先日他の人が行った築30年くらいのアパートの鑑定評価書を見る機会がありました。鑑定評価手法の適用の際に、アパートのリフォーム費用を見積って反映させていたんですがそのリフォーム費用に違和感があったのでそれについて書いてみたいと思います。
中古アパートのリフォームの際に、どの程度の金額ならお金をかけても良いのか。投資としての採算が取れるのかの参考になると思いますのでお読みください。
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鑑定評価書のリフォーム費用
正確に書くとあれなので、数字は大雑把に丸めて記述したいと思います。
アパートの概要
築30年、2DKが10室の中古アパート
現在は設備や内装が古くなっていることもあり、月額35,000円程度の家賃
リフォーム費用は水回りや内装を取り替えることを想定して2,400万円程度
間取りの変更等を考えているのかは不明
10室で2,400万円なので、1部屋あたり240万円程度のリフォーム費用ですね。空室率の改善と家賃のアップを狙ってのリフォームを想定したようです。
リフォーム費用についての一つの考え方
リフォームなどを手掛ける建築会社や工務店の方と話していると、10年で家賃をどれだけアップさせられるかでリフォームにかけられる費用の上限をよく計算しています。
つまりリフォームによって月額家賃の1万円アップを見込めるのなら120万円まではリフォーム費用をかけても大丈夫。ということですね。
120万円=月額1万円(家賃上昇)×12か月×10年
10年というのは10年間で元が取れるという計算です。利回りでいうと、粗利回り10%ということですね。
一般的な式にしてみます。
リフォーム金額 = 見込める家賃上昇額 × 12か月 × 回収期間
アパートはあくまで投資物件です。リフォーム費用は家賃の値上げや耐用年数の延長で回収できないと意味がありません。家賃として回収できないリフォームはやる意味がないということですね。
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今回のケースに当てはめてみると?
1部屋あたりのリフォーム費用が240万円なので、月額家賃は2万円ぐらいはアップさせないと元を取るのが難しくなってきそうです。
2万円=240万円(リフォーム費用)÷12か月÷10年
この地域の2DK程度のアパートの上限は新築でも55,000円程度。現在の家賃が35,000円なのでリフォーム費用を家賃にオンさせると55,000円と新築と同水準の家賃になってしまいます。
現行家賃が35,000円で2万円の家賃アップを望めるのか?
収益の想定として経済合理性に合うのかな?と少し疑問に思ってしまいますね。もちろんリフォームにより空室率も改善されるでしょうから、もうちょっと具体的なシミュレーションをしてみないと判断はつけがたいところはあります。
しかし簡単な計算方法としてのリフォーム費用の一つの上限の設定方法としては、有意義な見方なんじゃないでしょうか。