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署名と記名、押印と捺印の違いについて解説します。

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署名記名押印捺印(なついん)という言葉があります。

どちらも似たような言葉ですが、正確に意味の違いを知っているでしょうか?

法律上は明確にこの2つの言葉は区別して使われています。

署名すべきところを記名してしまったのでは、法的な効力に違いが出てきたりするので要注意です。

署名と記名の違い

署名と記名の違いについて説明していきたいと思います。まずはそれぞれの定義を確認してみましょう。

署名とは?

署名とは、自己の作成した書類等にその責任を明らかにするために事故の氏名を自ら書き記すことをいいます。

「自署」とも言います。

記名とは?

記名とは、書類等に作成者の責任を明らかにする等のために、名前を記すことをいいます。

署名は「自署」、すなわち自ら氏名を記すことを要求されるのに対し、記名は自署を必要としません。

他人が書いても良いですし、パソコンなどで入力したものを印刷することも可能です。

署名と記名の法的効力は?

法律上、署名が求められる場面は多いです。

商法第546条では契約書に関する義務が規定されています。

第546条(契約書に関する義務)

  1. 当事者間に於て行為が成立したるときは仲立人は、遅滞なく、各当事者の氏名又は商号、行為の年月日及び其要領を記載したる書面を作り、署名の後、之を各当事者に交付することを要す。
  2. 当事者が直ちに履行を為すべき場合を除く外、仲立人は各当事者をして前項の書面に署名せしめたる後、之を其相手方に交付することを要す。
  3. 前二項の場合に於て、当事者の一方が書面を受領せす又は之に署名せさるときは仲立人は、遅滞なく、相手方に対して、其通知を発することを要す。

契約書には「署名」が必要だと書かれていますね。

でも、契約書に署名、つまり自ら名前を書いている人って少ないんじゃないでしょうか。特に大きな会社や自治体ですと、権限のある社長や市長などの自署を毎回求めることなんてほぼできないですよね。

ここで商法は、署名に代わるものとして、記名押印でも良いと認めているのです。

商法第32条

この法律の規定により、署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。

記名押印は署名と同じ。ということですね。

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押印と捺印の違いは?

記名の場合は押印、署名の場合は捺印。と解説しているサイトもありますが、法律用語辞典など各種の辞典を確認する限り、そのような違いは書かれていません。

押印と捺印はほぼ同じ意味として使って差し支えないでしょう。

口語体採用前のの法令においては、一般的に捺印という用語が用いられていましたが、常用漢字表に捺(なつ)という文字がないこと、用語を平易にするために押印という用語が使われるようになりました。

つまり、捺印という言葉は押印の古い言葉というニュアンスです。

署名はいつでも記名押印に代えられる?

商法では、署名は記名押印に代えることができるとの規定がありますが、これがどのような場でも通用するわけではありません。

私は不動産鑑定士という仕事をしていますが、法律上私の発行する書類には署名押印が求められています。

第39条(鑑定評価書等)

  1. 不動産鑑定業者は、不動産の鑑定評価の依頼者に、鑑定評価額その他国土交通省令で定める事項を記載した鑑定評価書を交付しなければならない。
  2. 鑑定評価書には、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士がその資格を表示して署名押印しなければならない

引用 不動産の鑑定評価に関する法律

この場合、記名押印に代えることはできず、現に署名押印すべきところを記名押印してしまって監督官庁に処罰された事例もあります。

不動産鑑定評価書のケースはレアですが、身近なところでは医療行為の同意書でしょうか。

治験を規定するGCP第52条では、同意文書等への署名という規定のなかで、記名捺印または署名を求めています。

しかしながら、身体や健康に影響を及ぼす可能性のある事柄の同意書では、記名捺印では不十分とされ、署名にすべきだという意見もあるようです。

このような場合、自署または自署の代行のみしか認められず、記名押印(捺印)に代えることはできません。




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