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不動産業者に支払う仲介手数料はいくら?値引きは可能?

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不動産を売買するにあたって、不動産業者に支払う報酬。これを一般的に「仲介手数料」といいます。宅建業法の中では仲介手数料という単語は使われておらず、単に「報酬」と記載されます。

仲介手数料は成功報酬で、不動産を売却したい、不動産を見つけて欲しいというニーズに対してお客さんとまず不動産の媒介契約を締結します。この後、見事不動産の売買契約が締結された後、お客さんから不動産業者に支払われるものです。

お客さんからすると、高い仲介手数料。ほとんどどこの不動産業者も一律で「売買価格×3%+6万円」などと書かれています。

この仲介手数料ってどのように決められているの?

今回は仲介手数料がどのようにして決められているのかを説明したいと思います。

宅建業法の中での仲介手数料

宅建業者を規定するのが宅建業法です。宅建業法では第46条に報酬の規定があり、国土交通大臣の定めるところにより決める。とされています。

宅地建物取引業法 第四十六条 (報酬)

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2.宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3.国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4.宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

「国土交通大臣の定めるところ」とは?

昭和45年建設省告示第1552号に「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」が告示されています。

PDF 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額

最終の改正は、平成26年2月28日国土交通省告示第172号です。平成26年の最終改正は消費税の税率の変更です。消費税率が5%から8%に変わった箇所だけ修正がなされています。

参考 国土交通省|新旧対照表

「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の一番大事な部分は次の報酬料率の表です。

売買又は交換の媒介に関する報酬の額

取引される不動産の金額 手数料の料率
200万円以下の金額 100分の5.4
200万円を超え400万円以下の金額 100分の4.32
400万円を超える金額 100分の3.24

0.4や0.32などの端数は消費税部分(8%)です。

この金額は上限です。そしてほとんどの宅建業者はこの上限一杯の仲介手数料を報酬として請求しています。

この表は媒介に関する表になりますが、では代理だとどうなるのでしょうか。

売買又は交換の代理に関する報酬の額

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。
以下この規定において同じ。)は、第2の計算方法により算出した金額の2倍以内とする。
ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第2の計算方法により算出した金額の2倍を超えてはならない。
媒介の表の2倍が、代理の上限となります。

その他、仲介手数料の疑問

仲介手数料の上限は上に書いたとおりですが、次のような場合はどうでしょうか?

仲介手数料は値切って良いの?

仲介手数料の値切りは可能です。法律で定められているのはあくまで仲介手数料の上限。その下の金額であれば問題はありません

仲介手数料は値切っても良い!

とはいえ、宅建業者からすれば仲介手数料は満額いただきたいもの。あんまり良い印象は与えないでしょうね。よっぽど宅建業者が仲介手数料を安くしてでも契約したい!という事情がない限り値引き交渉には応じてくれないでしょうし、その後の客付け、物件探しにも影響が出かねません。

ここに関しては、法律的にはOKだけど、常識の範囲内で。かつ、両者の信頼関係の下で。といったところでしょうか。

とはいえ、この上限額の仲介手数料を、「法律によって一律で定められている」かのように誤認させて説明する宅建業者は信頼できないかもしれません。

仲介手数料を値切るよりは、物件価格を依頼者が有利になるように交渉するのも一つの手です。不動産を高く売りたい!安く買いたい!という交渉ですね。

仲介手数料のほかに実費手数料を請求されたけど?

通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。例えば、不動産の調査費用、交通費、法務局の登記をみる手数料、広告費用などは仲介手数料に含まれるため別に請求することができません。

仲介手数料は売買契約成立時に支払いが発生することから、売買契約ができなかった場合は支払う必要がないとするのが一般的な考えです。

例外的に、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の「実費」については、請求することが認められています。

ではこの実費。どの程度まで仲介手数料の範囲外のものとして認められるのでしょうか。

実費として認められるものの例

  • 依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
  • 通常の仲介業務では発生しない費用であること
  • 実費であること

この3つが要件とされています。売却にあたり、インスペクションを行った建物調査費用。などは実費として請求することができます。

知り合いの宅建業者で、売買契約までいかなくても、登記費用や交通費などは精算してもらっているという人がいましたが、グレーでしょうね。限りなく黒に近いグレー。といった感じでしょうか。

 




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