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委任と請負の違いは何か。業務委託契約とはどんな契約?

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民法では、「贈与」「売買」「交換」「消費貸借」「使用貸借」「賃貸借」「雇傭」「請負」「委任」「寄託」「組合」「終身定期金」「和解」の13種類の契約を定めています。

これらの契約を典型契約(有名契約)といいます。

仕事を第三者にしてもらう場合、よく使われるのが委任契約(準委任契約)と請負契約です。実務では業務委託契約と締結して第三者に仕事をお願いすることが多くあります。では、業務委託契約とはどんな契約なんでしょうか?

委任契約と請負契約の違いはどこにあるんでしょうか?

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委任契約と請負契約

委任契約と請負契約の定義を「法律用語辞典」で確認してみます。

民法において、「委任」とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約である(民法第643条)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(民法第632条)

典型契約の中では、ともに役務型の契約類型です(雇用、請負、委任、寄託)。

委任契約と請負契約の違い

委任契約は、成果品の完成が目的なのではなく、契約で合意した法律行為を行うこと自体が目的です。もう少し具体的に説明すると、モノが完成しなくても、内容実現のための作業を遂行すること自体が契約の目的になります。

つまりは、一生懸命頑張ればよく結果自体は問われません。もちろん善管注意義務は発生しますので、業務の遂行に問題があったとすると責任に問われます。

尚、法律行為以外の事務を委託することを「準委任」といいます。ここでは、「準委任」についてはあまり触れずに解説していきます。

委任契約の具体例

  • 弁護士業務
  • 医療業務
  • コンサルタント業
  • 不動産鑑定業務

弁護士業務を例にして、委任契約についてもう少し具体的に説明します。訴訟の委任契約を弁護士が受託したとします。弁護士は依頼者のためにベストを尽くすのが契約の目的です。もちろん勝訴のためにベストを尽くすわけですが、勝訴しなかったからといって契約が完了しない訳ではありません。

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請負契約は、成果品の完成自体が目的です。契約で合意した内容を実現することが目的なので、契約を完了させるためには、合意した内容を完成させなければなりません。

請負契約の具体例

  • 建物建築請負契約
  • クリーニングなどの加工

報酬の請求に関して言及すると、請負契約はモノの完成・引き渡しによって請求権が発生しますが、委任契約はモノの完成ではなく、事務処理そのものを行うことによって請求権が発生します。

業務委託契約とはどんな契約?

日々の仕事の中では、会社外の第三者に業務をお願いする場合、業務委託契約が締結されることが多いです。業務委託契約は民法上、法律に定められたものではありません。内容とみると、「請負」「委任」であることがほとんどです。

委託契約を締結する場合にも、「請負」「委任」なのかが明示されずに契約されることも多いですので、契約当事者が、実際この契約は「請負」「委任」なのかどちらなのか?と悩むことも多いです。

業務委託契約を締結する場合、契約書とは別に仕様書を作成して業務の内容を定めることが多いですが、仕様書を精査して「請負」なのか「委任」なのかを確認することが必要です。判断の際の一つの目安として、次のような視点もあります。

委任契約・請負契約の特徴

  • 委任契約は、業務遂行を委託するものであり、ヒトに着目した契約である
  • 請負契約は、業務の目的である成果物の完成を委託するものであり、モノに着目した契約である

医療行為や住宅建築を考えてみると、典型的なので分かりやすいかも知れません。医療行為(委任契約)は医師というヒトの行為そのものが業務の目的です。何かモノの完成を目的とするものではありません。

他方、住宅建築(請負契約)は、住宅の完成を目的とするものです。極論をしてしまえば、モノさえ完成させればヒトは関係ありません。

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業務委託契約と収入印紙の関係

業務委託契約が請負なのか、委任なのかで問題となるものとして、印紙税の課税の有無です。

印紙税法では、収入印紙が必要となる(課税対象となる)文書が具体的に定められています。課税対象となる文書のことを課税文書といいます。

参考 国税局|印紙税額一覧表(PDF)

一覧を見て分かるとおり、課税文書には第1号文書から第20号文書があって、文書の種類や非課税文書の条件などが具体的に定められています。

請負に関する契約書は第2号文書に該当し、記載された契約金額が1万円以上のものは、契約金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。また、金額が記載されていないものは一律で200円です。

一方、委任契約に関する契約書は、どの課税文書にも該当せず、印紙税の課税対象となっていません。つまり、委任契約書は非課税文書です。

そのため、業務委託契約書が「請負」なのか「委任」なのかで収入印紙の貼付の必要性が異なってきます。

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