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不動産鑑定士の懲戒処分(連合会)が発表されました。またもや開発法絡みです。

更新日:



不動産鑑定士に対する懲戒処分が発表されました。

ひと口に懲戒処分といっても、監督官庁である国土交通省の懲戒処分と不動産鑑定士の業者団体である(公社)日本不動産鑑定士協会連合会(以下、連合会と呼びます)の懲戒処分の2つがあります。国交省と連合会の懲戒処分が合わせて一人の鑑定士になされることもあれば、各々の懲戒処分だけがなされることもあります。

今回記事にするのは連合会の懲戒処分です。

2016-03-31_08h45_23

URL 連合会ホームページ|懲戒処分について(公表)

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懲戒処分の内容

連合会が懲戒処分が行った場合、懲戒規定第41条に基づき会員に内容が公表されます。それと同時に一般社会に向けた公表がなされます。会員向けと社会向けでは公表項目がやや異なり、会員向けの公表では懲戒処分となった不動産鑑定士の氏名が明らかにされますが、社会向けのリリースでは伏せられます。

当サイトも懲戒処分となった不動産鑑定士を晒す目的のものではないので、一般社会むけの公表情報のみについて記載するつもりです。

今回の懲戒処分の内容は戒告でした。

かい‐こく【戒告/×誡告】
[名](スル)
1 過失・失態・非行などを強く戒めること。「厳重に―する」
2 (戒告)公務員などの職務上の義務違反に対する懲戒処分の一。本人に将来を戒める旨の申し渡しをする。もと「譴責(けんせき)」といった。
3 (戒告)行政上の義務の履行を催告する通知行為。代執行の前提となるもの。

引用:コトバンク|戒告

将来を戒める旨と書いてあるとおり注意を与えるものですね。注意ぐらいなら何でもないや、と安易に考えがちですがこれが結構仕事に響いてきます。まずは当たり前ですが戒告は懲戒処分です。ということは賞罰の欄に記載しなくてはいけないということです。

転職をする際の履歴書には必ず記載しなくてはいけなくなりますね。また官公庁の公的な仕事へ応募する際も記載欄があります。戒告を受けることによって今まで受注していた仕事が激減するということも多々あります。

公務員ならば給料や賞与、更には退職金にまで響きます。

不動産鑑定士にとっての重要な仕事として地価公示があります。3月22日に公表されたので記憶にあたらしいですね。この地価公示の委嘱も受けられなくなると聞いたことあります。注意とはいえ、深刻な問題を引き起こすのが戒告なのです。

懲戒処分の理由

懲戒処分の理由については、公表資料に詳細に記載されています。長いですが公表資料を引用します。

懲戒被処分者甲が、有限会社 A を依頼人として作成に関与した不動産鑑定評価書(以下、「鑑定評価書」という。)は、近隣地域の標準的使用及び対象不動産の最有効使用の分析並びに産業廃棄物最終処分場跡地の宅地開発の調査分析が不十分で専門職業家としての説明責任を十分果たしていないほか、宅地開発を想定し開発法を適用しているものの、想定が行政機関の開発指導要綱に満たず、実現可能な想定となっていない等、不動産鑑定評価基準を遵守した評価とは言い切れず、不動産鑑定士として相当な注意を欠いている鑑定評価書と認められる。
よって、被処分者は本会会員に課せられた倫理規程遵守義務に違反するものと判断した。

最近の懲戒処分の理由によく記載されているんですが、「調査分析が不十分で専門職業家としての説明責任を十分果たしていない」という文章は曖昧でよく分かりません。どこをどこまで調査すれば調査責任を果たしたと免責になるのかが分からないので、真面目に仕事を行っている不動産鑑定士もびくびくしている人は多いんじゃないでしょうか。

その後に続く公表資料を読んでいると概ね次の4つが処分の理由のようです。

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  1. 地域分析及び個別分析が不十分で、最有効使用の判定が曖昧
  2. 8万㎡を超える大規模地、更には産業廃棄物最終処分場跡地であるが、大規模地に対する市場分析が不十分
  3. 開発法を適用しているが開発指導要綱を満たしておらず開発想定が甘い、更には産業廃棄物最終処分場跡地であるもののスティグマの要因分析がない
  4. 取引事例比較法の適用に当たって、要因比較が曖昧。

懲戒処分がなされた事例をみてみると、そのほとんどが宅地見込地や大規模な開発素地です。今回も8万㎡を超える大規模な緩傾斜地を含む開発素地のようです。昔は開発想定も不動産鑑定士が何となくポンチ絵を描いてやっていることが多かったんですが、最近は専門家に想定をお願いすることが多くなってきました。不動産鑑定報酬の低廉化によって外注をお願いするのも厳しいお財布事情ですが、懲戒をいただくよりはましですね。背に腹は代えられません。

まとめ

最近は国交省の懲戒処分よりも、所属団体である連合会の懲戒処分の方が多い気がします。内部統制をしっかりしていますという対外的なアピールもあるんでしょうが、それならもうちょっとどうやったら懲戒処分の対象とならない評価書となるか、どのような評価書は危険なのか。という具体的な研修をしていただきたいと思います。連合会の研修というと具体的な明示はほとんどなく、曖昧な内容の曖昧な例示の研修のみです。

鑑定評価書のまずかった部分を引用して具体的に指摘するぐらいの研修を行ってほしいものです。

ちなみに、国土交通省の懲戒処分については、国土交通省ネガティブ情報等検索システム<不動産鑑定士>というページがあって簡単に調べることができます。名前が載らないよう気を付けて業務に臨みたいものです。

URL 国土交通省ネガティブ情報等検索システム<不動産鑑定士>

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