更地(さらち)とはどんな土地なんでしょうか?
更地の定義・意味を確認すると同時に、税金(固定資産税)との関係、有効活用の方法について記事にしてみました。
更地とは
更地は、建物や構築物等の定着物が存在しない、つまり地上に何もない宅地をいいます。
イメージしづらい方は空き地をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。
建物や構築物がない宅地なので、駐車場や資材置き場も更地に該当します。
建物と構築物の定義には別記事「建物・建物附属設備・構築物とは?その違い。区別をするとアパートの節税効果もあります。」で詳しく説明しています。
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現在建物が建っている土地だけではなく、建物を建てて利用されることが一般的である土地も宅地と呼ばれます。
実務では宅地と宅地でない土地の線引きはあいまいなところも多く難しいですが、宅地ではない土地、つまり農地(田・畑)や林地、河川、原野などではない土地をイメージできればOKです。
不動産鑑定評価基準での更地
一般的な更地の定義は上に書いたとおりですが、私が業務としている不動産鑑定での更地はどのような意味合いなのでしょうか。
更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
「使用収益を制約する権利の付着していない」という文言が更に付け加わっていることが分かると思います。
俗にいう要説では、次のように解説されています。
更地は、都市計画法、建築基準法等の公法上の規制は受けるが、当該宅地に建物、建築物等の定着物がなく、かつ、賃借権、地上権、地役権等の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいいます。
つまり、地上を高圧線がとおっており地役権が付着している土地、時間貸しの駐車場などは更地ではないということになります。
この点、平成28年の鑑定評価モニタリングで、更地としての鑑定評価の際に高圧線下地として減価をした評価書が鑑定評価基準に反しているとして指摘をうけています。
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更地にすると税金が高くなるって本当?
更地にすると税金が高くなると言われることがあります。
税金って何税?と思いますが、固定資産税・都市計画税(合わせて、固都税といいます)のことです。
「更地にすると税金が高くなる」これはある意味本当です。
住宅が建築されている土地は、それだけで固定資産税が安くなっています。
その原因が、「小規模住宅用地」「一般用住宅地」の住宅用地に対する課税標準の特例です。
住宅用地に対する課税標準の特例
小規模住宅用地の特例が適用されると固定資産税が6分の1になります。
- 200平方メートル以下の住宅用地(200平方メートルを超える場合は、住宅1戸あたり200平方メートルまでの部分)を小規模住宅用地といいます。
- 小規模住宅用地の課税標準額については、価格の6分の1の額(都市計画税は3分の1)とする特例措置があります。
200平米を超える部分の住宅は、固定資産税が3分の1になります。
- 小規模住宅用地以外の住宅用地を一般住宅用地といいます。
- たとえば、300平方メートルの住宅用地(一戸建住宅の敷地)であれば、200平方メートル分が小規模住宅用地で、残りの100平方メートル分一般住宅用地となります。
- 一般住宅用地の課税標準額については、価格の3分の1の額(都市計画税は3分の2)とする特例措置があります。
更地にすると住宅用地に対する特例がなくなる!
上の住宅用地に対する課税標準の特例は、住宅が建築されていることが条件です。
つまり、住宅を取り壊して更地にしてしまうと、最大固定資産税が6倍になります。税金が高くなってしまうのです。
商業地の場合は更地にしても税金は高くなりません!