競売評価人になりたいと考えている人は多いと思います。
評価人とは、民事執行法に基づいて、競売物件の売却基準価額を評価する人をいい、不動産の鑑定評価に関する専門的な知識・経験を有する者の中から執行裁判所が選任します。
評価人の役割とは競売物件の適正な評価を行うことにより、所有者、債権者の利益保護、不当な廉価の買受による債権回収阻害を防止しようとするもので、不動産競売制度の根幹を担っています。
昔は裁判所から"先生!是非やってください!"なんてお声かけがあったと聞きますが、最近は試験・面接を経て選んでいただかないと評価人にはなれません。全国で列をなして評価人になりたい人が待っている状態なので、試験や面接もかなり難しいようですね。私も運よく合格できましたが、その頃はまだ時代が良かったのかもしれません。
今回はそんな評価人になるための試験について説明したいと思います。
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試験内容
試験内容は執行裁判所によって異なります。未だに面接だけで良い地域もあれば、本格的な小論文試験を課せられる地域もあります。今検索してみたところ、津地方裁判所の評価人候補者募集要項がwebに残っていました。
※下の例は平成27年度のもので、募集は既に終了しています。
不動産競売事件評価人候補者募集要項(抜粋)
7 選考内容
1)書類選考
2)筆記試験(試験時間80分)
受験者全員について,民事執行法上の評価に関する問題について,小論文試験を実施する。
3)面接試験(一人当たり20分程度)
受験者全員について,面接試験を実施する
引用:津地方裁判所
この募集要項には民事執行法についてのみ書かれていますが、当然民法の知識も要求されます。特に法定地上権あたりは必須の知識です。
試験対策
民事執行法の学習をする前に、競売不動産の評価についての解説書を読むことをお勧めします。法学部で学んだ人であれば抵抗がないのかも知れませんが、いきなり民事執行法を読んでもなかなか知識が身に付きません。
競売不動産の評価を行っている人であれば、全員と言って良いほど携行している書籍がこちらです。
不動産競売の流れから始まり、評価人の役割と基礎知識といしての語句説明、更には競売評価に必要な法律知識が体系的に網羅されています。評価人を目指す人でなくても一冊持っていると鑑定業務に役に立ちますし、3点セットを使う側(見る側)の買受人(不動産業者)にとっても、評価書のどこをどう見れば良いのかの参考になります。
同様の書類としては
があります。私もよくこれを見ながら評価書を書いています。
試験でもよく問われる法定地上権の成立要件や具体的にどのような場合に成立してどのような場合に非成立なのかが例示してあり、参考になります。事故物件(殺人事件や不自然死等)などの特殊物件の評価についても記述されているのはありがたいです。
競売不動産の評価についての概略が分かってくると、民事執行法の理論的な学習も取り組みやすくなります。
このテキストは大学の講義でも使われているテキストなので、この1冊を押さえれば民事執行法についてはほぼ問題ないというレベルまで達することができます。堅苦しい文章の中に、たまに入っているコラムが実務的にも役に立ちます。
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まとめ
最近は競売の事件数も極端に減少してきているので、お仕事的にはうま味のない競売評価ですが、評価人になると様々な評価案件に携わることができ、不動産鑑定士としてのレベルアップにもなります。おじーさま方が定年で退かないとなかなか募集はありませんが、いずれ来る募集のために備えておきたいですね。
評価人にとって必須の間取り図作成について、こんな記事も書いています。
不動産鑑定士から執行官への華麗なる転身をとげたい方にはこんな本もおすすめ!
平成17年度版を持っていたんですが、最新刊が出ていたんですね。買わなくちゃ。