はじめて評価人となるのであって、名簿に登載されただけでは評価人ではありません。肩書きは評価人候補者です。
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記載事項(民事執行規則 第30条)
一 事件の表示
二 不動産の表示
三 不動産の評価額及び評価の年月日
四 不動産の所在する場所の環境の概要
五 評価の目的物が土地であるときは、次に掲げる事項イ 地積ロ 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)その他の法令に基づく制限の有無及び内容ハ 規準とした公示価格その他の評価の参考とした事項
六 評価の目的物が建物であるときは、その種類、構造及び床面積並びに残存耐用年数その他の評価の参考とした事項
七 評価額の算出の過程
八 その他執行裁判所が定めた事項
附属資料
現況調査報告書
現況調査報告書には、調査の目的物である土地又は建物の見取図及び写真を添付しなければならない。
評価書
評価書には、不動産の形状を示す図面及び不動産の所在する場所の周辺の概況を示す図面を添付しなければならない。
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まとめ
意外と知らないんですが、写真を添付するように求められているのは執行官の現況調査報告書だけであり、評価書には定めがないんですね。建物の見取り図(間取り図)についても、現況調査報告書には法令上の義務がありますが、評価書には定めがありません。
特に建物の間取り図は評価人が作成し、評価人の間取り図を執行官が使用している地域が多いと思います。意外ですね。
現況調査報告書や評価書も全国的な統一化が図られて今に至っていますが、民事執行規則には次のような条文もあります。
その他執行裁判所が定めた事項
つまり、民事執行規則では求められていない評価書の写真も、執行裁判所が定めることによって添付しなくてはいけないっていうことですね。