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建築着工統計で何が分かる?資料の調べ方と統計の見方、使い方

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国土交通省の発表する統計資料に建築着工統計調査があります。

建築着工統計調査とは?

全国の建築物の動態を明らかにし、建築及び住宅に関する基礎資料を得ることを目的とした調査です。

建築着工統計調査は、「住宅着工統計」と「建築物着工統計」の2つに大別することができます。建築着工統計調査のうち、住宅の着工状況に関するものを抜き出したのが「住宅着工統計」です。建築物着工統計は、住宅のほか、非居住用のものも含むものです。

建築着工統計調査

  • 住宅着工統計
  • 建築物着工統計

平成28年度の集計は国土交通省の建築着工統計調査報告(平成28年計)にPDF形式でまとめられています。

統計資料をどのように使うかを知る前に、どのような統計がまとめられているかを確認します。実際の分析例は記事最後にまとめています。

参考 国土交通省|建築着工統計調査報告

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尚、建築着工統計の年次の報告は毎年1月です。平成30年1月までは、平成28年の集計が最新となります。

住宅着工統計で何が分かるか

住宅の新改築の動向に関する統計で、国土交通省が調査主体となり、結果が毎月公表されています。住宅着工統計で分かることは大まかに分類すれば次の4つです。

住宅着工統計で分かること

  • 新設住宅の着工状況(戸数及び床面積)
  • 持家の新設住宅の着工状況(戸数及び床面積の合計)
  • 新設マンションの着工状況(戸数及び床面積の合計)
  • 一戸建の新設住宅の着工状況(戸数及び床面積の合計)

一番上は、新設住宅着工戸数といって一番有名な統計調査ですね。毎月・毎年、ことあるごとに新聞でも報道されます。セミナーや研修などで調査結果がまとめられているのもよく見ます。

着工状況は、建築主別、利用関係別、資金別、構造別、建て方別、建築工法別、住宅の種類別等に分けられているので詳細な分析が可能です。

また、この調査上でマンションとは、構造が「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造」、建て方が「共同建」、利用関係が「分譲住宅」をマンションとしています。

平成28年の調査報告書では、概要が次のようにまとめられています。

平成28年の新設住宅着工戸数(概要)

平成28年の新設住宅着工は、持家、貸家及び分譲住宅が増加したため、全体で増加となった。

  • 平成28年の新設住宅着工戸数は967,237戸。
  • 前年比では6.4%増となり、2年連続の増加。
  • 新設住宅着工床面積は 78,178千㎡、前年比4.2%増、3年ぶりの増加。

住宅着工統計の調べ方

下記URLからデータを入手することができます。

URL 政府統計の総合窓口|住宅着工統計

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建築物着工統計で何が分かるか

全国の建築物の着工状況(建築物の数、床面積合計、工事費予定額等)を建築主、構造、用途等に分類して把握しています。これらのデータは、延べ床面積10㎡超の建築物に義務づけられている「建築工事届」から集計されています。

建築物着工統計で分かること

  • 建築物の着工状況
  • 事務所用建築物の着工状況(建築物の数、床面積の合計及び工事費予定額)

着工状況は、建築物の数(むね数)、床面積の合計、工事費予定額を建築主別、構造別、用途別等に調べることができます。

平成28年の調査報告書では、概要が次のようにまとめられています。

平成28年の建築物着工戸数(概要)

〔民間非居住建築物〕
前年と比較すると、事務所、店舗及び工場が減少したが、倉庫が増加したため、全体で増加となった

  • 3年ぶりの増加。
  • 公共の建築主は740万平米(前年比 0.7%増、昨年の減少から再びの増加)
  • 民間の建築主は12,556万平米(前年比 2.8%増、3年ぶりの増加)

建築物着工統計の調べ方

下記URLからデータを入手することができます。

URL 政府統計の総合窓口|建築物着工統計

その他の重要統計

その他の、住宅・事務所・店舗・倉庫など建築物の着工状況、建設工事の受注・着工・施工の状況、滅失建築物に関する統計としては、以下のものがあります。

7つもの統計調査を紹介しているので、建築着工統計だけを知りたい方はこの章は、飛ばして読んでください。

建築物リフォーム・リニューアル調査(国土交通省)

国土交通省が半期ごとに実施している調査ですが、「住宅の増改築・改装等の受注件数」を調べるものです。

具体的には住宅の増改築・改装等の受注件数、受注高等を調べることができます。また、この調査では非住宅に係る工事も調べることができます。

URL 国土交通省|建築物リフォーム・リニューアル調査

住宅用地完成面積調査(国土交通省)

国土交通省が毎年実施している調査ですが、「再開発的な住宅用地の開発状況」を知ることができます。

具体的には、再開発的な住宅用地の開発状況(工事件数及び完成面積)を発注者別、区域別及び都道府県別に調べることができます。再開発的な住宅用地の開発とは、住宅以外の工場、倉庫、事務所、駐車場等の用に供する土地を転用し住宅を建築した場合をいいます。

