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競売物件は土地が安く、建物が高い?の疑問に答えてみます。

更新日:

裁判所の司法競売にかかると、売却の際には3点セットというものが裁判所から閲覧に供されることになります。

1.物件明細書
2.現況調査報告書
3.評価書

この内、評価書には売却される不動産の価格が表示されているのですが、この評価書を見た人からなんでこんなに土地は安いの?反面なんでこんなに建物は高いの?なんて質問をいただくことがあります。

そうではないんですよ。といつもお答えをするんですが、競売の評価書の様式は複雑で一見そう思ってしまうのも仕方ありません。ですのでここでそのカラクリを説明したいと思います。

参考:ホーム | BIT 不動産競売物件情報サイト

評価書の内容

評価額

評価書をまずめくるとその物件の評価額が記載されています。

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物件1が土地、物件2が建物ですので、土地が490万円で建物が770万円の合計1260万円の不動産ということが分かります。

土地に比べて建物の方が安いですね。これは覚えておいて下さい。

土地価額<建物価額

評価額の判定

評価書をめくっていくと、物件の表示や概要などが続き半分を過ぎたあたりに「評価額の判定」というページが出てきます。

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一番右下、評価額は最初に載せた金額と同じものです。ではこれを具体的に説明していただきたいと思います。

2016-02-09_11h30_12

基礎となる価格はその不動産(土地または建物)の一般的な価格を意味します。ですので、土地は1000万円、建物は800万円です。あれ?って思いますよね。先ほどは建物の方が高かったのに、この表では土地の方が高い!

このカラクリは表の右側に隠されています。

"土地利用権等価格の控除及び加算"に何だかよく分からない300万円を足したり引いたりしています。この300万円のせいで土地は700万円、建物は1100万円と土地建物の価格が逆転してしまいます。ではこの300万円って何だ?それを説明していきます。

一枚目の画像に戻ってよく見てみるとこんなことが書いてあります。

2016-02-09_11h35_32

②には内訳価格は配当のための内訳として算出した価格です。と記載があります。この意味するところは、配当のための内訳であってその不動産の個別の価格とは全くの別物だよ。っていうことです。

内訳価格≠個別の不動産価格

③には土地の価格は土地利用権等価格を控除した価格したものであり、建物の価格は土地利用権等価格込みの価格と書いてあります。

土地利用権等価格という言葉が出てきましたね。ちょっと説明していきたいと思います。建物はもちろん土地の上に存在する訳ですが、何の権利なく存在することはできません。土地と建物が同じ所有者であれば、所有権を権原として建物が土地に乗っていることになり、借地をしているのであれば、借地権を権原として建物が存在することになります。

その権利の価格を"土地利用権等価格"と言います。この設例でいうと、土地価格の30%が土地利用権等価格(建物に対する取り分)とされて、土地価格から控除されるとともに建物価格に加算されます。

その結果、土地は700万円、建物は1100万円になってしまうんですね。実際には競売っていう市場は特殊なものなのでその特殊性を考慮して一括して何パーセントか割引してしまう(今回では30%)ので最終的な評価額はもうちょっと安くなります。

まとめ

内訳価格は配当計算のための価格であって、個別の不動産の価格ではないっていうことは評価書を見る上で覚えておかないといけないでしょう。

とはいえ、配当計算は一般購入者が気にするものではないので、裁判所内部で作っておけば良い資料じゃないの?とも思っています。

土地利用権等価格を考慮する前の価格で表示した方が一般購入者には分かりやすいですよね。

 

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