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用益権とは?地上権や地役権の内容・違いは?

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用益権とは、他人の土地を一定の目的のために使用収益する権利をいいます。用益物権ともいいますね。

では、用益物権とはどのような権利なのでしょうか?

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用益権・用益物権とは?

所有権は物に対する完全な支配権ですが、用益物権は、所有権の権能の一部部だけをその内容とする権利です。

具体的には地上権が一番一般的ですね。

所有権の権能の一部を制限した物件を制限物権ともいいますが、用益物権は制限物権の一つ。もう一つの制限物権は担保物権です。

分かりづらいと思うので、表にしてみます。

用益物権と担保物権の違い

もう少しだけ用益物権と担保物権の違いをまとめてみます。

用益物権と担保物権の違い

  • 用益物権|使用収益権能を内容とする
  • 担保物権|交換価値の把握を内容とする

用益権の具体例

用益権にはどんな権利があるんでしょうか。

まず物権は民法を始めとする法律で定めたもの以外は、当事者が合意で創設することはできないとされています。物件法定主義というものですね。

民法に規定されている用益権

  • 地上権
  • 永小作権
  • 地役権
  • 入会権

その他、特別法で規定されている用益権もあります。

特別法に規定されている用益権

  • 鉱業権(鉱業法5条、12条)
  • 漁業権(漁業法23条)

参考 東北経済産業局|鉱業権とは何か

参考 水産庁|漁業権について

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地上権とは?地役権とは?

不動産を調べる上で、重要な権利は地上権と地役権ではないでしょうか。

この2つについておさらいしてみましょう。

地上権とは?

地上権とは、工作物や竹木を所有するために他人の土地をしようする権利をいいます(民法第265条)

工作物の代表的なものは建物です。そのほかには、トンネルや橋などがあります。竹木所有のための地上権は、竹木は植林してから伐採するまでに長期間要することから、安定的に土地を使用するために設定されることが多い権利です。

近年は、土地の一部(地下または空中の一定の範囲)を区分して地上権を設定する「区分地上権」というかたちで地上権が用いられるケースが増えてきています。

区分地上権は1966年の民法改正によって新設された比較的新しい権利です。地下鉄線路の敷設やトンネル建設、高速道路やモノレールのために設定されることが増えています。

地下に設定されることもあれば、空中に設定されることもあることから、地中権、空中権などともいわれます。

地役権とは?

地役権(ちえきけん)とは、自分の土地が便益を受けるために、他人の土地を利用できるようにする権利です(民法第280条)。

定義だけ書いてもイメージしづらいと思います。例えば、

自分の土地が道路に接面しておらず、他人の土地をとおらなければならないとします。自分の土地への通行のために、他人の土地をとおる権利として地役権を設定したりします。

ここで自分の土地(便益を受ける土地)を要役地(ようえきち)といい、とおらせてもらう他人の土地(便益を与える土地)を承役地(しょうえきち)といいます。

地役権の具体例

  • 通行地役権
  • 用水地役権
  • 眺望地役権
  • 送電線路敷設地役権

最も一般的なのは、送電線路敷設地役権ではないでしょうか。

外に出て空を見上げると高圧線を見つけることができませんか?空だからといって勝手に使っていいものではありません。何らかの権利に基づいて電力会社が高圧線をとおしているのです。

この場合、よく設定される権利が地役権です。

高圧線については、別記事「高圧線の下にある土地の調査と評価」も書いていますので、是非読んでみてください。

地上権と地役権の違いは?

地上権と地役権は、よく混同される権利です。

地上権と地役権を理解するには、まず設定される目的が違うことを理解しなければなりません。

地上権はその土地に、「工作物や竹木を所有するため」に設定する権利です。地役権は、「他の土地を利用するため」に設定する権利です。

地上権の場合には、必ず便益を受ける他の土地(要役地)が存在します。そのため、土地の上に建物を建築するなど、一つの土地で完結する行為については、地役権が設定されることはありません。

自分の土地に出入りするために他人の土地をとおる。自分の農地(田畑)に水を引き込むために他人の土地に水をとおす。電力会社の施設に電気をとおすために他人の土地に高圧線を引く。自分の土地の眺望をよくするために他人の土地の利用を制限する。

これらは、要役地の便益のために設定する権利なので地役権の設定が可能です。

とはいえ、送電線路の設置のために区分地上権を設定することも全くない訳ではありません。このあたりが難しい点ですね。

まとめ

今日説明したのは物件の一種ですが、権利には賃借権などの債権もあります。

難しいのですが、不動産を理解するためには物件・債権など民法を理解しないことには始まりません。別記事では「民法を初めて学ぶ入門書。簡単・やさしい書籍のおススメ。」で、民法の入門を紹介している記事もあります。是非読んでみてください。

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