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建物を内見するときには、「どこを見ておいた方が良い」という点がありますが、今回は耐震強度を見分ける勘所を説明していきたいと思います。
建物に詳しくない素人でも簡単に調査できる項目だけなのでぜひ参考にしてください。
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耐震性を見極める調査のコツ
建築年月日を調べる
建築物の構造などを規定し、最低基準をまとめたものに「建築基準法」があります。耐震基準についても建築基準法によって、どのような構造にしなさいよという、土台、壁の構造、骨組みなどが細かく定められています。
耐震性の基準が大きく改正されたのが昭和56年6月(1981年)ですので、昭和56年6月を境として建物の耐震強度が大きく異なります。昭和56年6月以前の基準のことを旧耐震基準、それ以降のことを新耐震基準と呼びますので用語も覚えておきたいですね。
建物の建築年月日は登記で確認できますので、昭和56年6月以前なのか、以降なのかである程度の耐震性を測ることができます。もちろん新耐震基準の方が耐震性に優る建物です。
厳密にいうと、昭和56年6月までに建築確認をとったものが旧耐震基準の建物ということになります。建設工事に着工するのは建築確認を受けた後のことなので、建物が完成したのが昭和56年8月や9月頃であれば、旧耐震基準で建てられた建物である可能性が高いです。
建築確認概要書という書類があるので、正確には許可日を確認する必要があります。
建物の形状は正方形?長方形?
建物の形はシンプルな形、そして長方形よりは正方形の方がよいと言われています。
長方形になると長辺と短辺がありますが、長辺に垂直な方向からの揺れには建物が弱いです。ですので、できるだけ短辺と長辺の差が小さい建物、より正方形に近い形が理想です。
複雑な凸凹がある建物も避けた方が良いでしょう。
屋根の重さ
建物には重心があります。重心が低い位置にある方が地震に強い建物といえます。重心が高くなってしまう要因はたくさんあるんですが、屋根材が重いことは大きな要因です。
一般的に使われている屋根材としては瓦、スレート、ガルバニウム鋼板がありますが、瓦、スレート、ガルバニウム鋼板の順に軽くなります。東日本大震災でも倒壊した建物のほとんどは瓦屋根の建物だったという調査報告もあります。
一般的な屋根材の重さを記載しておきます。
- 日本瓦…165kg(1坪当たり)
- スレート…68kg(1坪当たり)
- ガルバニウム鋼板…17kg(1坪当たり)
おしゃれで最近人気の屋根材がガルバニウム鋼板ですが、実は耐震性の観点からも優れた屋根材だといえます。
ビルトインガレージ
都心の市街地内や丘陵地の大規模造成団地などでは、ビルトインガレージの建物が目立ちます。1階が駐車場になっているタイプの建物ですね。
駐車場になっているということは4辺ある壁の一つが車の出入り口になるということです。4辺が壁になっている建物よりは耐震性が劣ってしまいますので、耐震性の観点からはマイナスです。
窓の位置
建物の角から90cmの範囲に窓を作るのは耐震性の点ではNGです。ビルトインガレージの出入り口と同じですが、窓は壁よりも強度が弱いです。大切な建物の角付近に窓が使われていると倒壊のリスクが高まります。コーナー付近に窓がある建物は耐震性が弱いと判断できます。
角が出窓になっているコーナー出窓がある建物はおしゃれな感じがしますが、耐震性では要注意の建物です。窓が大きくたくさんある建物も、日の光をたくさん取り入れられる明るい建物と考えられますが、耐震性の観点からはほどほどの窓の大きさが求められます。
吹き抜けの有無
吹き抜けがあると開放的ですよね。とても明るい感じがして人気があります。しかしあまりに大きい吹き抜けは耐震性に劣った建物です。
どの程度の大きさの吹き抜けから危険なのかという基準はなかなか難しいですが、8畳間より大きい吹き抜けがある場合は、ちょっと心配になりますね。
まとめ
以上、建物調査の際に耐震性を見極めるポイントをいくつか紹介しました。
新築時には耐震強度の基準を満たしているかもしれませんが、耐震強度は建物が古くなるにつれて下がってくるものです。木耐協によると平成12年5月以前の木造住宅は90%超の住宅(木造在来工法)が耐震性が不足しているという調査結果もでています。
耐震改修工事は昭和56年以前の建物(旧耐震基準)で約150万円、それ以降の新耐震基準のものでも約100万円の工事費用が一般的と言われています。
参考 木造住宅の耐震補強工事、いくら必要?100~150万円が一般的です。
リフォーム工事と同時に頼めば耐震補強工事費用もある程度安くあげることもできるようですし、自治体では各種の補助もしているようです。