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階層別効用比率を使ったマンション価格査定、家賃査定

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階層別効用比率についての第3回目の記事です。

第一回は、超高層マンションについて相続税などの課税評価の見直しが検討されているという記事でした。

参考:タワーマンションの課税見直しと階層別効用比について

第二回は、階層別効用比の具体的な数字と考え方について書きました。

参考:階層別効用比、位置別効用比とは?マンション価格、家賃の査定方法

今回は、実際のマンション価格査定について説明していきたいと思います。

マンションの価格の求め方

まずマンションの価格の求め方についてはどのようなものがあるでしょうか。鑑定評価基準には、「積算価格、比準価格及び収益価格を関連付けて決定するものとする。」と書かれています。階層別効用比率は積算価格を求める際に使うのですが、実はこの方法は机上の空論といった意味合いが非常に強いです。

実際のマンション価格の査定に当たっては、周辺の同程度のマンションがどのくらいの価格で売られているか。周辺の相場から求める比準価格が最も重要視されます。また投資用物件としての意味合いも強いので賃貸を想定した収益価格もそれなりに意味をもちます。

積算価格はどのような価格?

また不動産鑑定評価基準から引用します。

積算価格は、区分所有建物の対象となっている一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、当該積算価格に当該一棟の建物の各階層別及び同一階層内の位置別の効用比により求めた配分率を乗ずることにより求めるものとする。

つまり、マンション一棟の全体での価格をまず求めて、その内訳価格としてマンションの一室の価格を求めるのが積算価格です。

さきほど机上の空論と書きましたが、実際に、マンションの値付けをするとき、またはマンションを買おうとするときに、一度マンション全体の一棟での価格を求める人なんています?ってことですよね。間違いなくいないと思います。近くのマンションの坪単価を調べて、あっちは駅に近いから、こっちの方が設備が整っているから。などと比較して価格を出すのがほとんどだと思います。

積算価格ですが、一棟としての超高層マンションの内訳価格として一室一室の価格を求める際には非常に有用な価格となります。

課税評価目的で一棟のビルの価格をそれぞれに配分したいときなどに使えますね。

マンション積算価格の求め方

マンション価格を求めるにあたって、次の想定条件をつけます。

想定条件

  • マンションは各フロア350㎡の10階建て
  • 各フロア5戸
  • 一室の大きさは70㎡で、階層での位置別効用比ななし。
  • マンション一棟の価格は25億円
  • 階層別効用比は所与

階層別効用比

階層別効用比は所与としましたが、東京都不動産鑑定士協会などが出している指数を採用しても良いでしょうし、実際の分譲事例から価格比を求めて効用比を求めても良いでしょう。

マンション積算価格の出し方

次の表により査定します。

2016-10-29_16h49_31

この表の大事な点は、②~④までの箇所です。階層別効用比を用いて比率(配分率ともいいます)を求めることによって、上層階は高価格に、低層階は低価格にウェイト付けをしてあげます。

配分率は各階の合計をすると当然1となります。

一棟価格(25億円)に比率(配分率)を乗じることによって各フロアの価格が求められます。1フロアは同じものを5戸と想定しているので単純に5戸で割ると一室の価格が出ます。どうでしょう。1階と最上階の10階では1200万円の差が出ています。

実際のマンション分譲の事例をみていると、高層階がより高くなるようにウェイト付けされているものもたくさんありますね。

③の積数を用いることによって各階の延べ床面積が異なる場合でも適正に配分することができます。

まとめ

この階層別効用比率の考え方は、用地補償における土地利用制限率などにも応用されています。

参考:土地利用制限率算定要領

また、価格ではなく賃料査定においても使うことができるので覚えておいて損はない考え方だと思います。

 




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