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建ぺい率の角地緩和とは?要件はなに?

更新日:



不動産を扱うものなら誰でも知っている建ぺい率の「角地緩和」。今日は建ぺい率緩和の要件の一つである、角地緩和について説明していきます。

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まず建ぺい率とは?

当たり前のように建ぺい率という言葉を使いましたが、建ぺい率についてまず触れてみます。

重要建ぺい率とは、建築面積の敷地面積に対する割合

 敷地面積とは土地の大きさですね。土地の大きさに対してどのぐらいの建物を建てることができるのか。それが建ぺい率です。建ぺい率は都市計画又は建築基準法で定められています。

例えば建ぺい率が60%の地域では土地が200㎡ならば、120㎡の建築面積の建物までしか建てられません(200㎡×60%=120㎡)。

建ぺい率の詳細を知りたい方は次の記事をどうぞ。

建ぺい率とは?建蔽率の計算方法・求め方は?

家を建てるときに押さえていけないといけない単語”建ぺい率”と”容積率”。今回は建ぺい率について説明してみます。 スポンサーリンク 建ぺい率とは? まずは建ぺい率(建蔽率)の定義を確認しましょう。 建蔽 ...

角地緩和とは

敷地が角地である場合には建ぺい率が10%ボーナスを受けます。つまり建ぺい率が60%の地域では70%の建ぺい率となります。

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角地緩和の関連条文

角地緩和に関する記述は建築基準法にあります。

(建ぺい率)
第五十三条
3  前二項の規定の適用については、第一号又は第二号のいずれかに該当する建築物にあつては第一項各号に定める数値に十分の一を加えたものをもつて当該各号に定める数値とし、第一号及び第二号に該当する建築物にあつては同項各号に定める数値に十分の二を加えたものをもつて当該各号に定める数値とする。
一  第一項第二号から第四号までの規定により建ぺい率の限度が十分の八とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物
二  街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物

引用 建築基準法

ポイントは3つありますね。まとめてみます。

角地緩和をうけるための3つのポイント

  • 街区の角にある敷地
  • またはこれに準ずる敷地
  • 特定行政庁が指定するもの

角地だけでなく、これに準ずる敷地も角地緩和が受けられます。しかし、特定行政庁が指定するものに限られるという点がポイントです。

特定行政庁とは建築主事を置く市町村の長を指します。市町村に建築主事を置いていない場合は都道府県知事です。都道府県や政令指定都市、人口25万人以上の市には建築主事の設置が義務付けられていますので、自動的に特定行政庁となります。小規模な市町村は県が特定行政庁となります。

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「特定行政庁が指定するもの」の意味するところ

角地ならば全部が角地緩和として建ぺい率のボーナスを受けられる訳ではありません。「特定行政庁が指定するもの」つまり、特定行政庁が指定する要件に合致した角地であることが必要です。

角地緩和の要件は緩い県や厳しい県、同じ県内であっても県よりも厳しい要件を化している市もあります。

重要 角地緩和の要件は自治体によって異なる

東京都の角地緩和の規程

検索も多い東京都の角地緩和の規程を紹介します。

東京都建築安全条例

第二条 (角敷地の建築制限)

幅員がそれぞれ六メートル未満の道路が交わる角敷地(隅角が百二十度以上の場合を除く。)は、敷地の隅を頂点とする長さ二メートルの底辺を有する二等辺三角形の部分を道路状に整備しなければならない。

前項に規定する部分には、建築物を突き出して建築し、又は交通上支障がある工作物を築造してはならない。ただし、道路状の面からの高さが四・五メートルを超える部分については、この限りでない。

前二項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合において、知事が交通の安全上支障がないと認めるときは、適用しない。
一 第一項に規定する道路のうち一以上が、法第四十二条第三項の規定により水平距離が指定された道路で、かつ、専ら歩行者の通行の用に供するものである場合
二 第一項に規定する道路と角敷地との高低差が著しいために、道路状に整備することが困難な場合

参考 東京都建築安全条例

具体的には次の「角地緩和の例」で説明していきます。

角地緩和の例

角地緩和の要件は、各都道府県、市区町村の建築基準法施行細則に記載されています。参考までに東京都の足立区と千葉県の市川市を例にあげて説明してみます。

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足立区建築基準法施行細

参考足立区の角地緩和について(PDF)

足立区建築基準法施行細則 (抜粋)

第44条 (建築面積の敷地面積に対する割合の緩和)
法第53条第3項第2号の規定により区長が指定する敷地は、その周辺の3分の1以上が道路又は公園、広場、川その他これらに類するもの(以下この条において「公園等」という。)に接し、かつ、次に掲げる敷地のいずれかに該当するものとする。

