計理士ってどんな資格なんでしょうか。
以前、士業についての記事「士業とは?士と師の違い、8士業とは何か?士と師のつく仕事をまとめてみました。」を書きました。
士業について調べていたときも気になったんですが、「計理士」とはどんな職業なんでしょうか?
何となく「計理士は昔の資格なのかな?」と思っていたんですが、きちんと調べたことがありませんでした。
今でも年配の方と話していると、「相続は計理士さんにお願いしているから」などと言われます。せっかくなので、計理士・公認会計士・税理士について、その違いなどを調べてみました。
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計理士とは?
違いを調べる前に、「計理士」とは何なのかを調べてみます。
計理士は昭和2年(1927年)から昭和23年(1948年)まで、計理士法に基づいて与えられた資格です。
計理士
計理士法に基づいて、会計に関する検査・鑑定・証明・検査などをすることを業とした者
なぜ昭和23年になくなってしまったかというと、昭和23年に証券取引法が導入され、それに加え公認会計士法が制定されたからです。翌年昭和24年に東京、大阪、名古屋などの8カ所で証券取引所が開設されたのですが、証券市場の整備のために公認会計士が生まれ、その代りに計理士が無くなってしまったということです。
計理士がどんな資格だったかというと、計理士法のもとで資格試験も実施されていましたが、専門学校以上で会計学を修めれば、試験なしでも登録できたので、比較的簡単に取得できた資格のようです。
どの資格試験もそうですが、創設期には一定数の資格者を確保するために、特例試験なんかが設けられることが多いですね。
計理士登録者も一時期は全国で2354人ほどいたようです。
計理士法廃止時に計理士であった者で、1976年3月末を期限として当時の大蔵省に再登録した者は、現在も計理士業務を営むことが認められています。
計理士の名称の使用に関する法律 第1条
昭和42年3月31日において、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けていた者は、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずる業務(他の法律においてその業務を行なうことが制限されているものを除く。)を営むについて計理士の名称を使用することができる。
計理士と公認会計士の関係。違い
計理士が廃止され、当然のように公認会計士に移行することは許されませんでした。
公認会計士
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする
しかし、過去には臨時的な試験として、特別試験(11回)、特例試験(5回)及び第三次試験受験資格検定(6回)が臨時的試験制度が行われました。
この臨時的試験制度は主として、主として公認会計士制度の整備合理化を図る一環として、計理士などに対して公認会計士の資格を与えるために実施されたものである。
公認会計士試験は三大国家試験といわれるだけあって難関資格です。計理士には、その資格を得るための特例試験が実施されていたんですね。
今でも公認会計士法を見てみると、その随所に計理士という言葉が使われており、例えば公認会計士試験第一次試験は免除されています。
計理士と税理士の違い
税理士と計理士の違いは何でしょうか?まず、税理士について確認してみます。
税理士
税理士は、税務に関する専門家(コンサルタント)として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とするとされています(同法1条)。
他人の求めに応じ、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談、税に関する不服審査手続き等を行うことを業務とします。
税理士は昭和26年に生まれた資格ですが、その際には既に廃止された計理士についても特例で税理士になる道が開かれていました。
昭和39年4月14日 国会大蔵委員会
第三に、計理士業務を主として営む者に対して税理士の資格を付与する措置でありまするが、昭和三十九年四月一日現在において計理士名簿に登録を受け、計理士の名称を用いて、主として旧計理士法第一条に規定する計理士業務を営んでいる者のうちで政令で定める要件に該当する者につきましては、税理士法第十三条に規定する税理士試験委員の認定を受けることを条件といたしまして税理士の資格を付与する措置を講ずることといたしております。
資格制度創設の経緯
- 昭和2年:計理士誕生
- 昭和23年:公認会計士誕生、計理士廃止
- 昭和26年:税理士誕生
公認会計士と税理士の違い
公認会計士と税理士は現在の資格制度です。
簡単に税理士と公認会計士の業務の違いを説明すると、税理士は税務業務を独占業務として、公認会計士は監査業務を独占業務とします。
税務業務とは、具体的には、納税者に代わって税務申告を行う税務代理、税務署類の作成提出の代行、税務に関する相談です。
監査業務とは、企業が作成した財務諸表が適正であるかどうかを第三者の立場で評価する業務を意味します。
また、弁護士または公認会計士の資格を持っている場合、日本税理士連合会に届け出て税理士登録すれば税理士になることもできます。
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士業とは?士業には何がある?などと、士業についてまとめた記事「士業とは?士と師の違い、8士業とは何か?士と師のつく仕事をまとめてみました。」も書いています。是非読んでみてください。