こんばんは、不動産鑑定士のreatipsです。
先日発生した大火が糸魚川市大規模火災です。
2016年(平成28年)12月22日昼前に火事が発生してから、鎮火まで翌日夕方までの約30時間もかかったという大火事でした。
ラーメン屋の空焚きから発生したといわれる火事ですが、乾燥と延焼を誘発する風も手伝って140棟超の建物が損傷しました。面積にして、約40,000㎡です。よく使われる比喩を使うと東京ドームが約一個分ぐらいです(正確には東京ドーム0.85個)。
いかに大きな火災だったかが分かりますね。
糸魚川大火に耐えた奇跡の1軒 08年完成「丈夫な家」
そんな中、延焼が激しい地域の中でぽつんと火事の被害をあまり受けずに済んだ家が話題となっています。
120棟が全焼した新潟県糸魚川市の大規模火災で、焼け跡に1軒の木造住宅がぽつんと立っている。会社員の金沢隆夫さん(35)の家だ。「周りは火の海となり、もうダメだと思って避難した」。だが、鎮火後に戻ると、建物はほとんど焼けずに残っていた。
奇跡の木造住宅はどんな家か
すごいですね。引用先には写真も載っていますが、本当にポツンと家が残っています。
気になるのは、どんな家だったのか?ということです。先の朝日新聞デジタルにはどんな家かも概略書いてありました。
2007年の新潟県中越沖地震など地震災害が話題になるなか、家を建てようと考えていた金沢さんは、地元の建築家に「丈夫な家」を依頼した。08年春、2階建て延べ250平方メートルの洋風住宅が完成した。
引用:朝日新聞デジタル
地元の工務店で建てられた家のようです。地震災害の影響で丈夫な家が欲しかったと書かれていますが、それにしても大きい家ですね。250㎡なので、一般的な住宅の2倍ぐらいはある大きさです。
実際どんな家か見てみたいですよね。
という訳でgoogleのストリートビューで調べてみました。
火事を逃れた奇跡の家のストリートビュー
おしゃれな家ですね。
反対側からみると、こんな感じです。駐車場スペースが6台もあり、貸し駐車場の看板もあることから、もともとの地主さんかなんかなんでしょうね。
これが大火を逃れた家かー。という感じです。建物の専門家ではないので、どこら辺が火事に強い構造かは分かりません。あしからず。
丈夫な家の価格なども調べてみました。
土地価格
国税庁の発表している路線価から土地価格を推定します。路線価は8割水準で付されるので、だいたい32千円/㎡(坪10.6万円)といったところでしょうか。
面積を測定みると、約300㎡なので、土地は1000万円程度。糸魚川駅のポジショニングがよく分かりませんが、駅前の昔ながらの市街地にしては結構安いんですね。
建物価格
建物の価格についてはピンキリなので分かりません。国土交通省の発表している建築着工統計より推定してみます。
参考:建築着工統計調査(H27年)にみる県別建築単価指数。その他色々ランキングを調べてみました。
新潟県の木造の建築単価は平均 167,075円(坪55万円)。記事によると建物の面積は250㎡なので4,000万円強でしょうか。
丈夫な家の価格
後は土地と建物を足すだけ。ざっと5,000万円といったところでしょうか。
丈夫な家を作るということで、良い資材を使っている気もするので、もうちょっと高いのかも知れません。
まとめ
この火事のニュースで久しぶりに失火責任法を思い出しました。
失火責任法は民法709条の損害賠償責任に関する規定を、適用しないとする例外を定めたものです。古くからの木造家屋が多い日本では、火災が発生すると広がりやすく、延焼させてしまった隣接家屋の損害賠償責任を負わせるのは酷であるということから定められたものです。
明治32年に制定された古い法律で、この法律を学んでいた学生の頃は、いつまでこんな古い法律があるんだろうなという印象を持っていました。でも糸魚川市大規模火災が発生糸魚川市大町2丁目はまさしく、失火責任法が想定していたような地域でした。街区は一部整備されているものの、まだ狭い道路も多く、古くからの建物が密集した地域のようですね。
まだまだ乾燥する季節が続きます。
私も火事には気を付けないと。