毎年年度末になると出版される実務書があります。それが「新民事執行実務」です。マイナーな書籍にはなりますが、競売評価という局面で民事執行の一部分に関わっているので毎年購入して読んでいます。
昨年もブログにしていますので、是非ごらんください。
参考 [書籍紹介] 新民事執行実務 No.14(平成28年3月)
概要
今回の特集は、2003年の担保・執行法改正により導入された担保不動産収益執行制度です。昨年の特集は「子の引渡執行の現状と課題」で、ハーグ条約などについても書かれていました。
正直言いますと特集は関心の薄い分野だったんですが、専門書はアンテナに引っかかった時点で購入しないといつ絶版になるか分かりません。そういう訳でなるべく悩むことなく購入することにしています。
今回の論文の中で面白そうだったのが、次のもの。
- 適正な「競売市場修正率」についての考察|東京地方裁判所評価人候補者 萩原謙介
田舎で競売評価人をする者としては、「競売市場修正率」の検討はまだ早い話題ですが、都心部でどのような動きになっているのか。どんぶり勘定で考えられがちなら「競売市場修正率」をどのように考えるべきか。などが勉強になります。
もう一つ上げるとすると、
- 個人情報保護法と執行官実務の現状─問題点と対処法─|大分地方裁判所執行官 後藤吉典
個人情報保護法の壁は我々不動産鑑定士にも分厚い壁として眼前に現れています。民事執行法という強力な味方をもつ執行官でも個人情報保護法の壁にあたることが多いということが、意外な思いで読めました。
役所などで調査をしていると、役所の都合で出したくない書類を「それ、個人情報ですから」という一言で片づけられてしまうことが少なくありません。中には「何が個人情報なの?」と、突っかかりたくなる場面もありますが、何の権力もない鑑定士としてはその言葉に納得して帰るしかありません。
後は、執行官だよりや新任執行官の寄稿文は、日々接しているけどどのような仕事をしているか分からない執行官の生の仕事現場が分かって面白いですね。
まとめ
不動産鑑定士の専門誌、「不動産鑑定」を買わなくなってから久しいですが、「新民事執行実務」は実務書として買って損はないものと思い買い続けています。
参考 不動産鑑定士の業界紙の雄、「不動産鑑定」がつまらない雑誌となっている
雑誌としては高いですし、全部は買えないかもしれませんが、目次だけでも見ていると気になる号が見つかるかもしれません。amazonのリンクを貼っておきますので、気になったらご覧ください。