不動産業者のみが使える不動産情報のサイトにレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)があります。
REINSは Real Estate Information Network System の頭文字をとった略称
レインズという言葉は知っているものの、誰が使えるのか。どのような情報がのっているのか。その情報はどのような仕組みで流通しているのかを知っている人は多くないようです。
この記事では、レインズについての解説をしていきたいと思います。
最初に触れておくと、レインズは(原則として)不動産業者が使える専用サイトです。
一般の個人の方が使えるレインズ(正確には、レインズマーケットインフォメーション)については、別の記事「一般の個人が利用可能なレインズ(REINS)を使って土地相場を調べる。」で解説しています。
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一般の個人が利用可能なレインズ(REINS)を使って土地相場を調べる。
不動産業者のみが使える不動産情報のサイトにレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)があります。 レインズは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する指定流通機構の会員不動産会社が ...
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レインズ(REINS)とは?
レインズは不動産業者が相互に物件情報を交換するためのネットワークシステムです。
不動産会社が不動産の売買の仲介を受けるとき、媒介契約を締結します。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
この3種類のうち、専任媒介契約と専属専任媒介契約については、積極的に取引の相手を探し出すために指定流通機構に物件を登録することが義務付けられています。
注 専属専任媒介契約の場合は、媒介契約締結の翌日から5日以内、専任媒介契約の場合は7日以内に登録する義務があります。
5 宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
この指定流通機構が、いわゆるレインズと呼ばれているものです。
指定流通機構(レインズ)は地域ごとに全国4つに分けられています。
最初に、レインズは不動産情報の物件情報交換システムだと説明しました。
例えば、不動産所有者から売却を依頼された不動産会社がいるとします。
売り主側の不動産業者はレインズに、「こんな物件が売りに出されているよ!」と物件の情報を登録します。
買い主側の不動産業者は、依頼者の希望に沿った物件をレインズで探します。レインズにはたくさんの売り希望の物件情報が登録されていますので、その中から買い希望のお客さんに「こんな不動産がありますよ!」と提案できるのです。
レインズ(reins)には全ての物件が登録されている?
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類がありますが、レインズへの登録義務があるのは専任媒介契約、専属専任媒介契約の2種類です。
しかし、一般媒介契約にも義務ではないものの積極的にレインズ(指定流通機構)に登録すべきとされていますので、多くの不動産物件が登録されています。
- 一般媒介契約:レインズ登録は任意
- 専任媒介契約:レインズ登録は義務
- 専属専任媒介契約:レインズ登録は義務
レインズ(reins)は誰が利用できる?
こんな便利なレインズ(reins)なので、不動産会社でない個人でもレインズを使ってみたいと思いますよね。
レインズを使えるのは誰でしょうか?レインズを利用するにはどんな資格が必要なのでしょうか。
レインズを利用するにはその指定流通機構の会員であることが必要です。つまり、東日本レインズを利用するには(公社)東日本不動産流通機構の会員であることが必要です。
会員になるには原則として不動産業の団体に属している必要があります。
東日本レインズを例に説明しましょう。
東日本レインズを利用できる団体
- 全宅連東日本地区指定流通機構協議会(ハト)
- (一社)不動産流通経営協会
- (公社)全日本不動産協会全日本不動産関東流通センター(うさぎ)
- (一社)全国住宅産業協会
不動産業者は、ほとんどの業者が全宅連(ハト)か全日(うさぎ)に加盟していますので、不動産業者であればレインズは利用可能です。
会員外の不動産業者による利用制度も認められているようですが、有料になるなど所定の手続きが必要なようです。
そのため、一般の個人がレインズで不動産物件情報を見たい!と思ってもほぼ不可能です。
ハトとうさぎの団体については、別記事「ハトとうさぎ、全宅連と全日の違い。どちらがお得?」にて解説しています。
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一般の人がレインズを利用するには?
一般の個人が利用可能なレインズのサービスに、「不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)」があります。
レインズマーケットインフォメーションについては、別記事「一般の個人が利用可能なレインズ(REINS)を使って土地相場を調べる。」で詳しく解説しています。
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一般の個人が利用可能なレインズ(REINS)を使って土地相場を調べる。
不動産業者のみが使える不動産情報のサイトにレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)があります。 レインズは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する指定流通機構の会員不動産会社が ...
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しかし、レインズマーケットインフォメーションでは、個々の不動産情報を見ることができません。
あくまで統計処理されたデータとして不動産の情報を知ることができるのみです。
では、個人で不動産物件を調べるにはどうするか?そこで便利なのが不動産ジャパンというサイトです。
不動産ジャパン
不動産ジャパンは、ハトやうさぎのマークの不動産団体を含む、不動産流通4団体が運営する不動産統合サイトです。
URL 不動産ジャパン
不動産ジャパンは、国土交通省お墨付きの流通サイトで、全国の不動産団体が今までそれぞれ運営していたサイトを一元化したものです。
- 不動産取引の基礎知識等の普及・啓発
・不動産取引に必要となる基礎知識等を、売買や貸借の取引ごとに体系化し、
・取引の検討段階から完了後の紛争対応も含めて網羅的に提供。 - 不動産関連情報の集約
・住環境情報、相場取引情報等、多数の媒体に散逸する有益情報を集約。 - 物件情報の更なる適正化等
・検索機能を強化するとともに、情報管理を更に徹底することで、情報の適正化を推進。
土地価格を正確に調べるには?
土地価格を調べるサイトはほかにもいくつかあります。
詳細は別記事「土地価格・地価・相場の調べ方。土地価格査定について解説します。」で紹介していますので、是非読んでください。
今日紹介したレインズよりももっとたくさんの取引事例を調べることができますし、公的な価格を調べることもできます。
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不動産の売買は、大きな金額が動くので金銭感覚がマヒしがちです。
自分でもきちんと不動産価格を調べて、複数の不動産業者さんの中から自分に合う不動産業者さんを探して取引したいものですね