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人口統計の種類、国勢調査や住民基本台帳、人口異動調査をまとめました。

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今日は人口統計の話しです。不動産の価格を出すのが私の仕事ですが、その中の分析の一つとして人口の分析があります。広く日本国の人口推移を見たり、ミクロでは市内の地区ごとの人口を分析して、その地域が発展しているのか衰退しているのか、老人が多いのか、若者が多いのかなどを見極めます。

当然、住宅の第一次取得者層(30代~40代)が多い地域は元気がありますし、年少者人口も多いので人口増となっているケースが多く、不動産取引も活発な傾向があります。

あらゆる分析の基礎となる人口統計調査ですが、人口統計といっても色々な種類の統計調査がありなかなか分かりづらいものです。

人口統計の種類

  • 国勢調査
  • 人口推計
  • 住民基本台帳人口
  • 人口動態調査
  • 人口異動調査
  • 人口移動調査
  • 人口動向調査
  • 将来推計人口

この中でも重要なものは国勢調査による人口と住民基本台帳人口の2つです。まずはこの2つの人口統計についてまとめてみます。

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国勢調査と住民基本台帳人口の違い

国勢調査による人口とは?

国勢調査とは、5年に1度、我が国に住んでいる全ての人と世帯を対象に総務省が行っている調査です。調査票を各家庭に届けて実施されます。国勢調査の結果は、国政選挙の区割りなど様々な場所で使われる日本で一番重要な調査です。人口だけではなく世帯員の数や仕事の種類などさまざまな調査事項があります。

国勢調査による人口の主な特徴は次のとおりです。

国勢調査による人口の特徴

  • 5年に1度の調査
  • 我が国に住んでいる全ての人と世帯を対象(外国人を含む)
  • ふだん住んでいる場所(常駐地)で把握

住民基本台帳人口とは?

住民基本台帳による人口は、総務省自治行政局が行う調査に基づきます。住民基本台帳に登録されている人口で、住民票をとりまとめたものです。住民票とは各市区町村毎に居住する住民について、個人を単位として「住所」「氏名」「生年月日」「性別」「世帯主」「世帯主との続柄」「本籍」「筆頭者」「住民となった年月日」「届出日」などを登録している公簿です。世帯ごとに編成して住民基本台帳を作成します。

調査方法から登録人口調査とも言われます。登録人口は住民票の異動という届出によって登録されることから、実際の住民の移動と届出時期にタイムラグが生じることが多々あります。

以前は外国人が含まれませんでしたが、平成24年7月の住民基本台帳法の改正により外国人についても含まれることとなりました。

住民基本台帳人口の特徴

  • 外国人を含む
  • 生活の本拠(住所)で把握

国勢調査人口と住民基本台帳人口はどのような利用がされるか

国勢調査による人口は次のような法定利用がされています。

国勢調査人口の法定利用

  • 選挙区の改定(衆議院議員選挙区画定審議会設置法第3条)
  • 地方自治法で用いる人口(地方自治法第254条)
  • 地方交付税交付額の算定(地方交付税法第12条)
  • その他、地方税法、政党助成法、過疎地域自立促進特別措置法、公職選挙法、各種政令、規則等で使用

住民基本台帳人口は税や福祉、選挙などの行政サービスの基礎資料として使用されています。

住民基本台帳法に基づき法定利用

  • 市区町村内の住民に関する事務処理の基礎
  • 国・地方公共団体等が行う法令で定める事務(行政事務手続き、給付行政、許認可・登録・試験事務等に利用)
  • 世論調査、公共的団体が行う公益性の高い住民福祉の向上活動等のために住民基本台帳の閲覧が必要な場合
  • 第三者が自己の権利を行使する等のため住民票が必要な場合

住民基本台帳法には、特に人口集計を行う旨の規定はなく、住民基本台帳人口の集計は、局長通知を根拠に毎年度の業務報告的な位置づけとしてとりまとめられているに過ぎません。

国勢調査人口と住民基本台帳人口の差異はどうして生じるか?

