ちょっと前のことになってしまうんですが、こんなニュースがありました。
弘前駅前の商業ビル「ヒロロ」の一部を市が買い取るにあたって取得した不動産鑑定評価書をオンブズパーソン(代表幹事|葛西聡弁護士)が開示請求したのに対して、市は不開示を決定。オンブズ側はさらに異議を申し立てたというものでした。
商業ビル「ヒロロ」の場所
弘前駅前から徒歩3分。青森県の中核都市の一つ弘前市の一等地にありますね。
URL ヒロロ(HIRORO)弘前駅前ショッピングモール&公共施設
ヒロロ鑑定評価に対する意見
尚、開示を請求した不動産鑑定評価書は弘前市が依頼したものではなく、売り主である「マイタウンひろさき」社が作成したものです。
市は取得時に、独自に不動産鑑定を行う一方、マイタウン社作成の鑑定評価書も入手。オンブズ側は14年1月、市情報公開条例によりマイタウン社の鑑定評価書の開示を請求したが、市は不開示を決定。オンブズが異議を申し立てた。
マイタウン社が作成と書いてありますが、マイタウン社は不動産鑑定業者ではないので、県内のどこかの鑑定業者に依頼したものなんでしょうね。多分。
作成する不動産鑑定士からすると、弘前市からの依頼を受けて作成した鑑定評価書ならば開示請求されても仕方ないと思いますが、あくまで依頼者はマイタウン社です。第3者である弘前市からの開示請求でほいほいと鑑定評価書が色んなところに出回ってしまってはたまったもんじゃないというのが率直な感想でしょうか。
提出先によってはこちらが遵守するガイドラインも違いますし、鑑定評価書の利用方法に沿って色々な条件を付すこともあります。不動産鑑定士にとっては、鑑定評価額が独り立ちして財務諸表目的のものが、訴訟の場に勝手に提出されたり、売買目的に利用されても困ってしまうこともあります。
今は鑑定評価書には依頼者以外の提出先や鑑定評価額の開示先を明記しなければいけなくなっており、評価書が色んなところに出回ってしまうのは、間違った利用がなされる危険性を伴います。
どんな理由で開示請求を出されたのかは分かりませんが、市の個人情報保護審査会(会長・中林裕雄弁護士)も「不開示は妥当」との答申をしたようです。なんでも公開すれば良いって風潮はありますが、適正に判断し、適正に処理してほしいですね。