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不動産実務TIPS

鑑定評価

鑑定とは何か。不動産鑑定における査定、調査などの違いにも触れてみます。

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日ごろ不動産鑑定士として仕事をしているのですが、そもそも「鑑定」とは何なんでしょうか。

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鑑定とは?

法令用語辞典で鑑定という単語を調べてみました。

法令用語辞典

法令用語辞典

角田 禮次郎,茂串 俊,工藤 敦夫
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鑑定|法令用語辞典より

ある者が、他人のために、その有する特別の知識経験に基づき、これにより知りうる法則又はこれに基づく事実の判断を行うことをいう。

「鑑定」は、その知識経験に基づき知り得る法則又は事実の判断であるから、「証言」が自己が現実に知り得た過去の事実の供述であるのと異なる。なお、「検定」と同様の意味(あるものを一定の基準に従って検査し、それが基準に合致しているかどうかを認定すること)に用いる特殊な例もある。

鑑定と証言の違い

鑑定は、知識経験に基づき知り得る法則又は事実の判断。証言は、自己が現実に知り得た過去の事実の供述です。

鑑定人とは

不動産鑑定士という仕事をしていると、裁判所から鑑定人としての意見を求められることも度々あります。

鑑定人|法令用語辞典より

特別の知識経験を有するために、官公庁から、ある事件につき、その知識経験に基づく法則又はこれに基づく事実の判断の報告を求められる第三者をいう。訴訟上だけでなく、行政上の手続きにおいても、「鑑定人」に鑑定を求める旨の定めがある場合がある。「鑑定人」は、特別の知識経験に基づく法則又はこれに基づく事実の判断の報告を求められる者である点において、「証人」が自己の知り得た過去の事実の供述を求められる者であるのと異なる。なお、刑事訴訟法においては、「鑑定人」とは、裁判所又は裁判官から鑑定を命ぜられた者をいい、検察官、検察事務官又は司法警察職員から鑑定を嘱託された者は、「鑑定人」とはいわない。「鑑定人」」は、当該事件についての第三者であるから、その鑑定に対し、旅費、手当等が支給される。

鑑定人と証人の違い

ここにも鑑定人と証人についての違いについての記載がありますが、鑑定と証言の違いと全く同じですね。鑑定を求められた者が鑑定人、証言を求められた者が証人です。証人はあくまで過去の自分の事実の供述を求められた者であり、判断の報告を求められた者ではありません。

玉業として鑑定の業務を行う者

同「法令用語辞典」では、鑑定人として、法律で定められた「不動産鑑定士」についての記載もありました。

鑑定人|法令用語辞典より

なお、職業としての鑑定の業務を行う者に対する規制として、不動産の鑑定評価に関する法律において、不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に評価することを「不動産の鑑定評価」と定義し、不動産の鑑定評価を行う者を「不動産鑑定士」として登録を受けさせている。また、港湾運送事業法においては、船積貨物の積み付けに関する証明、調査及び鑑定を行う事業を「鑑定事業」として、港湾運送事業の一種とし許可にかからしめている。

鑑定と査定(意見・調査)との違い

ここからは、一般的な用語で使われる鑑定という単語の説明ではなく、不動産鑑定評価における「鑑定」だけの記述となります。

鑑定とは鑑定評価基準に則ったもののみである。

不動産鑑定の現場では、一番基準とするものは「不動産鑑定評価基準」と「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」です。

参考 土地総合情報ライブラリー|不動産鑑定評価基準等

不動産の価格判定は、自分勝手に行ってよいものではなく、不動産鑑定評価基準という統一基準に則って行われる必要があり、不動産鑑定評価基準に則って出された価格のみを鑑定評価額と呼びます。

これは(公社)不動産鑑定士協会連合会の出した、「価格等調査ガイドライン」の取扱いに関する実務指針に記載されています。

引用:「価格等調査ガイドライン」の取扱いに関する実務指針

参考 日本不動産鑑定士協会連合会|「価格等調査ガイドライン」の取扱いに関する実務指針

つまり、不動産鑑定評価基準に則って出された価格が鑑定評価額であり、不動産鑑定評価基準に則っとらずに出された価格は、「調査価格」「調査価額」「査定価格」「意見価格」などの紛らわしくない名称で表示しなければなりません。

成果報告書である書類のタイトルについても、基準に則っていないものは「鑑定」という言葉を使わず、「調査報告書」「意見書」「価格調査書」などというタイトルにして、「鑑定評価書」というタイトルを使ってはなりません。

不動産鑑定における鑑定、調査、査定などの使い分け

  • 不動産鑑定評価基準に則っているもの…鑑定
  • 不動産鑑定評価基準に則っていないもの…査定、調査、意見
  • 簡易鑑定という言葉は存在しない

簡易鑑定って何?

簡易鑑定については、まだ誤解している方も多いので最後に少し説明してみます。

今は、鑑定の現場における成果報告書の種類が整理されたので混乱は少ないのですが、以前は「簡易鑑定」なる用語が横行していました。しかし、ガイドラインや実務指針の整備により簡易な鑑定は無い(簡易なものは、調査報告書などに分類される)ということが明記され、簡易鑑定という言葉はなくなりました。

 

参考 google検索|「不動産 簡易鑑定 裁判」

と、言いつつまだ勉強が不十分な不動産鑑定士は「簡易鑑定」という言葉を使っているようで、同じ業界人としては甚だ恥ずかしいばかりです。簡易鑑定については以前別記事で詳細に書きましたのでそちらを参考にしてください。

参考 簡易鑑定って何?簡易な不動産鑑定評価を頼みたいときの基本的知識

参考 不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン(PDF)

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