  1. 2 つの道路(法第42条第2項の規定による道路で、同項の規定により道路境界線とみなされる線と道との間の当該敷地の部分を道路として築造しないものを除く。)が隅角120度未満で交わる角敷地
  2. 幅員がそれぞれ8メートル以上の道路の間にある敷地で、道路境界線相互の間隔が35メートルを超えないもの
  3. 公園等に接する敷地又はその前面道路の反対側に公園等がある敷地で、前2号に掲げる敷地に準ずるもの

角地について図解してみます。

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施行令細則において「道路」と書かれている場合は、建築基準法上の道路を指します。条文では道と道路はきちんと区別して書かれています。

道と道路の違い。建築基準法はどのように規定しているか。

不動産を調査する上で、道路の調査を外すことはできません。それは建築基準法第43条に次の規定があるからです。 接道義務 建物を建築する敷地は、建築基準法に定める道路に2m以上接しなければならない。 敷地 ...

敷地の周りの辺の合計のうち、3分の1以上が道路に接している必要があります。また、角地の内角は120度未満。直線に近いような角地ではダメだということですね。

また、前面道路以外に接面する道路は、道路ではなくても「公園、広場、川」」でも可能とされています。

この公園や川についても扱いが特定行政庁によって異なります。公園、川なら何でもいいのか?と言われるとそうでもない場合がほとんどです。公園は都市公園に限定している自治体もありますし、川についても河川法で指定されている河川のみを対象としている場合もあります。

いずれにせよ、条文だけでは読み取れない部分は、自分で判断せずに建築指導課などの窓口で角地緩和の要件を正確に確認する必要があります。

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市川市建築基準法施工細則

参考市川市建築基準法施工細則(PDF)

第37条 (建ぺい率の緩和)
法第53 条第3項第2号の規定により 指定する敷地は、その周辺の3分の1以上
が道路又は公園、広場、川その他これらに類するもの(以下この条において「公園等」という。)に接し、かつ、次の各号のいずれかに該当するものとする。

  1. 幅員がそれぞれ4メートル以上の2つの道路(法第42条第 2項の規定により道路とみなされる道で、同項の規定により道路境界線とみなされる線と道との間の敷地の部分を道路として築造しないものを除く。)で、その幅員の合計が10メートル以上のものが内角120度以内で交わる角地
  2. 建築物の敷地に接する道路の反対側又は敷地に接して公園等があり前号に準ずるもの

足立区と同様に3分の1が道路に接面する必要がありますね。ここは自治体によっては30%以上となっている自治体もあります。その他、2つの道路の合計が10m以上という要件もありますね。4mと4mの道路ではダメだということです。

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説明のPDFには次のような文章も注意書きされていました。

重要ただし、風致地区内は条例で建ぺい率の上限が定められているので適用できません。

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さりげなく書いてありますが、ここは重要なので少し説明します。

建ぺい率や容積率は都市計画の中で用途地域とともに定められます。この地域は「第一種住居地域で建ぺい率60%、容積率200%」などと定められますが、建ぺい率のボーナスはこの建ぺい率に対して+10%の70%と緩和を与えるものです。

他の地域地区で建ぺい率・容積率の上限が定められることがある。

建ぺい率や容積率は、都市計画と重ねて別の地域地区で制限されることがあります。

  • 風致地区
  • 国定公園(自然公園法)
  • その他

このような地域では一般的な建ぺい率・容積率と比べて厳しい制限が課せられることが多いです。

例えば自然公園法について説明すると、国定公園の中では建築が厳しく制限され、建築物を建てられるとしてもその建築物は厳しい制約を受けます。その中で、建物の高さや建ぺい率、容積率も制限される場合が多くあります。

国定公園内では建ぺい率20%、容積率40%などと、都市部ではなかなか見られないような建ぺい率・容積率が課せられますが、角地緩和は受けられるでしょうか?

重要風致地区や国定公園等の中では原則として角地緩和は受けられない

以前役場に調査に行ったら自然公園法による建ぺい率に対しても「角地なので+10%でOKです!」と元気に言われてしまったこともあるので、断言は避けますが、ほとんどの場合では角地緩和は適用できません。都市計画ではない局面で建ぺい率の上限が定められた場合は、そちらが優先されるので+10%とはできないと考えた方が無難です。

市川市でも風致地区で、建ぺい率の上限が定められた場合は、角地緩和の適用は無理ですと記載されていますね。

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