資産の譲渡等をしたときに課せられる税金として消費税があります。
譲渡等には貸付も含まれることから、基本的には建物の貸付をした場合は原則としては課税対象となります。でも例外として家賃に消費税がかからない場合があります。
今回は家賃、地代の消費税の扱いについて解説していきます。
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消費税は課税事業者が納める税金
消費税の課税事業者は前々年の家賃収入等が1000万円を超えていた事業者です。つまり、その年が1000万円を超えていたとしても前々年に1000万円を超えていなければ消費税の納税義務は発生しません。
家賃収入等には何が含まれるか
家賃収入等の「等」とは何でしょうか。一時金も含まれるんでしょうか?
家賃収入等には、家賃のほかに、権利金、礼金、更新料などの一時金も含まれます。敷金は原則として含まれませんが、そのうちいわゆる「敷引き」とよばれる返還義務のない一時金に該当する部分の金額は家賃収入等に含まれます。
次に、どんな取引(貸付)が課税対象になるのかを解説します。
家賃は消費税の課税対象となるのか?
冒頭で述べたとおり、家賃は原則として課税対象となります。
しかし、例外として居住用の目的で貸付されている住戸については非課税とされています。
- 賃貸目的が居住用 … 非課税
- 賃貸目的が事業用 … 課税
賃貸目的をどのように判断するかは、賃貸契約書によります。
住宅として借りていた建物を勝手に事業用途で使用していた場合など、用途変更されたときはどのように扱われるのでしょうか。この問題については、消費税基本通達6-13-8「用途変更する場合の取扱い」で説明されています。
住宅として借りた建物を賃貸人の承諾を得ずに事業用に使用した場合の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。
賃貸借に係る契約において住宅として借り受けていた建物を、賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに事業用に使用したとしても、当該建物の貸借料は課税仕入れには該当しません。
なお、貸付けに係る契約において住宅として貸し付けた建物について、その後契約当事者間で事業用に使用することについて契約した場合には、その用途変更の契約をした後においては、課税資産の貸付けに該当し、仕入税額控除の対象となります(基通6-13-8)。
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特殊な家賃の場合の取り扱い
複雑なケースの賃貸について解説します。
リゾートマンション、別荘の貸付
旅館業に係る施設の貸付は、住宅の貸付から除くと規定されています。
リゾートマンションや貸し別荘等は、消費税法に規定する旅館業に係る施設に該当して、住宅の貸付には該当しません。そのため、非課税とはならず、課税対象となります。
社宅の貸付
法人が従業員のための用意した社宅の場合、契約上社宅として使用することが明らかとなっていれば、非課税扱いとなります。
下宿の貸付
貸間業は旅館業に該当しないとされているので、住宅の貸付に該当します。つまり、非課税です。
ただし、食事を供給している部分の対価は、住宅の貸付ではないので事業所得又は雑所得として課税対象となります。まかないの部分の金額が区分されていない場合には、合理的な方法により区分されていればOKです。
店舗併用住宅の貸付
店舗併用住宅と貸し付けていて、家賃は一括で支払われている場合、合理的な方法により区分することが必要となります。住宅部分は非課税、店舗部分は課税対象となりますが、面積比率等の説明可能な方法により合理的に区分することが必要となります。
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駐車場の貸付と消費税
土地の貸付は、消費税の課税対象とならず、非課税扱いです。
しかし、土地の貸付けであっても、貸付期間が1か月に満たない場合は、課税の対象となります。
土地に手を加えないで貸している場合は、土地の貸付として消費税は非課税ですが、その土地を舗装したり、フェンスを設置したりして駐車場と整備した場合、土地の貸付ではなく施設の貸付として消費税の課税対象となります。
駐車場、野球場等の貸付け
建物や駐車場など施設の利用に付随して土地が使用される場合は消費税の課税の対象になります。
したがって、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税の課税の対象となります。
このほか、野球場、プール又はテニスコートなどの施設の利用に伴って土地が使用される場合も消費税の課税の対象となります。
駐車場付き建物として貸し付けている場合、駐車場部分は非課税扱いとできるのでしょうか。
建物部分と敷地部分の区分
建物(住宅を除きます。)などの施設の貸付けをする場合に、その使用料を建物部分と敷地部分とに区分しているときでも、その総額が建物の使用料として消費税の課税の対象となります