昨日(10月24日火)のニュースですが、浅草の仲見世商店街の家賃が16倍になってしまい、商店街の存続が危機的な状況!という衝撃的なニュースがありました。
「9月ごろ、仲見世通りの各店に2枚の紙が配られて、そこには、来年1月からの家賃が、いきなり16倍になると書かれていました。私の店は戦後ずっとここで商いをしてきましたが、今の16倍の家賃なんて、とても払えない。ほとんどの店が払えないと思います」
不動産鑑定士をしている身としては気になるニュースですね。
家賃の値上げ交渉というのは色々なところで見かけますし、紛争にまで発展するケースも少なくありません。それにしてもいきなり家賃が16倍となるケースはレアなんじゃないでしょうか。
週刊新潮では10月25日発売の2017年11月2日号で特集が組まれているようです。
kindle版があれば雑誌を購入してみようかと思ったんですが、kindle版は無いんですね。残念。
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仲見世の家賃値上げの経緯
上のyahooニュースを見てもらえれば正確で速いのですが、簡単に説明します。
仲見世商店街は今まで土地は浅草寺所有、建物は東京都が所有していました。東京都が大家(貸し主)だったことでやや低額な家賃でテナントとして貸し出されていたようです。
それが平成29年7月に建物を浅草寺が購入します。
建物の登記を調べてみましたが、平成29年7月1日現在で浅草寺に売買がなされていました。
浅草寺は仲見世の家賃を周辺相場と合わせたものとしようとして家賃を設定。家賃はどのように調べたのかは書かれていませんが、その結果16倍の家賃値上げ。弁護士をつうじて仲見世の組合と交渉をしているとのことです。
仲見世には89店舗がありますが、今までの家賃の平均は月2万3000円。値上げ後は16倍で計算すると約37万円となります。
今までの家賃水準は適正?
あの好立地で月2万3000円というのは破格の賃料ですよね。
さて、本当に安かったのかを調べるには月2万3000円がどれぐらいの家賃水準だったのかを調べます。具体的には坪いくらの家賃だったのかを推定してみたいと思います。
仲見世通りは浅草1丁目と2丁目に分かれています。浅草1丁目には建物が10棟、浅草2丁目には3棟あります。
浅草1丁目の建物
- 家屋番号:13-1-2~13-1-11
- 構造:RC2階建て
- 床面積:1階100平米程度、2階60平米後半
浅草2丁目の建物
- 家屋番号:63-1-3~63-1-5
- 構造:RC2階建て
- 床面積:1階60~100平米程度、2階40~60平米後半
今は計算をする時間がないのでざっくりとした数字で概算をしますが、一階部分の合計はおおよそ1300㎡、400坪程度です。
89店舗で平均月2万3000円なので全店舗では2,047,000円(月額)となりますね。家賃の坪単価を計算します。実際は2階部分もありますが簡略化して1階のみで計算します。
(今までの)家賃水準:月額2,047,000円 ÷ 400坪 = 坪 5,100円
なんと坪5,100円です。安いですね。
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浅草の家賃水準
浅草寺周辺の1階店舗の募集家賃を調べてみました。
仲見世通りのがるのが浅草1・2丁目です。浅草3丁目は浅草寺の裏側(北側)のエリアです。
- 浅草1丁目:坪7.5万円
- 浅草1丁目:坪2.7万円
- 浅草2丁目:坪1.3万円
- 浅草3丁目:坪2.1万円
- 浅草3丁目:坪2.1万円
浅草1丁目の坪7.5万円は浅草駅から徒歩1分の好立地です。浅草寺仲見世商店街はそれにも負けず劣らぬの好立地だと考えられますね。
16倍の家賃設定は妥当か?
現行の家賃は坪5,100円だったので16倍すると坪8万円。あれだけの好立地を考えると...どうなんでしょう?
一応不動産の価格を鑑定する専門家をしているので簡単な結論を出すことは控えますが、坪5,100円は安いよね。安すぎるよね。って感じです。
バタバタと1時間程度で記事を書いたので色々と不備があるかも知れませんが、とりあえずはこのぐらいで。また時間をみて追記・修正していきたいと思います。