国勢調査人口と住民基本台帳人口の特徴に記載したとおり、国勢調査人口はふだん住んでいる場所(常駐地)で把握されるのに対して、住民基本台帳人口のは住民登録されている生活の本拠(住所)で把握されています。

常駐地と本拠地は普通は同じ場所となりますが、次の場合には異なるケースが多々見られるようになります。

国勢調査人口と住民基本台帳人口の差異が生じるケース

  • 親元に住民票を置いたまま学校の近辺で一人暮らしをする大学生(高校生も)
  • 自宅に住民票を置いたまま施設に入所する高齢者

そのため、国勢調査人口と住民基本台帳人口の差異が大きい年齢層は、大学生と高齢者層の大きくわけて2つです。

具体的にどのような結果になるかというと、自宅から通学可能な高校・大学の無い小規模町村では住民基本台帳人口は多いものの、実際に住んでいないことから国勢調査人口は少なくカウントされます。逆に大きな大学が多い都市部では、住民票を移していない大学生などが多いため住民基本台帳人口は少なく、国勢調査人口が多くなります。

高齢者についても同じです。施設の多い大都市部では国勢調査人口が住民基本台帳人口よりも多くなる傾向があります。

ワンポイント豆知識

上にあげた例のほか、災害が起こって居住が難しくなってしまった地域では、住民票を移さないまま、地域外に避難することが多くあります。東日本大震災でも確認されていますが、被災地では国勢調査人口が少なく、住民基本台帳人口が多くなる傾向があります。

そのた、大規模な建設・工事現場が多くある地域では、出稼ぎ労働者が増えることから国勢調査人口が増えます。

人口移動調査・人口異動調査・人口動向調査とは?

各県によって呼び名が異なりますが、都道府県が行う人口調査に人口移動調査・人口異動調査・人口動向調査(などと呼ばれる)があります。東京都では、「東京都の人口(推計)」という呼び名となっています。

いずれも同じ性格のもので、5年に1度しか行われない国勢調査を保管するものです。

つまり、国勢調査人口(確定値)を基準として、これに毎月の住民基本台帳人口の増減数を加えて推計した人口が人口移動調査・人口異動調査・人口動向調査などと呼ばれます。

さきほど書いたとおり、国勢調査人口と住民基本台帳人口はその数え方の根本が異なることから、国勢調査の時点(最新は平成28年10月)から離れれば離れるほど、実際の人口(常駐地の人口)とはずれてきます。

都道府県のホームページで公表されており、一番扱いやすい人口統計データです。

参考 東京都の統計|東京都の人口(推計)

人口動態調査とは?

最後に、人口動態調査を簡単に説明します。人口動態調査も人口統計調査の一つですが、今までの統計が総務省が行っていたものであるのに対して、厚生労働省が行っている調査という違いがあります。

人口動態調査は、我が国の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的に調査が行われます。

調査方法は、市区町村に届け出等がされた出生・死亡・婚姻・離婚・死産の全数を対象として調査が行われます。また日本における外国人や外国における日本人についても集計・公表されます。

人口動態調査がどのような場所で使われるか

  • 出生率・死亡率・婚姻率・離婚率の計算
  • 合計特殊出生率の計算
  • 死因の分類・分析
  • 自殺者数の把握

統計マインドを鍛えるために

統計データはあくまで数字です。

その数字からどのように考えるのか、どのような結論を導くか、これは統計データを見た人が求めるものです。

一つの問題を出しましょう

検査結果の信頼性が98%のガン検査があります。ガンになる確率が0.5%のとき、ガンと診断された人が本当にガンである確率は何パーセントでしょうか?

検査結果の信頼性が98%なので、そのまま98%でよいんでしょうか?

統計マインドとは、このような一見簡単そうに見える数字のからくりをきちんと道筋をたてて考えるスキルです。

ガン検査の問題については、別記事「生存率・死亡率は正しいのか?数字に騙されないために気をつけたいこと[統計コラム]」を書いていますので、答えが気になる人は読んでみてください。

また、統計マインドを鍛えたい!という方向けに、「統計マインドを鍛える本5冊。読み物としてもおススメ!」という記事も書いていますので、こちらも参考にしてみてください

統計マインドを鍛える本5冊。読み物としてもおススメ!

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