水道管(引き込み管)を隣地所有者と共有して、又は隣地所有者の個人菅から枝分かれするようなかたちで水道を引いている場合があります。
所有者がそのままで気心の知れた仲ならば問題も起こりませんが、どちらかの家が売買となった場合、相続となった場合によく問題になります。今回は個人所有の上水道引き込み管から分岐して水道を使っている場合の調査・評価について説明します。
スポンサーリンク
事例
先日関わった不動産に水道管の引き込みについて問題を抱える案件がありました。水道管は上水道・下水道・都市ガスという生活関連施設(ライフライン)の中でも最も重要なものですのでご紹介したいと思います。
赤枠が売買の対象となる土地です。今回は中古物件ということで一般住宅が上に建っていました。
青で線を引いたのが上水道についてのものです。実線が水道管本管、点線が水道管の引込み管ですね。
まずは基本的なお話しなんですが、道路の地下に埋設されている水道管を本管と言います。基本的には市町村などの供給主体が管の所有権を有します。
そしてその本管から各建物(各土地)に引っ張ってる管が引き込み管です。その土地(建物)の所有者が所有している管であり、個人所有が基本です。
今回売買の対象となった赤枠の土地は東側の道路には上水道本管が埋設されていなかったため、西側隣地のAさんの土地をとおって、しかもAさんの個人所有の引込み管から分岐をして売買対象の土地建物に水道を引き込んで使用していました。
問題点
中古の土地建物の物件だったんですが、そのまま使い続けるのであれば水道についてもそこまで問題は生じないのかも知れません。Aさん個人の引込み管から分岐をして水道を使っていますが、建物建築の際にきちんとAさんも承諾をして分岐をしているからです。建物の所有者が変わることによってお金を請求してくることも考えられますが(名義変更料みたいなもの?)、あまり一般的ではありません。
しかし実はこの建物が古くて、建物を取り壊して更地にして売却することが計画に上がってきました。
そうするとAさんも、それならば話は別だとAさんの引込み管からの分岐を認めないと言い出したのです。そうなると別の手段により水道管を引き込むことを考えなければいけません。
幸い南へ数十メートルいった場所には市の水道管本管が埋設されていました。今回はこの本管から自営工事にて売買の対象土地まで水道を引っ張ることとなりました。
一般的に水道管の埋設工事費は1mあたり3万円程度、安全対策やアスファルトの掘り起し埋め直しを考えれば5万円程度と言います。今回も敷地内まで水道管を引き込むとすると100万円くらいはかかってしまいそうでした。
スポンサーリンク
まとめ
今使えているから大丈夫。と安心してしまいそうですが、落とし穴は色々なところにあります。このケースでは土地の価格から建物の取り壊し費用や水道管の埋設費用を控除して価格を査定したんですが、思いのほか費用がかさんでかなり安くなってしまいました。
水道の費用は土地価格?建物価格?
鑑定評価上は、前面道路までの埋設費用は土地価格の一部。前面道路に埋設されている本管からの引込みは建物価格の一部として価格理論を構成するのが一般的です。実際の不動産売買の現場では土地がいくら、建物がいくらっていうよりも土地建物でまとめていくらと考えるのであんまり役に立たない豆知識なんですけどね。