住宅用地種類 一団地の住宅用地、小規模開発の住宅用地、再開発的な住宅用地、別荘用地
発注者の種類 民間、公共
区域の種類 土地区画整理事業、一般

URL 国土交通省|住宅用地完成面積調査

建設工事受注動態統計調査(国土交通省)

国土交通省が毎年実施している調査ですが、「建設業種別建設工事の受注高」「公共機関からの受注工事の状況」を知ることができます。

具体的には、建設業種別、経営組織・資本金階層別に受注高を調べることができます。また、発注者別、工事種類別、元請・下請別も調べることができます。

公共機関からの受注工事の状況については、公共機関からの受注工事の状況(公共工事の請負契約額)を発注機関別、目的別工事分類別、工事種類別に調べることができます。

URL 国土交通省|建設工事施工統計調査

建設工事受注動態統計調査(大手50社)(国土交通省)

国土交通省が毎月実施している調査ですが、「大手建設業者(50社)の建設工事受注状況」を知ることができます。

具体的には、大手建設業者(企業の合併により、現在の対象会社は49社)の建設工事受注状況(工事種類別・発注者別受注高)を調べることができます。また、大規模工事(受注高10億円以上の国内工事)の件数及び受注高等も調べることができます。

URL 国土交通省|建設工事受注動態統計調査(大手50社)

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建設工事施工統計調査(国土交通省)

国土交通省が毎年実施している調査ですが、「1年間の建設工事施工状況」を知ることができます。

具体的には、建設業者が1年間に施行した建設工事施行状況(完成工事高、受注高、就業者数等)を専業・兼業別、経営組織別、資本金階層別等に調べることができます。

URL 国土交通省|建設工事施工統計調査

建設業活動実態調査(国土交通省)

国土交通省が毎年実施している調査ですが、「海外における日本の建設業の活動状況」を知ることができます。

具体的には、外における日本の建設業の活動状況(海外建設事業の契約金額)を原発注者別及びプロジェクト別に調べることができます。また、海外建設市場の状況(受注高の多い国と地域、受注高を伸ばしたい国と地域等)も調べることができます。

なお、この調査は日本の代表的な大手建設業者を対象として調査されています。

原発注者別 日系企業、その他の民間企業、公共機関
プロジェクト別 開発、土木工事、建築工事及び建築設備、プラント関連建設及び設備

URL 国土交通省|建設業活動実態調査

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建築物滅失統計調査(国土交通省)

国土交通省が毎年実施している調査ですが、「老朽、増改築等により除却される建築物の状況」「災害により滅失した建築物の状況」を知ることができます。

建築物滅失統計調査は、建築物除却統計と建築物災害統計に分けられます。

具体的には、建築物除却統計により、除却される建築物の状況を、都道府県別に調べることができます。建築物災害統計からは、火災、風水災及び震災等により失われた建築物の状況を調べることができます。

URL 国土交通省|建築物滅失統計調査

建築着工統計調査をどのように活用するのか

建築着工統計調査は過去からのデータがそろっているので、時系列的な分析が可能です。また都道府県別や調査項目によっては市町村別の資料を集めることができます。

どのような地域では建築が活発だったのか、どのような用途(製造業、宿泊業など)で建築着工に動きがあったのかなどを分析することができます。

建物の建築単価・坪単価の分析をする

例としては、建物の建築単価・坪単価の分析です。

店舗や工場がどれぐらいの坪単価・建築単価で建築されているのか?構造別(鉄骨造・鉄筋コンクリート造)ではどのように建築単価が変わってくるのかを分析することができます。

詳しく分析したければ、時系列的な分析も行い前年比なども計算することができます。

実際に分析した記事も書いていますので、記事「建築着工統計調査(H28年)に見る用途別・構造別の建築単価」を参考にしてみてください。

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建築単価を都道府県別に分析する

建物の大きさ、建築単価を都道府県別に分析することも可能です。

ウサギ小屋と揶揄される日本の住宅ですが、東京での標準的な戸建て住宅の大きさは何坪ぐらいなんでしょうか?もっとも広い住宅を建てるのは何県なんでしょうか?

そんな分析も可能です。

建築単価についてもどこの都道府県が一番建築単価が高いんでしょうか。意外や意外、統計を調べてみると東京じゃないんですがどこかみなさん想像がつきますでしょうか?

この記事は「建築着工統計調査(H27年)にみる県別建築単価指数。その他色々ランキングを調べてみました。」でまとめています。平成27年の調査結果によりまとめたものですが、なかなか面白い結果がでています。

まとめ

上の分析例はすべて建築着工統計を用いたものです。エクセルでデータが公開されているので素人でも簡単に分析することができます。当サイトにも建築単価を調べるために、「建築着工統計 建築単価」などという検索ワードでたどり着いてきてくれる方が多くなっています。

建築着工統計調査(H28年)に見る用途別・構造別の建築単価

国土交通省の発表する建築着工統計調査・住宅着工統計調査のデータを用いて、用途別・構造別の建築単価(全国)をまとめてみました。 参考国土交通省|建築着工統計調査報告(平成28年計分) 注 最新の建築着工 ...

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記事でも建築単価を計算していますが、是非元データにもあたってみてください。

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