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不動産売買契約成立後の債務不履行では、仲介手数料を請求できるのか?

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先日不動産売買契約の債務不履行について話をしていたところ、債務不履行によって売買契約が解除されてしまった場合、不動産屋は仲介手数料を請求できるのかという質問をいただきました。

回答としては、「請求できる」が回答になりますが、ケースによっては請求できない場合もありますし、実際支払い義務がないとする判例もでています。

仲介手数料は契約が解除になっても請求できる

では、どのような場合は仲介手数料が請求できないのでしょうか。

仲介手数料とはどのような報酬なのか

不動産業者(仲介業者)の仲介手数料は、売買(賃貸も含む)の契約が成立したことに対する報酬です。

売買契約が成立して初めて報酬が発生するので、成功報酬金としての性格を有しています。

報酬請求権が発生するには、大成出版社「詳解不動産仲介契約」の中で、次の4つの要件を満たす必要があると記載されています。

仲介手数料が発生する4要件

  1. 仲介業者と委託者との間で仲介契約が成立したこと
  2. 仲介業者の仲介行為が存在していること
  3. 委託者と相手方との間に売買等の契約が成立したこと
  4. 仲介業者の仲介行為と売買等の契約成立との間に相当因果関係があること
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尚、仲介手数料(宅建業者の報酬)は、宅建業法で上限が定められています(宅建業法第46条)。

仲介手数料の報酬額(上限)については、以前記事にを書いていますので、こちらをお読みください。

記事 不動産業者に支払う仲介手数料はいくら?値引きは可能?

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不動産を売買するにあたって、不動産業者に支払う報酬。これを一般的に「仲介手数料」といいます。宅建業法の中では仲介手数料という単語は使われておらず、単に「報酬」と記載されます。 仲介手数料は成功報酬で、 ...

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売買契約が解除された場合の報酬請求権

冒頭で、契約が解除されても報酬請求権は失わないと書きました。

上に書いた4要件のとおり、仲介業者の報酬請求権は、仲介業者(不動産業者)の仲介によって売買契約が成立すれば発生するので、契約成立後に解除されたとしても報酬請求権を行使することができます。

つまり、仲介業者の報酬請求権は契約の成立が問題なのであって、所有権の移転、引渡し、代金支払いなどの契約の履行とは関係がないということです。

仲介業者の注意義務違反行為によって契約が解除された場合は?

例えば、暴力団関連企業がアパートに入居していたのに、不動産業者が調査を怠っていた。契約成立後に暴力団関連企業の入居が判明し、買主が手付解除をした場合などはどうでしょうか。

それでも報酬請求権は失われないのでしょうか。

仲介業者の調査や説明義務がきちんと履行されていれば売買契約が成立しなかったといえるような場合には、報酬請求権が否定されることが多いようです。

事件によって結果は異なっていますが、そもそも報酬請求権は発生しないとする判例(多数)や、報酬請求権の発生は認めながら委託者の仲介業者に対する損害賠償請求権との相殺を認める判例、報酬請求権を権利の濫用として認めない判例などがあります。




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