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先日執行官と話していいたところ、「物置と倉庫のボーダーってどこ?」と話題になりました。実務上は何となくの判断で、これは小さいので「物置」。これは大きくて営業用なので「倉庫」などと未登記建物の種類を決めていますが、その2つの厳密な定義はというときちんと把握していませんでした。
そこで、「物置」と「倉庫」について調べてみました。
建物の種類とは
まずは建物の種類について説明したいと思います。
不動産登記法第44条には、「建物の表示に関する登記事項」として次の3つが掲げられています。
- 建物の所在
- 家屋番号
- 建物の種類、構造、床面積
建物の種類は、建物の利用形態のことであり、建物を特定するための一つの要素として登記事項とされています。建物の種類は、その建物の主たる用途により定めることになります。
「物置」と「倉庫」はどのように定義されているのか
建物の種類は、不動産登記規則第113条(12種類)と不動産登記事務取扱手続準則第80条(25種類)に、合計37種類列挙されており、土地の地目とは違い、列挙された種類に該当しない建物については、その用途により適当に定めることができます。
倉庫
その中で倉庫は、不動産登記規則に記載されています。
不動産登記規則第113条1項
建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする
物置
続いて物置。物置は不動産登記事務取扱手続準則に記載されています。
不動産登記事務取扱手続準則第80条
規則第113条第1項に規定する建物の種類の区分に該当しない建物の種類は,その用途により,次のように区分して定めるものとし,なお,これにより難い場合には,建物の用途により適当に定めるものとする。
校舎,講堂,研究所,病院,診療所,集会所,公会堂,停車場,劇場,映画館,遊技場,競技場,野球場,競馬場,公衆浴場,火葬場,守衛所,茶室,温室,蚕室,物置,便所,鶏舎,酪農舎,給油所
しかしながら、倉庫と物置などの建物の種類については、土地と違いその種類の説明・定義がありません。
倉庫と物置の違い
デジタル大辞泉「コトバンク」で倉庫と物置の意味を確認してみたいと思います。
- 物置・・当面必要としない器具などを入れておく場所。また、そのための小屋。
- 倉庫・・貨物・物品などの貯蔵・保管をするための建物。くら。法律で、倉庫営業者が他人の物品を保管するために設けた建物その他の設備。
引用:コトバンク
また、調べていったところ土地家屋調査士さんの使う「調査・測量実施要領」という厚い本に物置と倉庫の定義の記載があるようです。
- 物置・・日常雑貨等を収納保管する規模の小さな建物
- 倉庫・・物品の収納、保管の用に供する比較的規模の大きな建物
引用:調査・測量実施要領
ここから推察すると、小規模の家庭用のものは物置。営業用に用いられ、比較的規模の大きいものは倉庫。といったところでしょうか。しかし、自営で事業を行っている人が、家庭用のものや事業用の物品を保管している中途半端な大きさの建物は物置と倉庫のどちらなんでしょうか?微妙なものについては、登記官の判断に委ねるということでしょうね。
大きさはどのように判断すれば良いのでしょうか。一つの目安として建築確認が必要な大きさ10平米も目安になるかもしれません。しかし、10平米を超えれば全部「倉庫」ということにはなりません。
建築確認での「倉庫」「物置」の扱い
調べていくと建築確認の申請の際にも「倉庫」と「物置」のどちらで申請を出すかは悩みのためのようです。
物置はあくまでも主たる建物の従たる性質のもので、単独での確認申請を行う場合には小さいものでも「倉庫」として申請を出すことが多いようです。
営業用の目的のものは「倉庫」となります。「物置」は居住目的のための日常雑貨等の収納保管をするものであり、事務所など居住以外の目的に使う建物は倉庫となります。倉庫業を営むための建物は、もちろん倉庫です。